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怯える組織

八木が言われる通りの場所に行くと工藤は見たことのないマンションだとはっきり思えた。豪邸ともいえる建物だった。

「ここだ。行くぞ。」

「八木、後悔はないのか。」

「何が?ないよ。必要のない後悔とか迷いは捨てたんだ。なりたかった職に就けないのなら警察にいる親父たちに懲らしめることをしようと。」

セキュリティがキチンとしており簡単には入ることができないと思った。こんな縛り方をされているのだろうかと心配になってしまうほどだ。エレベーターホールで待っていると上層階といわれる人が愛想よく挨拶だけはした。裏に隠した本音を潰して。エレベーターでは防犯カメラがあってどこかを映している。八木が止まった。インターホンを押した。玄関がガチャと開いた。

「待ってたよ。圭太。隣にいるのは誰だ?」

「俺の相棒の工藤昭。俺のわがままとか注文とかに応えてくれるんだ。よくわかってくれてるよ。」

「そうか。上がってくれ。」

リビングには八木が言っていた画家らしきものは一切なかった。趣味と思われる歌手のCDがおかれている。本棚には沢山あった。ほとんどが刑事が関わってくることを宣言しているものだった。忘れてはいないといっているように。

「それで見つかった写真を見せてほしい。個展の時のパンフレットももらってきたからさ。大体は読み取れたから。」

工藤が写真を見せている中、圭太は冷蔵庫から缶ビールをとった。警視庁に戻らないといっているのと同じことだ。

「鏡東映はあるものを描いているように見えてメッセージを残しているな。絵の説明もまだ無名の時は自分でしないといけないからさ。」

「会社を信頼していなかったみたいですよ。源太郎さん。」

「なぜ君が名前を知っている。」

「八木からすべて聞きました。八木が弁護士になりたかったのになれなかったこと。貴方が画家となって八木を影で応援していること。」

源太郎は何処か寂しげな表情をした。家が抱えている問題は社会にまでつながることだともわかっているからだろう。

「あの家は何処かおかしいと思っているのに言えない家なんだよ。圭太は弁護士になりたくて資格ももってる。なのに、拒否された。いい仕事であるはずだよ。俺の仕事と比べて。だから考えたんだ。身内に敵を作りたくないんじゃなくて圭太ならすべてを明かされると恐れている証拠だとね。」

警察は1人のたった一人の人間に怯えてきっている。それくらいの切り札を持たれていると認識している。組織が怯える人間でもないのに。

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