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8.ダッシュ(ダーシ)や三点リーダについて

 よくある「――」や「……」の話です。


**********


 小説を読んでいると、大抵出てきますよね、「――」と「……」。

 実はこれ、ちゃんと名前があります。「――」はダッシュ(またはダーシ)、「……」は三点リーダ(または三点リーダー)と言います。


 名前はともかくとして、ちゃんと使っていますか? いえ、別に使わなくてもいいんですが、例えば人物が言い淀んだりする時など、三点リーダ先輩にちゃんと挨拶していますか?

 僕はいつもお世話になりっ放しです。これらばかりに表現を頼ってはいけませんが、それでも必要なときは必要になります。



 基本、印刷業界や出版業界では、ダッシュも三点リーダも二つ続けて書きます。一つや三つではありません。二つです。

 異議を唱える人は小説の文体を読んで、それから異議を唱えて下さい。


*なお、『図書館戦争』や『王様ゲーム』、その他ライトノベルでは、例外があったりします。三点リーダを打ちまくっていたり、ダッシュのしすぎだったりしますが、僕がここで書くのは『業界的に』正しい使い方です。



 ダッシュは促音(伸ばす音、「ー」)を変換すれば出てくるはずです。三点リーダも同様に、「・」または「・・・」と打てば変換されるはずです。

 これはあくまでパソコンでの話なので、携帯やスマートフォンでの場合はすみません、知りません。


 さて、お待ちかねの例文タイムです。説明を見るより、まずは先にこちらを見て下さい。

 三点リーダのターンはまた後で。


 例文1

「ッ!」


 例文2

「――ッ!」


 完全にラノベですね。僕の別作、『夢違星蓮船』でもたまにやってます。いえ、あれはラノベなんかじゃなくて、その、あれですあれ。


 中学生の妄想の掃き溜め。


 ですので、決してあれはラノベではありません(今作を見た人が、『夢違星蓮船』を見てラノベかどうかと思うかの判断はお任せします)。



 えーと、説明します。例文1は中々唐突感がありますね。戦闘シーンで言うなら、不意打ちを喰らった時みたいですね。

 逆に、例文2は少し余裕があるように思えませんか? 例文1より、人物が少し考えていたり、状況を把握しようとしている感じが出ていると思います。

 つまりこの場合、例文1ではこのまま唐突感を出すために、続きを勢いよく、言い換えるならば流れよく書かないといけません。

 しかし、例文2だったら、この台詞の後に人物の思考を地の文で書けると思います。例えば、

『俺はその瞬間、目の前が真っ白になった〜』

 などと続けることができます。


 また、ダッシュにはこれ以外の使い方があります。


 これは色々な作家さんがやっていますが、地の文の一番最初、文章の初めの空白から始まるダッシュです。


 例文3

「これ、やるよ」

「……ありがとう」

 紅月は茶色の小瓶を英治に投げ渡した。カランとそれは彼の手の中で音を立て、綺麗に収まった。

 ――僕はそれが何なのか分からなかったが、渡されて今気づいた。猛毒だ。


 三点リーダの例文も兼ねています。ですが、まずはダッシュから。後でコピペするので忘れちゃっても大丈夫です。

 要するに、地の文が常時三人称視点で書かれていたところから、急に主人公の一人称が入ってくる場合などが、地の文のダッシュです。


 訳が分かりませんね。


 厳密に言うと、まず今まで三人称で書いていた地の文で、いきなり一人称を使うのはNGです。

 やっている奴、縦十枚に下ろすぞ――、と言いたいところですが、僕もどこかでやっていそうなので言いません。まぁ、気をつけて下さい。


 また、今ダッシュを使ったところ(「縦十枚に下ろすぞ――」)は、何というか説明が難しいです。どころか、自分でもなんでやっているのかたまに分からなくなる時があります。

 多分、ダッシュがないと気持ち悪いからとかそんな個人的なところからじゃないんでしょうか……。どうしよう、説明になってない。

 というわけで、忘れて下さい。


 で、最後にもう一つ。高田崇史(たかだたかふみ)先生に多いんですが、説明、いわば補足のダッシュです。


 例文4

 戦いの最中、彼は悠長にも煙草を――銘柄は分からない――くわえた。火を点けることはなく、ただくわえただけなのだろう。


 これは本当に説明です。

 接続詞の後にダッシュ二本、説明すること、ダッシュ二本。ダッシュとの間に句読点は必要ありません。

 これのいいところは、普通ならば文がおかしくなるところを繋げられる、という点です。

 逆に悪いところは、同じ文に二回以上続けてやったら駄目ということです。うまい話はありません。

 まぁ、無理矢理だけど可能な付け加えだと思って下さい。



ダッシュの意味。

1.人物の少量的な余裕時間。

2.三人称的一人称の場合。

3.無理矢理だけど可能な説明。

(4.台詞の余裕。)



 ネクスト、三点リーダ。三点リーダはダッシュよりは簡単です。説明が楽です。


 例文5

「これ、やるよ」

「……ありがとう」

 紅月は茶色の小瓶を英治に投げ渡した。カランとそれは彼の手の中で音を立て、綺麗に収まった。

 ――僕はそれが何なのか分からなかったが、渡されて今気づいた。猛毒だ。


 勿論ですが、三点リーダは言い淀んだり、言葉に詰まった時に使います。まぁ、言葉に詰まった時にダッシュを使う人もいますが、そこはお好きなように。

 また、こんな使い方もできます。


 例文6

 いや、流石のあの化物でも、あそこまでされたら、どうしようも……。

「――不許(ゆるさず)


 三点リーダとダッシュの組み合わせです。三点リーダをダッシュに置き換えてもいいですが、場合によって使い分けて下さい。


**********

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