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思い出の亡霊

源太郎はタクシーにいるのが嫌になるほどだ。組織に染められた人間などどうせ会社のための裏の自分の出世のためにゴマをすり続けていずれ崩壊の道を選ぶのだ。

「弟さんってやっぱり会うんですか?」

「毎回とは言いませんよ。けど、仕事上のこともあって勝手に来て会わずに帰ってしまうです。つらいのか何なのかと思ったりしないですけど合わないことで心配もあってですね・・・。」

運転手の話を逸らすのは性には合わないことはわかっていたのだ。じゃなければ画家として講演会をやることに賛成もしなかったからだ。けど、関係が変わらなかったのだ。此処まで深刻になるまで放っておいた罪なのかもしれない。何処かに道しるべを見ようとしているのではないだろうから。

「つきましたよ。此処の居酒屋はもう閉めるとか言ってみるで安くなっているから集まるんですね。後悔はすべて捨て去ってください。時代と政治家は無駄なんですよ。希望が持てないから逃げるのに一番に逃げているのが政治家なんて笑えますよね。」

金を払って出て行った。タクシーに追われるのは嫌だから居酒屋の行列に並ぶふりをした。数分の無駄ではあるが誰かに追われるのは嫌だったうえに画家としているべきなのだといわれた言葉には深く重みを感じた。小走りの彼には明かりはノイズと変わらなかった。廃墟と化した遊園地は輝きを求める力は残っていなかった。幼いころに見た光は闇を求めたようになっていた。フェンスを力の限りで登った。超えないと近づけない壁があった。

「何処にいるんだ。圭太・・・。」

つかみきれないものを追っているように見えた。輝きに満ちた観覧車が凶器になっていることを知らない。思い出をいつからか語らなくなった。苦味や辛味を含んだ嫌な味へと変化していたからだ。親父が裏切ったのは家族だけじゃなかった。大きな組織までも裏切ってしまったのだ。圭太は表情に見せないが隠している感情がある。復讐の火だった。源太郎が生み出したものを圭太がうまく消したように見せてずっとつけていたのだ。その炎は火力を増し赤色から青色になったのだ。青色は赤色になった炎より火力は強くなっているのだ。銀色の鈍くなった輝きを見た。

「圭太。あいつ。」

観覧車の前にいたのは冷ややかな目をした悪魔だった。悪魔を見つめるのは黒く染まった雲だった。怖かった。もう帰ってくることもないとしまえそうなどだった。源太郎の頭の中に幼いころおふくろとはしゃいだ姿を思い出した。


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