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磨かれぬ珠

工藤の震えを見ていると取り調べを今すぐにでもやめたいという気持ちにさいなまれるが、下手に見せると山辺の本音を打ち消すのはいけないと思った。

「工藤、あそこにいろ。代打が出てきたら俺も向かう。」

「わかりました。すいません。取り調べの大切な時なのに・・・。八木が解決しようとしていた事件でもあるんですから一ノ瀬さんしか頼めないんです。」

床目線しか見れていない工藤を背中の強めにたたくしかできなかった。一礼して去っていくのは何処か律儀に思えた。山辺は内容が聞こえたのだろうか。すがすがしい顔を押し付けるようにして見つめていた。

「これで今日の取り調べは終わりでしょ。貴方も急なことで身が入らないでしょうからね。」

立ち上がろうとしている山辺を止めるかのように新品のスーツを着た2人が来た。一ノ瀬に笑顔を振りまいていた。

「行ってきなよ。八木さんには恩があるし、借りも信じられないほどしているから。暴力団との交流話でも語ってもらおうと思っている。そのうちに八木のこと、解決してしろ。いいな。」

「すいません。」

一ノ瀬のつぶやく声が小さくても聞こえたのか二課の二人は送り出すかのように取り調べを始めた。

「山辺進って何処へ進んでほしくてつけたんでしょうね。裏に落ちて表で嘘をつくことなんですかね。」

「どういうことだ。」

続く取り調べにいら立ちを見せ始めたが素知らぬ顔してやれば通用しないことがわかるだろうから。机をコツコツと鳴らすのは集中力を切らすための原始的な方法なのだ。

「八木に感謝している奴は多いだ。周りや組織という鏡に包まれるしか興味がないと違ってね。政治家ってはき違えた集団だとしか見えない。正すなんて言う戯言を大量につぶやいて誰に助けろなんて上から目線や勘違いした数字を見ろと教えられたんだろうな。多くは官僚が考えているのに国民は知らないから偉そうにすると離れるくらいわかっていないと変な自慢話をしているようにしか思えなくてね。」

黒スーツがグダグダ言っているのを聞くつもりないのだろう。紺色のスーツは反省の態度をのぞいてみているようだ。

「あんたが指示して殺さしたり殺した人間以上に人生を狂わされた人間が多いことを知るべきだ。何時か出れるなんて言う幻想を見ているらしいが、出れないだろうな。弁護士にどんなに陰口を入れられても勝てもしないものになるだろうな。暴力団と組んでいたとか世間に知れ渡っている今、今まで見たいな生活はもう保障されていないのだから。」

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