空回りする違反者
一ノ瀬と工藤は鑑識にいた。鑑識が調べたことを教えてもらうために来たのだ。せわしなく動く姿が印象的だった。
「八木はかえってきてないのか?」
「えぇ、まだですね。黛について調べてあります。証拠として認められるでしょう。それで一応、秘書についても調べてみたんです。」
資料を2人に渡した。秘書をするにはあまりにも経験がなさすぎると思った。
「この男は?」
「山辺進総理大臣の息子の彰浩です。入社してすぐだったみたいで他の社員は疑ったそうですよ。阿部登に対しては経験が少なからずあるから不満はなかったそうですけど・・・。」
政治家が裏にある企業はこうやってあっせんしていくのだろうかと思った。人事に対しても口を出すのだろうか。
「それも週刊誌に乗せる記事の事で阿部を解雇した次の日には実行したみたいですよ。タイミングが合いすぎていると思いませんか?」
あまりにも完璧すぎると不自然なのだ。そこまで淡々と進むのは疑問があるのだ。裏の指示は政治家がしていたとしたら・・・。
「ここまで計画性を感じることもないよな。もともと税金逃れのための会社だとしてどこかで計画が狂ったとしたら・・・。」
「沢山作って潰しているはずだ。榛原、調べろ。」
「了解ですよ。頼まれごとはいつもより簡単ですからね。」
ばれてはならないと思って土地も変えていたはずだ。責任者も変えていたとすれば探すのは難題だろうか。榛原はパソコンと対峙していた。フル回転をしているようだ。歯車をくるってしまわないようにしていたことはないだろう。望みはただ狂わすことだろう。
「一ノ瀬さん、どう思いますか?」
「政治家が裏にいるから圧力をかけているが上がいないから伝わらない。空回りしているように見えるな。テレビで答えないことが正義だととんだ考えしかないのだから。嘘を吐いて誰が得をするかなんて聞くまでもないだろう。奥さんが出しゃばってやったこともあるだろうに。ひた隠しにするくせに民衆をこんな人達といっている時点で他人事だ。国会と同じことして誰がいいといった。負けたのに負けたのだと気づかないのだろうね。可哀そうに・・・。」
一ノ瀬が語ったのは政治家の勘違いだった。何故、考えているフリをしているというのに偉そうにできるのだ。憲法すら守れないのに改正する理由は何か。違反しやすいようにしているのだろうか。問題は自ら作って自らが大きくしているようにしか思えてならない。傷口を広げていたがっているのにわかってないみたいだ。




