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裏にもあるもの

「あんたは自分の薄汚れた利益しか見えていなかったのがすべてなんだ。理屈をこねることもできずに自分の穢れた過去を消すことに集中した。浮かび上がってくるたびに殺している姿は殺人鬼としか思えないのだ。あんたの父親も屑であるのは確かだろうな。目の前の利益しか目がつけないようにしたんだからな。」

八木は傍観者のような態度で山辺にぎらついたガラス玉を輝かしていた。言っているのは目の前しか見えないが故につぶすことが多いのだろう。豪邸に暮らすことができる犯罪者を容認した警察を始末するのが役目だと思っていた。

「君たちはいったいどんな勘違いをしているんだ。私は過去にも今にも殺人などしたことはない。何故、私が殺人を指示したりして何の得があるのだ。」

「そうやって得か損かなんて考えているから、人の思いも勘違いをしているのだろう。殺人の履歴は警察で示せるからね。此処では逮捕状を出すだけで済むね。榛原、一さん頼むよ。此処で見せびらかすのは俺たちは別にいいけどさ。」

彼の切り札の散らかせにビビッて警視庁についていくといった。暴力団の幹部をどうしようかと悩んでいたところにスーツの集団が現れた。

「八木さん。そこに横たわっているのが此処にかかわっていた幹部ですね。その件は我々が処理します。情報は捜査一課の貴方がたに流します。」

「ありがたいところに来てくれてよかったよ。それじゃ頼んだよ。この黒幕が裁かれて事件が終わりゆくのだから。」

2台の車が町に悲鳴を上げながら去って行った。工藤には八木に見えた闇が消えたような感じがした。それは思い込んでいるだけなのかそれが真実なのかわからないのだ。歩道を歩きだしたのを見て追いかけた。此処から何があるか誰も予測できないのだ。平行に歩くと自転車の邪魔になるのは百も承知の上で並んだ。

「工藤、警視庁に先に帰っていてくれ。」

「八木はどうするんだよ。」

「俺は此処の近くによるべき場所があるから寄って行くよ。」

言っている空気はあまりにも薄く感じてしまった。不安を押しつぶすものをもっていないは未熟さを実感するだけだった。

「必ず来いよ。お前を待っている奴は警視庁でもいくらでもいるからな。」

そんな不安げな言葉をつぶやいてもただ冷たく寂しく笑顔を見せて去って行った。工藤には相棒という看板を取り払う気持ちはなかったのだ。自分自身が望んでなったのに突然なくなってしまうことに対する心の持ち方を考えながら向かうしかなかった。


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