表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
118/188

時計が止まる

宇佐美史郎が残したことがあるはずだ。八木は何処か遠くを見るような眼をした。

「ここまでくると任意でも黛を呼ぶのが一番いいでしょう。」

「かけだな。それをしてしまうと確実に自殺するだろう。上からの指示だ。黒幕は上から目線が得意な人だからな。警察に声がかかったということは捨て駒を捨てるときだとしか思ってないはずだ。」

黛が犯行を認めるとは思わなかった。周辺を探しても証拠が出てこなかったということはもっている可能性は沢山あるのだ。

「榛原、黛清と加藤剛の別荘を探せ。同じ地域に集中しているはずだ。」

「探してどうするんだ。」

「黛は証拠と一緒にいることはないだろう。ただでさえボンボンで育てられたんだ。全てはわからなくても伝授されてあるとすれば・・・。数か所の別荘をもっていても可笑しくないんだ。」

榛原は急ぎでやっていた。事件を終わらせることがどこかの報いを受けるような感じがした。政治家は圧力を異常にかけてくる。守るのはちっぽけなプライドだ。誰かを守っているという空想で行われているだけで何もやっていないのだ。忖度が必要ならやめればいい。声が聞こえない聞けない届かない政治家はいらないのだ。

「政治家と暴力団が協力して作った会社だって知られたら元も子もないだろう。つつかれてはいけないすみを動かしているんだ。一番大切な人がいるのを忘れるのだろうな。」

国会も地に落ちた。いや、ずっと落ちていたのにわからなかったのだろうから。伝えることもできないのだから。告げ口もできないのもわからないのだろう。目の前の利益にいつしか落ちていくのだ。

「政治家が裏にいるんじゃだめですかね。」

「いけるよ。俺にはマスコミがいる。それを利用すればいい。呼び出すことも可能だ。だから証拠を急いで探せ。」

「わかりました。」

新人はさわやかさが散らばっていた。八木は考えた。刑事になったときも喜びがなかった。事件が解決してもどこか共感や同情が優先されているようだった気がした。道がどこかで途絶えてしまったのだ。気づかなかっただけなのかわからない。

「・・・八木・・・八木・・・。」

「なんだ?」

「考え事していたのか聞こえてなかったぞ。鑑識が動いてくれるって。黛もかくれんぼせずに出てくればいいのに・・・。」

「正論だよ。分からないから。権力に頼る事しかできないんだ。導いているのは闇だというのに。警察ももろくなってはいけないんだ。怯えることもなくな。」

難しいというように工藤は笑った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ