秘密
源太郎と圭太は鑑識の応接室にいる。榛原も気になるのか話を聞いている。
「親父さんを信用できないのですか?」
「信用するとかしないとかの問題じゃないんだよ。おふくろを殺しておいて金をむしり取ろうとしたんだ。それも葬式にも出てないのに。弁護士が出てきて遺書があると告げられて助かったけどな。」
圭太は面白がっているように笑っていた。遺産を奪い取ろうとしたのだ。分け前も2人に渡すつもりなどなかったように思えた。内容は多分2人に遺産を全て渡すということだろう。当分することもわかっていただろう。
「どうして親父さんはそんなことをするんですか?」
「さぁな、八木家は警察に勤めるものが多かった。そして不正をしては家族間でもみ消した。それを守るために警察に入ることを強制していった。それに巻き込まれたのはおふくろだ。見合いで強制結婚させられた。近所の人たちはおふくろを地域の中で一番哀れだと思ったと話も聞いたほどだ。」
話を聞いていた鑑識の新人は調べ始めた。一体何を調べているのだろうか。
「源太郎さん。八木さん。お母さんの名前ってわかりますか?」
「八木千尋。旧姓能勢。」
警察だからと目を付けていたのだろう。ずっと交番勤務をしていた。それは人と寄り添いたいからだといっていた。刑事とかになってしまうと権力をうのみにしてしまうのを見ていたくないとも言っていた。
「話聞いたことがあります。後輩とかにも優しい人だって。八木と結婚したことが不思議だとしか言えないと。」
「おふくろは誇れる人だといえるけど親父は権力を使って罪を消しているだけだからな。家の近くのホテルを使うのは親父だけだ。警備員の人からどうして警察が来ないのかわからないとかいって防犯カメラの映像をもらっている。」
警察としての信頼を失ってまで守りたいのではないことは圭太はよくわかっている。知ったかぶりばかりする親父はかけらももっていない。10件の事件を隠すのはいけない。何時か真実を明らかにするべきだと思う。見えないことは沢山あるのはわかっているが隠し続けて逃げ続けているのはただの責任逃れの最低の行動としか言えない。週刊誌へ出すのは抵抗があるため新聞社へと出すことを計画をしている。
「親父とかも悪事は俺の代で成敗してやる。逃げられないのは証拠があるからなんだよな。代々受け継ぐのが間違いなんだけどな。人を巻き込んでまでやることじゃないんだよ。やることは真実と向き合うことだって。」




