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世の嘘理論

「圭太君はね。マスコミからいわれもないことで叩かれているんだ。隠しているけれど。嘘偽って書くことの単純さは楽かもしれないけど、真実を知るものは心を痛めるんだよ。何嘘語ってんだって。」

一ノ瀬は八木が抱えている隠れた苦しみを知った。最近はネットニュースの偽造について問いただされている。ど素人が金目当てで嘘を書き見てもらいたいという欲望に包まれている。馬鹿なのだろうか。相手にすら気持ちにすりよせない。ただ自得のために詐欺ではないか。嘘を書いたのであれば謝罪をするべきだ。匿名をいいことにするのなら辞めてしまえ。誰も得をしない。人を傷つけてまで得る報酬はそれほどうれしいのか。マスコミの信用が下がっていくだけだ。自ら犯した罪は償うのが普通だろう。傍観者のフリをしているほうが質が悪いのはわかっているだろう。

「八木はよく源太郎さんのところに行くんです。多分、飲み込むために行っているんですかね。」

「源太郎さんね。嘉門って名乗って書いているよね。個展にも行ったことがあるよ。圭太君は入場料を払いなおしてくれたんだ。別によかったんだけどね。絵もあるんだよ。」

壁には見ると温かくなるような絵が飾られていた。家族写真を感じさせるような絵だった。

「源太郎さんだよ。うちに来た時に書いてくれたんだ。圭太をよくしてもらってるから礼がしたいって。でもできることが少ないから絵をかかせてくれって。すぐに書いてくれた。嘉門が書くのは社会であり圭太君の希望だよ。」

今の世は冷たいのだ。雨が降っているわけでもないのに。心を感じあおうとしないとつながることはできない。だからだろう。嘘を描き嘘で染まっていくのだろう。目を向けない。失態についてただ逃げるだけの芸能人、芸人。もっと取り上げるべきものがたくさんあるはずだ。それを捨ててまで取り上げる嘘は自分しか考えていない証拠だ。誰かに認められなければいけないものなのか。人知れず真実を知っているものはどうなのか。人知れず人を救っている人だって必ずいる。そちらを取り上げるほうがいいのではないか。目立つ行動をしている人は何を求めている?ただなんにでもやって認められたいという無駄な欲望が渦を巻く。それで満足するはずがないだろう。人間とはそういうものだとしても嘘を描くのであれば責任を取るべきだ。キチンと謝罪するべきだ。いくら匿名であっても。人を傷つけてもいいという勝手な理論を作り上げるな。後悔を起こすといい。十字架を背負えない大人がたくさんいる今、救いようがない。一ノ瀬はただ思った。

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