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相棒の信頼

一ノ瀬は1人になった広い空っぽの部屋にいた。静かに時間が流れているのを感じた。視線を感じて振り返ってみると八木がいた。工藤はここに来るのを許可しなかったのだろう。もしいたときに攻撃されるのが見てられないのだろう。

「さっき、話していた人は誰ですか?」

隣の机の椅子に座った。前のめりだったことに驚きだった。事件以外の事は興味がないと思っていたからだ。

「相棒だよ。八木が来る前まで組んでいたんだ。俺もやる気なかった時期だった。それを好きにすればいいといってくれた奴だ。」

「信頼関係があるんですね。一さんを慕ってくれる人がいるんですね。けど、あの人はこちらに倒れるような人でしたね。あそこに居場所を感じないほど真面目な人ですね。けど、これ以上巻き込むのは嫌ですね。」

ブラインドの前に立った彼は影で何を考えているかわからないと思った。近くにいるのに遠くで見ているような感じなのだ。心が見えないのがこれほど不安にさせるのだと確信をした。

「八木が来ても八木について調べろといっていた。そっちのほうがたくさんの情報を得ることができると。けれど、捜査一課から離れたことになっているといつか狙われると思ってまだ相棒のままなんだ。甘えているんだよ。優しさに。」

「甘えればいいじゃないですか。悪いことをしているわけじゃないんです。善と悪の闘いで勝たないとならないんですから。彼も望んでいるでしょうね。兄貴と似てるんですよ。」

外の光が窓で跳ね返る。逆光で見えているものが見えなくなった。心配になってあたりを見渡すと八木が隣に立っていた。

「工藤は・・・。俺が考えていることをわかってくれていると思って甘えているうちに俺はあいつを裏切っているのかもしれないと幾度となく考えているんです。許してくれると思ってやっているんです。悩んでいることも知っているんですよ。それにこたえてやらないと思って奮闘していいのかと・・・。」

「お前の事は工藤が良く知っている。嫌といわれても相棒にしてくれといってきた人間だ。簡単にあきらめないだろう。八木は事件を追え。それであいつに応えているんだ。」

一ノ瀬の言葉は優しさに包まれたものだった。相棒がいたことを明かしたのは自分を悩んでいたことを話したのはつながるのだろう。相棒に甘えてもわかっている。つながりあっている何かにすがるだけでもいいだろう。それが何かにつながるのだとすれば。

「工藤の事を頼みます。何かあったときは・・・。」

八木の端切れの悪い言葉を聞き入れることはできなかった。


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