新たな好奇心
「自宅倉庫なんて人が暮らせるんですかね。」
「まぁ、金持ちは規模とかいうのが見栄が違うからな。」
政治家の表情を見れない。どうして父親の会社をつぶされてまで尽くさないとならないのかと。恩を感じているかはわからない話以前の問題だ。
「此処に来るのですか。八木とかいう刑事は?」
「貴方は嘘を伝えてもらいますよ。管轄が違うというとばれかねないのでね。どこかで調べ挙げているのは事実だろうからな。」
「こうはどうです?謹慎中ということにしておけばなるようになると思うんですよ。刑事にも色がありますから。」
榛原はパソコンを動かすのに集中している。終わりはないからだ。捜査一課にかかわりのないのを感じさせないとならないのだ。
「政治家はテレビという公共の場で嘘を吐くのが正義だというのなら真実を変わることを望まないのだ。国民をバカにしてわかることもわからないのだろうな。」
「これが・・・。声というのですか。我々が大切にしているのがプライドだと評価されてもおかしくないですね。わかりました。八木圭太に関して謹慎中と伝えておきます。」
疑惑にしか興味がないのだ。政治家はそそくさと去っていた。テレビでは無言で行くのに裏では笑い転げているのだろう。自ら行った茨の道を他人の所為にして逃げるしかないのだろう。
「此処まで迫られると困るのは山辺進だ。彰浩を殺したとして此処には証拠がゴロゴロと転がっている。」
「息子を殺すなんてよく残酷なことをしますね。」
「まだ決まりってわけじゃないが少なくとも証拠を消したいだろうからな。テレビで何食わぬ顔しているだけで裏では残酷なことしか計画しないだろうから。」
自宅倉庫という言葉に引っかかる。ホテルに泊めるという考えはなかったのだろうか。奥の手としてのちに泊めて殺す計画だろうか。他人に動きを感じられないために。
「エリア情報システム、つぶれるようですよ。社長が捕まって次期社長候補が急すぎて間に合わなかったということを社長秘書の山辺彰浩が語っています。ネットニュースですけどね。」
工藤には謎だった。何故、倉庫に暮らしていた息子を表に出したのか。専務でも構わないはずだ。特に誰とかは思わないだろうから。
「此処までくると殺すと違和感しか残らないですよね。」
「そうか。資産を受け取り手を減らしたいのならここで減らすのはいいのか。」
鑑識の窓は木漏れ日が部屋まで届いていた。日付が変わるのが近いのだ。事件の終わりはもうすぐかもしれない。




