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第4話:出逢い【4】

 


 そう言われてみれば、確かに今日会った生徒会のメンツの中で一番頭が切れそうである。

 1年で単位を修めるのは不可能だから恐らく成績で修めたのだろうが、最早天才の領域である。



「帯刀はそんなわけで授業がないから、一日中生徒会室に籠ってるんだよ。

 あいつのお陰で、年度末決算、新年度に向けての各部費の設定、入学式の準備など受け持ってくれるから助かってる。

 相当負担をかけて悪いとは思うんだけどね」



 そう本当に申し訳なさそうな表情を浮かべてから、今度は苦笑した。



「ただ、あの通りの鉄面皮だろ?馨はあいつの事を嫌っていて、喧嘩絶えないは、浩樹の奴は物見遊山気取ってるはで、お陰であたしは頭痛が絶えないってわけさ」



 最後は愚痴っぽくなっているのが妙におかしくて、凪は思わず笑ってしまい、越智は眉を寄せた。



「おいおい、お嬢ちゃん。なんでそこで笑うかな?」


「ごめんなさい。越智先輩は皆さんが大好きなんだなぁって感じたものですから」



 意外なセリフにキョトンと凪をみると、凪はその理由を説明した。



「だって先輩、会長をまるで何もしてない人みたいなニュアンスで言われてるのに名前で呼んでる点から、彼を認めてらっしゃるのでしょう?

 帯刀先輩と紫藤先輩に至っては親愛の情すら感じます」



 そこで、一端区切りややひきつったように笑った。



「あたしには正直とても可愛いとは思えませんが、越智先輩にはそう見えてらっしゃるようですし。

 まぁ、あのお二人は似た者同士なんでしょうね」


「へぇ、似てるかい?あの二人」



 越智は予想していなかったセリフに軽く目を見開いた。



「似てませんか?

 自分と他人をマジックミラーで遮ってるじゃないですか」


「マジックミラー?」



「はい。相手の事は見透かそうとしている、若しくは見えているのに自分の事は他人には見えないようにしてるので、マジックミラーに例えてみました。

 そんなところ似てませんか?」


(面白い!)



 帯刀も紫藤も排他主義である。


 帯刀は小学生の頃からの空手仲間だし、紫藤に至っては物心がつく前からの長い付き合いだけに越智は二人をよく熟知している。

 だが、初見でそう言いきった凪の観察力は凄いと越智は感じた。



(こいつ、うちに欲しい!)



 去年、帯刀と紫藤のせいで生徒会のメンバーは半数の4人になってしまった。

 はっきりいって人手不足である。

 とはいえ、あの二人に太刀打出来る者なんてめったにいない。

 だが、凪はその貴重な人材に違いない。

 そう思うと、越智はいてもたってもいられなくなった。



「ごめん、お嬢ちゃん。急用を思い出したから今日はこれで失礼するよ。

 ゆっくり休んでくれ。それじゃあ」



 越智はそう言うと、凪にウインクを投げて、その場を風のように去っていった。



 

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