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悪代官の登場

鑑識にこもるのはきっと早く情報を集めることができると確信しているからであろう。一ノ瀬は捜査一課へといった。けだるそうにしている人間がゴロゴロしているだけなのだ。指揮官がいなかったら何もできないのだろう。逆らうつもりもないし流れるままという考えなのだろう。

「一ノ瀬。お前、あいつらに付き合うのか。」

「そうだな。此処に来るまでの労力の無駄だからな。見えかけていることがあるし、お前らみたいに勝手な組織的考えじゃ生き残れないからな。」

彼は大きなあくびをした。まるで何もしていないことに対して悪びれた様子もない。怠け者を見ているのだ。

「そういえば一ノ瀬、被害者だったんだな。八木幸助が手をかけた事件の。それはご愁傷様でした。」

小ばかにした発言にいらつたがかまうのは時間の無駄だと思った。気持ちがわからない正義感にはそのままにしてほしいと思った。1人が突然立ち上がった。後ろを振り返ると政治家が扉の近くで偉そうに傲慢な態度のまま壁に寄り掛かっていた。

「お前たち、これから飲み行くか?」

「はい。」

真昼間だというのに威勢のいい声が響いた。上には逆らうべきでないということがしみこんでしまったのだろう。いずれ抜けると思っていても抜けることができない迷路に張り込んだのだろう。政治家の顔がどこか頼っていることを後悔させるものだった。

「君も行くかね。捜査一課の皆に伝えているんだ。今回の事件から目をつぶればいい思いをさせるってね。二課や三課にもしたけど此処ほど効果があるところはなかったね。どうだね。」

「俺は行きません。やらないといけないことがたくさんあるので・・・。すいません。」

政治家はその言葉を聞いてにらみつけるようにしていたが作り笑顔のまま言った。

「そうかね。残念だ。」

「こいつ、ノリ悪くてすいません。人によっては忙しいんですよ。」

「そうか。それならいいんだ。それでは行こうか。」

大学病院で見るような集団で出て行った。かばってくれた奴は最後までいた。どうせ行くつもりなのだろう。

「俺がお前をかばったのは八木圭太や工藤昭達が今の真相に近づいているのに邪魔されるのが嫌なんだ。権力ある奴は簡単に握りつぶそうとする。それが許せないんだ。裁かれないといけないと思っている。だから・・・。」

頼み込むように土下座をした。プライドに逆らっているようには見えなかった。それが本心だというように。

「わかった。ただ頼みがある。あそこに混ざって情報を得て鑑識に行って伝えてくれないか。」

「了解。」

立ち上がった彼と一ノ瀬は手を握り締めた。


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