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 妖かし   作者: 三日月
8/39

 割れたカップ

パリンッ!





洗って綺麗になったマグカップが突然割れた。こういう時、人は不吉な事が起きるのではないか…そ思うだろう。

大体は古くなり使っているうちにヒビが入り割れる事がある。


だが、新品はどうだろう?

一度しか使っていないのに割れる…。

しかもプレゼントされた品物。…俗謂う虫の知らせ…。






『やだ…タケシ君にプレゼントしたカップ…』





河辺はタケシの家に着いたばかり。

彼を待つ間タケシの母の手伝いをしていた…。彼氏、つまりタケシは出先から戻っていない。







『大丈夫?怪我しなかった?』

『…はい。でも…カップが…』

『これ、恵ちゃんがタケシにプレゼントした…まだ新しいのに…何だか…』

『はい…』





河辺は急に不安になりタケシへ電話をしてみた。






ポポポ…





呼び出し音が鳴るが電話へ出る気配がない。応答したのは留守番電話だった。






『繋がった?』

『いえ…』

『私達からも電話してみるわね?』





しかし河辺の時と一緒でタケシが電話に出ることはなかった。





『きっとマナーモードなのよ』

『私、宮澤君に電話してみます…もしかしたら一緒かもしれませんし…』






そう謂うと河辺は恭祐へ電話をした。

三回コールが鳴ったところで電話に出てくれた。






『…はい…どうした?河辺?』

《今、タケシ君の家に来てるんだけど…彼、帰って来なくて…》

『タケシが?』

《もしかしたら恭祐君の所に居るんじゃないかって…》

『ごめん。家には来てないんだ…』

《そう…実はさっきプレゼントしたばかりのマグカップが割れて…不安で…》

『ちょっと待っててくれるか?』

《…うん》







恭祐は”眼”を使った。

意識をタケシへ集中させた…。

これと謂って危険な信号は無かった。





『…ふぅ…多分だけどもう少しで戻ると思うよ』

《なら…良いんだけど…》

『大丈夫。…河辺に頼みますがあるんだ』

《頼み?…良いわよ》






そして恭祐君と電話を切って数分後

タケシは無事に帰宅した。河辺はタケシの母親と何をしていたのか訊いた。

本人は家へ戻る途中の出来事を話出した。


時間までに家に帰る事が出来ない為、近道で帰るかこのままで行くか迷っていたらしい。”とりあえず此処は近道”を選んだ。


だが、その選択は外れだった。

タケシが自転車を走らせている時、危うく事故に巻き込まれるところだった。

彼の目の前での事故。持っていたスマホで通報したのだという。


目撃者だった為警察から状況を聴かれていた。






『じゃぁ、何で電話に出なかったのよ?』

『だから着信があった時まだ説明してたんだよ。最近やたら事故死多いし…』

『…ねぇ、タケシ君、最近何だか疲れてるわ…』

『そう…?かな?』

『今日は家から出ないで居ましょう?』

『そうね。あんたも今日は疲れたでしょう?そうしなさい?』

『へーい』






『ピヨー!!ババひいたピヨー!!』

『やっと取ってくれましたねぇ〜』

『返すピヨ!』

『駄目ですよぉ〜ピヨ吉君がとったんですからぁ〜』

『ピヨーーーーっ!!』

(この会話母さんや父さんにはピヨピヨメーメーにしか訊こえてないんだよなぁ)

『勇、自分で選んだんだろう?』

『ピヨ〜…』






勇は自分の持つトランプのジョーカーを見つめた。恭祐が描いたピエロが勇にはこう見えた。”意地悪ピエロ”。

仕方なく手持ちのカードへ入れると頑張ってシャッフルをした。そしてある事に気づく。





『ピヨっ!モチスケ君!さっき僕の事”ピヨ吉”って謂ったピヨ!?』

『気のせいじゃないですかぁ〜?私はピヨ吉君と謂ったんですよぉ〜?』

『同じピヨっ!』

『呼び捨てと”君”付けは違いますよぉ〜?』

『ピヨ…確かにそうピヨ…』

(納得しちゃうんだ…)

『私の番ですぅ〜宜しいですかぁ〜?』

『いいピヨ!』

『どれにしますかなぁ〜?ん?』





モチスケが気づく。

一枚の怪しいカード。七枚のうちのトランプ真ん中のカードが少しはみ出しいることに。お互い元人間。


恭祐は椅子に置いてあった小説を手に取ると勇の持つトランプをチラリと見た。

はみ出るトランプを見るとスペードのAだった。左側に先程ひいたジョーカーがあった。


暫く二匹を見ていたが進まないので小説を詠むことにした。





『早く選ぶピヨ…』

『判ってますよ…今決めるところですよぉ…』





一時間経過。





『まだピヨ…?』

『まだですかぁ〜…』





さらにもう一時間経過。





『ピヨ…』

『むむむ…』





恭祐は小説を読み終え、また二匹を見る。

彼も”いい加減早く取ればいいのに”と思うのであった。生憎外は強風が吹いている。

外を見ると黒い影が数体動いていた…。自分の家の前ではないが不気味だった。


とりあえず彼は昼寝をする事にした。

目を瞑る…。






 ー夢ー




『このカップ気に入ってたからショックだなぁ…』

『本当…急に割れたのよ…私もショック…』



(ん?夢にどうして二人が?この部屋…そうかタケシの家か…)




『ねぇ、恵ちゃん…。俺、実は恭祐にお祓いに行けって謂われてるんだよね?』

『お祓い?』

『うん。昨日恭祐とメールしてたら、そう謂われた。心配かけたくないから謂わないで居たんだ…此処最近何度か危ない目に遭ってて…謂われた時はゾッとしたよ』

『…自分でも気にしてたから?』

『うん。恵ちゃんかくれたマグカップ…割れたって訊いた時本当に”何か”がおきるんじゃないか…って思ったしさ』





(そうだったのか…って此、今…何だよな?)






その瞬間、恵がタケシを心配そうに見る。

すると恵の方からそっと目を閉じる。






(っ?!俺!起きろ!馬鹿っタケシ!誘いにのるな!何でこんな夢なんだよーっ!!)




『はっ!』





恭祐は勢いよく起き上がる。

変な汗を流していた。






『ピヨ?』

『お?』

『はぁ…はぁ…』






時計をチラリと見る。

時間は十三時をまわっていた。







『はぁ…まだあのまま進んでないのか?』

『取りましたらよぉ〜?ピヨ吉君がまだなんですぅ〜』

『…同じ事だろう?』

『いいえ』

『ふぅ…兎に角起きれて良かった。…この力は要らないだろう…』

『”友の夢”を視たピヨね?』

『”友の夢”?』

『ピヨ。川野のお兄ちゃんに危険が迫ってるんだピヨ。そうじゃないと視ない夢ピヨ』

『どうしてタケシって判るんだ?』

『お兄ちゃん、唸りながら謂ってたピヨ。馬鹿っ!とか、何とかにのるなっ!とか…なんだか必死だったピヨ』

『うんうん』

『ああ…そう…』

(それなら起こしてくれよ…勇…)

『ところで何に対して謂ってたピヨ?』

『私も気になりますなぁ〜?』

『いや、気にしなくていい』

『気になるピヨ』

『確かにあの寝言を訊いてわぁ〜』

『しつこいと此やるぞ?』

『ビヨっ!』

『ブルァっ!』






恭祐の拳骨に二匹は降参する。


そして二匹共はまたトランプゲームへ戻った。勇はノリで”また”ジョーカーをひいてしまう。






『ビヨーっ!返ってきたピヨ!』

『ブラッラッラッラッ!ジョーカーが好きなんですよぉ〜』

『好きじゃないピヨ!返すピヨっ!』

『またそのやり取りか…』

『シャッフルピヨっ!』

『さぁて、私の番ですねぇ〜?』

(また止まるんだろうな…)






十五分後ー。







『ブッ…ルッ…アァァ!』

『ピ〜ヨ〜!』

『ふぁ〜…』





恭祐は頬杖をつきながらじっと見守る事にした。過ぎるだけの時間。





(そろそろ十四時かぁ…しかしよく飽きないよなぁ…?)







十四時ー。






『こいつだぁぁぁ!』

『やったピヨっ!取ってくれたピヨっ!』

『な、なんだ此はぁぁぁ!』

『ジョーカーピヨ』

『知っとるわぁぁ!何故返ってくるんだぁ〜!』

『ジョーカーが好きなんだピヨ』






見かねた恭祐が口をはさむ。





『取るまでに長いババ抜きだな?』

『此は戦い何ですよぉ〜』

『ふ〜ん。長期戦何だな?』

『そうなんですぅ〜。気を抜けない戦いなんですよぉ〜』

『ババの取り合い戦に見えるけど?』

『違うピヨっ!』

『そうですよぉ〜?立派なババ抜きですぅ〜』

『なぁ…?』

『何ですかぁ〜?』

『ジジ抜きの方が判らなくて良かったんじゃないか?』

『………』

『………ピ…』

『ピヨーーーーっ!』

『何でもっと早く謂ってくれないんだぁぁぁ?!』

『…気づくだろ?あんだけ時間かかれば?』

『神父としたことがぁぁっ!』

『ピヨォォォっ!』

『はぁ…』






騒ぐ二匹を余所に恭祐はクローゼットを開け、コートを取り出した。






『何処へ行くんですかぁ〜?』

『大分外も落ち着いたからな。犬の散歩だよ。一緒に行くか?ずっと座りっぱなしっていうのもどうかと思うぞ?』

『行くピヨ!』

『そうですねぇ〜少しは動きましょう』






ここてババの取り合い戦は一時休戦となった。この後、モチスケに悲劇が起きる。それは彼が立ち上がった時だった。





『よっこらしょっとぉ…!』







プスッ!





『……ぎゃーーーーっ!膝が!私の膝がぁぁ!』

『あ…画鋲だ』

『何でこんな所にぃ〜!?』






モチスケが座っていた場所を見ると予定表を止めておいた画鋲が一つ無い事に気づいた。窓を閉める時に外れてしまったらしい。






『立つ時はちゃんと見なきゃピヨ』

『普通ないですよぉ〜…ふぅ〜ふぅ〜』






勇は恭祐の所へ移動を始めた。

どうやら肩へ乗りたいらしい。勇はモチスケの足で躓き、尻餅をついたその時。






プスッ!





『ピ…ピ…ピヨーーーーっ!痛いピヨーーーーっ!』

『ちゃんと見ないと駄目じゃなかったんでしたっけぇ〜?』

『お尻がぁぁっ!お兄ちゃん!取ってピヨ!』

『全く…』







今回はトランプと画鋲で

しめてみました。


あまり幽霊ゎ関係していなくて

すみません(T^T)


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