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記憶が滞る

彼は書店から逃げるように出た。話していた女性とは初対面であったがなぜあそこまで語れたのか不思議でならなかった。携帯が鳴っている音を2度無視したが、まだなり続けたためとった。

「はい。」

「やっと出てくれた。ちゃんとやっておきました。みましたか?」

「えぇ。なんとなく書店へいったら見出しが見えたのでやってくれたのだと思っていたところです。やらなくてもよかったんですよ。」

圭太が独り言のようにつぶやいた。社長はそれを感じて言い切るようにいった。

「良かったんですよ。証拠を渡すの今からでもいいですか?」

「かまいません。事件が終わりかけているんですから。」

彼の足取りは軽快だとは思われないだろう。重い何かがつい歩いているようであった。ビルは金があるものしか手を出すことができないのだろう。光が照らすのは一体なんであろうか。グレーのビルへと入った。一か所しか光がともっていないのだ。エレベーターを使うことなく階段で静かに上った。ノックして入った。

「意外と早かったですね。こちらです。」

ジップに入った髪の毛と次いでだろうかコップも入っていた。社長の手から圭太の手へと移った。温かいものから冷たいものへと移ったかのように。

「有難うございます。週刊誌は大変ですね。少しだけ読みました。」

「そうですか。うちの会社は業界の中では底辺ですよ。それでもわかってくれる人がいるだけでいいんです。・・・そうだ。今から飲みに行きませんか?」

「この時間、あいてますかね。」

「あいてますよ。俺の知り合いの人がやっている店がありますから。無茶を言ってもかまわないんですよ。」

社長は電車で行くことにした。八木はそれにただ付き添いのように空気のようにいるのだ。ピークを過ぎた電車はガラガラであった。

「貴方はどうしてその世界に入ったのですか?」

「貴方から質問されるのは珍しいですね。テレビに映る政治家の裏を見たくなったんですよ。仮面ばかりがうまいばかりで正論が聞こえないんです。だから、挑発したくて専門にしたんです。」

仮面という表現が正しいと思った。ボロボロの鎧をよく見せるのだけはうまいのだ。だが、かけているものがたくさんあるのだ。気づくのが遅いのだから。

「貴方はどうしてですか?」

「親父です。俺は学生の頃から弁護士になりたかったんです。けれど、資格も取ってやってなろうとしていた時に親父に何も言わなかったのに何処から聞き出しのか止められて今にいたります。」

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