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よれよれのもの

警視庁は何時から政治家の支配下になったのだろうかと思った。黛が逮捕されてから頻繁に来るのだ。暇だといっているの同じだ。捜査一課に来ては毎回飲み会らしい。

「黛が捕まって怯えているとしか思えないね。」

「怯えているじゃないんだよ。きっと。何処かで自分の計画が崩れるのが嫌なだけなんだ。」

八木の声はいつもより怒りを満ちていた。理解しようとしない姿が情けないということでは片づけられないのだ。呆れたともあるだろう。言葉で表すのですらおっくうという位だ。

「見つかりましたよ。山辺は宇佐美史郎と村沢巧の事件の前日にある店に行っています。自分で予約をしているので特定できるでしょう。電話番号で調べます。」

榛原はパソコンと戦っていると思ったことはないだろう。闘いがあったとして何処で戦っていると把握しているはずだから。そのことが今に導いているのだろう。真犯人を見つけないと終わらないのだ。冤罪を作り上げるのは手柄を上げているのではないと思っている。冤罪は人を苦しめているだけなのだ。誰の得かは誰がわかっているはずだ。

「榛原も鑑識に来て困る事はなかっただろうな。お前が新しい知識を入れたんだ。刑事なんて蹴落とすことしか考えていないものだからな。それに鑑識は道具としか見えていないことだってあるはずだろう。お前が変えたんだ。」

「俺は大したことはしてないよ。鑑識を困らせようと思ったら感謝されるんだから計算間違いを起こしたようなものだよ。けど、これでよかったんだよな。」

鑑識の応接室のソファによれよれのスーツがけだるそうに垂れていた。工藤は気にすることなくコーヒーを飲んだ。

「お前、スーツ買ったらどうだ?それか俺が買ってやろうか?」

「いいよ。使い捨てのつもりで着ているんだ。クリーニングに出すのは時間がかかるから自分でなんとなく洗濯していてこうなったからさ。」

「ここをやめてもスーツは無駄にならないからこの事件が終わったら俺が出せるくらいのスーツ買ってやるよ。」

工藤の目は光っていた。鑑識の人は聞いているだろうが、聞いていないフリもしてくれるので安心して開かせられるのだろう。それを聞いていたからといって突き詰めることはしないだろうから。

「工藤は良いのか?スーツを買わなくて。お前だって最近買ってないんだろう。」

「俺は時間がある日に買えばいい。それに予備はもっている。変えのスーツもよれよれじゃないからな。」

彼の顔は輝いていた。笑顔がうれしかった。


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