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第76話:和やかな雰囲気

 


 ☆


 凪が退院した翌日、生徒会室に顔を出すと越智と岩倉が屍になっていた。



「お二人ともどうされたんですか!?」


「おう。凪お帰り~。どうもこうも岩倉のせいだよ」


「いや、僕もまさかこれほどとは思わなかったんだ」



 二人の屍にお茶を出しながら、紫藤が理由を説明してくれた。

 なんでもコンテストの募集に参加する為の写真を希望者のみ岩倉が撮ると告知をしたところ、一度でいいから岩倉に写真を撮って欲しいという女子が殺到し、本当の希望者か判断するのに急遽面接をする事になったそうだ。



「静香さん、面接そんなに大変だったの?」


「いや、内容はそうでもなかったんだけどさ、参加者の中で妙に卑屈なのがいてさ、宥めていたら全気力を使い果たして帯刀に変わってもらった」



 本当に疲れたらしく、げんなりと項垂れてる越智に近くにあったクッキーを凪は手渡した。



 “バンッ!!”



 いきなり扉が大きい音をたてながら帯刀が剣呑な表情で入ってくると、浩樹を睨みながら苛立たしげに口を開いた。



「浩樹交代だ」


「て、帰ってくるの早くないかい?」



 越智と交代して30分も経ってなかったらしい。

 岩倉は短すぎると訴えたが、帯刀は嫌悪感いっぱいに弁明した。



「どいつもこいつも怯えて答えないは、人の顔うっとりと見て答えないは、まともに話せるのが出たと思ったら……」



 帯刀はそこで言葉を切り、浩樹を見てから首を振った。



「いや、浩樹ではなく、紫藤が行ってくれ」


「ん?俺が行っちゃダメなのか?」



 浩樹が訝しそうにそう訴えると、紫藤が納得したように頷いた。



「成程迫られたわけですね」


「スタイルには自信あると制服を脱ごうとした」



 それを聞いた越智は椅子からずり落ち、岩倉は面白そうに身を乗り出し、浩樹と凪は顔を赤らめた。



「それは確かに大海原さんでは無理ですね。では、行ってきます」



 紫藤は呆れた吐息を洩らし、マイペースに部屋を出て行った。



「で、どうしたんだい?」



 紫藤を見送ると、先程まで疲れきっていたはずの岩倉が興味津々に続きを求めた。



「どうしたとは?」


「だから、その子脱いだのかい?」



 帯刀は嫌そうに嫌味をたっぷり込めて答えた。



「脱ぐわけがないだろう。『それほどに自信があるなら、ミロのビーナスのような黄金比なのだろうな?俺に見せて、もし1㎝でも違ったら…解っているのだろうな?』と脅されて脱ぐ女がいたら只のド阿呆だ」



 恐らくかなり嫌悪感を隠そうともせずに言ったのだろうな。と、越智は少しその女に同情した。



「黄金比かぁ。あたしの身体に、凪のメリハリがあれば完璧なんだけどなぁ」


「え!?あたしはウェスト細くないから……」



 自分のスタイルを例に上げられて、凪は慌てて否定した。



「いや、悪くない。

 樹神はバストもヒップもあるからウェストはそのくらいが丁度いい。だが、脚が長すぎだ」



 脚が長いというのは普通は長所になりそうだが、帯刀に言われると欠点に見えて、凪は少し凹んだ。



「こら!帯刀、凹ませてどうする!!」


「……凹む要素が何処かにあったか?俺は樹神のスタイルは良いと言ったのだが?」



 何処が悪かったのかまるで理解出来ないといったふうに首を傾げる帯刀に、浩樹がフォローに入った。



「凪は胸がちゃんとあるし、いいと俺も思うぞ?だから落ち込むな」



 すると、凪は顔を赤らめながら両手で胸を隠した。



「ひ、浩樹先輩のエッチ……!」


「ちょい待て!!なんで恭介の時はスルーで、俺だとそう言われるんだ!?」


「浩樹は言い方がエロいんだよ」


「視線が特にな」



 納得のいかない浩樹に、越智と帯刀が突っ込みを入れる様子を岩倉は面白そうに観察していた。




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