屑の異論
2人は鑑識に行った。料亭でとっていたとは誰が思うだろうか。これが灯台下暗しというべきであるのであろう。榛原に会いに行くと政治家の屑が来たのを回りで話したのだ。
「ここのおかみさんは押しに弱いのがいいね。これだから動かされるのだろうけどね。」
「八木さん、山辺は貴方を調べているようです。数日は鳴りを潜めるのがいいと思います。狙われかねないですよ。」
八木は仁王立ちの姿で榛原を見つめた。忠告には返事もなかった。工藤の目は窓ではなく天井を見つめていた。
「まぁ、山辺の事を調べてほしい。一さんには捜査一課の裏を突いているのを刺激してもらわないとな。そうでもしないといけないだろうな。」
「賭け事みたいなことは俺は許さないからな。八木はやりすぎることをしても誰も前は怒らなかったかもしれない。けどな、今はそうじゃないからな。」
工藤の口調は何処か強かった。相棒を失いたくないのだろう。その言葉とは裏腹に動いてしまいそうな八木を感じる。
「かけもどこかで勝つときがあるんだよ。何時も負けじゃダメだけどいつか勝つときを信じるのさ。終わりがあるんだ。」
八木は鑑識を出て行った。工藤の手は閉じたり開いたりを繰り返していた。
「あいつは何時下手な動きをしても援護できるように思っているんだ。捜査一課は動いてくれないのは知っているけど・・・。」
「動いてくれる人ならいますよ。知らないでしょうけど、二課や三課は慕っているのは知っていますよ。八木さんは知らないうちに仲間を増やしているんです。此処に入れるのもきっと。」
二課や三課の話を聞くことはないのだ。何処かで避けているようでもあるのだ。けど、工藤達には会釈をしていたから噂だけで慕っていたのだろう。
「ここが息を吹き返したのは八木圭太という人間がいたおかげなんですよ。汚職ばかりに染まってしまっていたのを愚痴を出さずに潰しにかかったのですよ。ヒーローであるはずの人間がわかっていないんです。」
「ヒーローだとは思ったことはないだろうな。嫌っていたから。此処から出てもいいからとは思っているんだけどな。」
工藤の小さな背中には隠された思いがたくさんあるのだろう。たまたまであったのではない。アタックして相棒になったのだ。
「悪役は政治家だけで十分だよ。偉そうに言うだけで何もわかっていないのに。お荷物大臣もいらない。炎上をさして偉そうに反論して反省の色を見せないのが屑さを見せるんだ。」
不満はいずれ出てくることを知っておくべきだ。




