神からの使い
今日和。
今回から新しいキャラクターが
登場します。
此方のキャラクターは
あたしのリアルで友人が書いている物語の仔です。
二人で考えました!
それではどうぞ。
『さて、宮澤!行くぞ!』
やっと放課後になり学校の裏へ行く事となった。矢井田は目的地へ着く間ずっと文句を謂っていた。
『全く!鬼だぞ!』
『…あ。先生、あれですか?』
『ん?そうだな』
「まだ嫌な空気があります。気をつけて下さい」
『それって…鬼が此処へ来るかも知れないって事ですか?』
「はい。この感じ…判るかい?」
『邪気ってやつ…ですね…。不気味な感じだ…』
「一晩経っているのですが…」
『ん?この場所…向こうには沢山柊があったのに…この場所だけ…どうして?』
「先程話した男性が全て取ってしまったんだ」
『だから封印を解いただけで外へ出られたのか…』
「鬼は棘が嫌いですからね…此は知っている人にしか思いつきません」
『先生?大丈夫ですか?』
『ん…?あ…うん。大丈夫』
『…先生?』
恭祐が矢井田の肩へ触れた。その時、最近までの出来事が脳内に映し出された。
まるで…映画のスクリーンの様に…。
矢井田には他人に謂えない出来事だった。
彼女には妹の様に可愛がっていた女性がいた。少し丸みがあり、髪は柔らかいセミロングでウェーブがかかった可愛い感じの女性だ。
二人は水着を身につけて海に居た。
どうやら季節は夏だ。楽しく泳いだりしている。名前は”亜依”と謂うらしい。
ビジョンは夏から冬へ変わる。
何処かのショッピングモール。
亜依は矢井田の誕生日プレゼントをこっそり買っていた店員から渡されると、そっとバッグの中へしまい込む。
矢井田は全然気づいて居ない様子だった。
次のビジョンはカレンダーだった。
十一月三十日に赤いペンで印があった。
どうやら亜依の部屋のようだ。
コーヒーとドーナツを二つづつ持って入ってきた。
次は待ち合わせをしていたらしく、亜依は矢井田が待つ駅へ向かっていた。
彼女は矢井田を見つけると走りながら
右手を挙げ、手を振っている。
それに気づいた矢井田も同じ様に手を振った。
その直後片手に缶ビールを持ちながらトラックを運転する男がいた。
亜依もそのトラックに気づき歩道で一歩下がり通り過ぎるのを待った。隣には一人男性が同じ様に待っていた。
しかし右側にハンドルをきったトラックは亜依を目掛けて突っ込んできた。
即死だった。
矢井田は目の前で自分の誕生日に大切な友人を亡くしていた…。
次は彼女と男性が運ばれた病院内…。
双方の両親や家族が居た。
髪が短い女性…亜依の母親。
仕事中だったのかスーツに身を包む男性、父親だろう。
そして、黒いコートを着た茶髪の男性…。この男性が矢井田を激しく責め寄っていた。口の動きから言葉を解読する…。
『お前が殺したんだっ!』
そして男は此処へ来た。
『はっ!』
恭祐は始終見終えると現実に戻り
矢井田の肩から手を離す。真夏でもないのに凄い汗をかいていた。
『……………』
『…宮澤…?』
恭祐は重たい口を開いた。
『…”彼女のお兄さんが”犯人です…』
『彼女…?まさか亜依…のお兄さん?』
『辛い過去をいじるようですが…その…』
『どうして…』
『彼は…先生と亜依さんが…待ち合わせをしていた事が理由だと…』
『…それは私も思ったよ。いや、謂われたんだ。…私の誕生日を祝う為に…』
「貴女は悪くありません!自分を責めないで下さい!」
『けど…』
『っ!先生っ!!』
恭祐は矢井田と西田より先に鬼の出現に
気づき、矢井田を自分の後ろへ庇うように隠した。
「その女を渡せ…ある人間が私に頼みに来た…」
『駄目だっ!先生は渡さないっ!俺が守るっ!!』
『…宮澤…』
「鬼よ!今のお前にはこの少年に勝てるとは思えん!」
「私を見張っていた奴か…お前こそ弱っているだろう…」
「私を喰うつもりか?」
「良い案だ…喰ってやろうか…」
『西田さん!!』
「後は任せたよ。…悪いね無責任で…」
『そんな事無いです!西田さんが居なかったら何も解らないままだった!西田さんっ!駄目だ!!西田さんっ!』
西田は恭祐の言葉を余所に井戸に向かって走り出した。恭祐は意を決し念を込めて書いた札を胸ポケットから数枚出し、封印する為姿勢を取る。
「井戸の中へ誘い込むつもりか?お前なんぞ手を伸ばせばつかまえる事など楽勝だ…!負けを認めろ!」
『喰わせてたまるか!先生も西田さんもっ!』
(…こいつ…子供と見ていたけど…案外大人なんだ…)
「ちんけなお前に某出来る?」
その時、一人男がやってきた。
『…貴男は…』
『矢井田…よくも妹を…!』
『お兄さん…』
『気安く口にするな!まぁ…呪いは始まってるらしいな…』
『どうして…』
『亜依はお前の誕生日を祝う為外出し事故で死んだ!当たり前だろう!』
「うっ…」
『しまった!西田さんっ!』
『私の事はいいっ!早く行けっ!』
『はいっ!』
恭祐は西田の所へ急いだ。
まだ喰われていない。早く西田を助けないと…その気持ちが強くなる。勇は午前中に力を使い過ぎた為、ぐったりしている。
今回は恭祐一人で何とかしなければならない。
『西田さんを離せっ!』
「宮澤…君…」
その時だ。空から何かが”落ちてきた”。
矢井田が気づく。
『ん?何か光った?何だ…重たい綿か…?』
『落ちてまぁ〜す。ん〜?人間と鬼ですかぁ〜…ん〜?お、お、鬼だとぉぉっ!』
その何かは喋りながら落ちてきた。
クロールをして戻ろうとすが、やはり落ちる。蛙泳ぎをしてみるが落ちる。 兎に角落ちる。
『ブッラッラッラッ…諦めますかぁ〜…』
矢井田は綿かと思っていたが空中で動くため、生き物だと理解し両手を広げ受け止める姿勢をとった。
…が、しかし…枯れ葉の山に突っ込んだ。
『あ…大丈夫か?』
『ブルァ〜イ…大丈夫ですよぉ…目が回ってまぁ〜す』
『羊?!しかも…喋ってるーっ!』
『ぐるぐる回るぅ〜世界がまぁーわぁーるぅー…はっ!鬼の姿が見えましたが?!』
『お前…戦えるか?!』
『無理ですよぉ〜ママンにリベンジしては鉄拳制裁で返り討ちなんですからぁ〜』
『そんな…何のために落ちてきたんだ!』
『落ちてきただなんて、私は降臨したんですよぉ〜?』
『どーしたって落ちてきたろ?』
『いいえ』
『空でクロールしてただろう?』
『いいえ』
その時羊は自分の足元に”封”と書かれた一枚の札を見つける。
『此は何ですかなぁ〜?』
『それは鬼を封印するために使う札だ……』
『……?』
『宮澤の力になってこぉぉぉいっ!』
『ブルァ〜ッッ!』
封印の札を持ったままの羊を
矢井田は恭祐のもとへ思い切り投げた。
『ブルァァァァァっ!』
丁度その時恭祐は鬼の動きを止め
井戸の中へ吸い込まさせていた。鬼は大きな唸り声をあげている。直ぐに井戸の蓋をする。後はもう数枚の札を貼るだけだ。
そこへ羊が札を持った投げ飛ばされた羊が
タイミングよく蓋に封印と書かれた札を貼り付けた。
『何だ?…こいつ…』
離れていた矢井田が恭祐の元へ駆け寄ってきた。
『早く札を!』
『あ、はいっ!』
井戸の蓋はカタカタと鳴っていた。
残りの封印札を貼ると静まり返った。
その様子を見ていた亜依の兄がやってきた。
『まさか…封じたのか…?』
『はい』
『退けっ!小僧っ!』
男は井戸へ近づくと貼ったばかりの封印を剥がそうとした。だが、恭祐と羊が貼った封印札は破ける事なくピタリとしていた。
『お兄さん…』
『あの…もう終わりにしませんか?先生もずっと気に病んでいましたし…』
『ふざけるなっ!』
『ふざけているのは貴男の方じゃありませんか!俺があいつに体当たりしていたとき…妹さんはずっと”兄を止めて”と訴えていたんです!』
『…亜依が…?』
「……」
『……』
暫く沈黙が続いた。
太陽はいつ間にか西へ傾いていた。
『判った。坊主の謂うことを信じよう』
『有り難う御座います』
『お兄さん…申し訳ありませんでした』
『もういい。謝ったって妹は戻って来ない』
この一言は矢井田の胸に刺さった。
「今日はどうも有り難う」
『いえ。此方こそ有り難う御座います…無事で良かったです』
「君も無事で良かった」
『また見張るんですか?』
「あぁ。君のお陰で力が戻ったからね」
『役に立てて良かった』
「…たまには此処へ来てくれ。待ってるから」
『はい』
そして、それぞれ自分の家へ足を運んだ。
恭祐の後ろをあの羊がついて来た。
『ところでまだ名前を訊いてなかったな?俺は恭祐。こっちは勇』
『ピヨ〜』
『私はモチスケと謂いますぅ〜』
『モチスケか暖かい名前だな?』
『そうでしょうかぁ〜?』
『モチスケのご両親はどんな…えと…羊なんだい?』
『馬鹿力なママンとぉドMなパパンとぉあっ!妹が居るんですよぉ〜…馬鹿力♀羊二号〜』
『なんだ…その紹介…』
『もっと訊きたいピヨ!』
『ところで私は貴男の所でお世話になってもいいんですかなぁ?』
『悪戯しなければな』
『そんな事しませんよぉ〜』
『だよな?やったら追い出されるもんな?』
『そ、そうですよぉ〜!』
『そうだ。お前に”わた羊”って名前つけられてるぞ?』
『格好わるいですなぁ〜』
そして恭祐の自宅へ着いた。
いつも同様冴の手伝いを少しやると二階の部屋へ向かった。
鞄を置き恭祐は着替えをはじめた。
勇とモチスケは恭祐お手製トランプで遊び始めた。着替えを済ませると机に向かい、教科書をとノート等を取り出した。
二匹は何やら話をしている。
勇は今までの事を、モチスケは過去人間であり神父だった事を話していた。
勇は彼が神父だと知るとモチスケを神の使いだと謂った。
『けどなんか凄いピヨ!』
『そうですかぁ〜?』
『神父様は好きピヨ!』
『照れますなぁ〜。でも勇君も凄いじゃないですかぁ〜?不思議なもんですよぉ〜?』
『本当ピヨ。あの時お兄ちゃんに会えなかったらどうなっていたかピヨ…』
恭祐は動物と動物の会話の方が不思議だと思った。一時間程経つとリビングから冴が食事だと彼を呼ぶ。
恭祐は一度机から離れると、食事を持ってくると謂い残し降りて行った。
キッチンへ行くと自分でオニギリを作る。
『オニギリ、謂ってくれれば作るのに』
『此くらい自分で出来るさ』
『それ、全部一人で食べるの?』
『…夜食…だよ』
『羊…見えてたわよ?可愛いわね?二階でピヨピヨメーメーなんで』
『あ…はは…』
(バレてたのか…)
『大丈夫よ』
親子でそんな話をしながら恭祐達の分をまとめ部屋へ運んだ。
『持ってきたぞ?』
『ご飯ピヨー!』
『待ちくたびれましたよぉ〜』
『悪い悪い。人間の食べ物で平気か?』
『大丈夫ですよぉ〜』
(ピヨピヨメーメーねぇ…)