歯車の刻む
テレビが映すのは自分の考えしか受け入れようとしない大人の姿だった。後何年にオリンピックがあるらしいのだが、地方の奴等は金は出すつもりはない。恩恵はくれと無茶を言っているのだ。そして前と進まないと人の所為にするのだ。お前らがごたごたにしていることもわかってないらしい。
「兄貴、罠を仕掛けておいて自分が引っかかって何もしていない人に怒っているみたいだ。この事件もそうなのだろうか。」
「エリア情報システムの事、調べたのか?」
つぶれたアルミ缶を見つめながらいった。圭太は素直に言うことを聞く子供のようにうなずいた。鞄から資料を出した。源太郎はそれを見て目を大きくした。
「阿部登は解雇されたのか。関係ないことに巻き込まれて。」
「そうだよ。辞めたと口では言っていたけど、本音を隠していたと思われる。それも同僚にされたと知ったら憤りを感じるけどな。」
「阿部はわざと訴えなかったと思わないか。村沢さんと交流があったんだ。目撃者が近くにいるんだ。脅すつもりであったのかもしれない。指示したのはあんただって。」
理不尽なことは世はよくあるのはわかっている。ただ嘘を言って守るものを間違えていることにすら気づかない人間が増えてきた。感情なんて関係ないと勝手に割り切ったかのように。
「『デスの悪魔』を代理で書いたとは詳しい人間じゃないとわからないことを村沢さんは知っているはずだ。パクリだと知られると売る事なく倉庫にしまわれることも計算されてあったとしたら・・・。」
彼の中にある何かが破裂した。それは大切なものなのか。まだわからないのだ。ただ破裂音がしたのだ。ホシは気づけるような人間か。それに近しい人じゃないとできないのだ。
「何か分かったのか?兄貴・・・。」
「・・・これは会社だけで済む問題じゃないんだ。政治家が歯車を狂わしって起こった悲しいものなんだ。此処で行われていたのは単なる駒に過ぎないんだ。ただある人物の存在を知らなかった。それは圭太と村沢巧だ。」
鏡でも見ることができないものがあるのだ。心の中なんてきれいごとではないのだ。自分の気持ちを通したいがためのわがままのために行われたものなのだ。一課は動かないのも納得してしまうだろう。
「ギャラリーを大量に作り潰さないのも此処を監視するためだったんだ。上がわからない人じゃないとできないだろう。とても理解できないことだ。」
「兄貴は離れることにしろ。ホテルとかで泊まってことが終わるまでいるほうがいい。」
「ダメだ。最後まで見届ける。それは兄として画家の仲間が殺された被害者の仲間として・・・。」




