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画家としての使命

山辺は八木の言葉を気にすることはなかった。警察が事件を掘り起こさないという口約束をしたのだ。それを知っているのは数少ない人達だろう。山辺は車を見つめた。見たところで解決につながることはないだろうに・・・。

「お前はまさか・・・。八木幸助の息子である八木圭太か。」

「そうだ。俺は犯罪者の血とつながっているが育てたのはおふくろである能勢千尋だ。あんたも少なからず聞いたことのある名前だろう。あんたが指令したとしか思えないからな。」

彼の態度は欺いている詐欺師が真実を話しているときのように映った。反省の色をまとう必要などいらないといっているのと変わらない。山辺の後ろにいる影武者など光に充てられて消えてしまったのだろう。空は曇り始めている。天気予報では雨が降るといっていたためだろうか見知らぬ人達が傘を保険にもっているのだ。

「それじゃあ俺の過去の事件の掘り起こしをしないというのは幸助が捕まって消えてしまったのか?」

「当然でしょ。当事者もいない。法違反ばかりをする政治家なんて国の情勢をわかったふりで語るのが腹が立つのだ。捜査一課であればあそこに行けるのが当然だ。あんたらのくだらない事情でつぶされた事件の被害者はどう思っているのだろうな。コネとか権力で握りつぶされる信用のない組織と評価されるために受け入れた親父の親もすべての行動が屑だ。」

工藤は八木の放つ言葉の玉の強さに驚いていない。当然の結果だとしか思えない。疑惑から逃げる。自分の言葉から逃げるのはつばさえ飲み込めないために苦しんでいるのと同じだ。

「俺のことを覚えているはずないよな。俺なんて興味なかったんだろうし。」

一ノ瀬は独り言のように言った。山辺はいったいどんな戯言か陥れるための言葉かという顔で見つめているのがおかしいとか思えないが吐いたところで通じるほど頭はよくない。

「君は誰だ?」

「忘れるほどくだらない事件だったんだ。俺は一ノ瀬徳人。一ノ瀬という和食やを営んでいた夫婦の息子だ。八木の右にいるのが工藤昭。お前が教えてやれ。」

工藤はこくりと音が聞こえそうなどうなずいた。山辺の表情は崖に追い込まれて逃げ場のない組織の顔をしていた。

「俺の父親はハートサポートという警備会社を経営していた。銀行の融資など来なくても死ぬつもりがないことは一番家族が知っているんだ。あんたが口車に乗って親父を殺したとしか思えなくてな。画家がまさか残しているとは思ってはいなかったよ。」


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