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 妖かし   作者: 三日月
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蛇の目傘の持ち主

恭祐とタケシは窓の外に居る老婆に不安を覚えた。旅行先で力を使ってしまった恭祐と勇。タケシは視えるが彼等みたいにまだ、何も出来ない。




タケシの脳裏に浮かぶ言葉は不安の漢字二文字だった…。






『今俺と勇に出来る事はあの老婆が入ってこらないようにするだけだ…一日…何とか時間を稼がないと…』


『一日で良いのか?』


『ああ。二十四時間経てば力は戻るんだ』






要するに午前二時を回らないといけなかった。それまで十三時間…。





「…ごめんなさい…」


『君が悪い訳では無いだろう?武彦君は利用されただけだ。謝ることなんて無いよ』


「…はい」





『さて、やるとするか…今夜は騒がしくなるだろう…』

『ピヨ』






やると謂っても玄関や窓のそばに御札を貼るだけだ。現象には馴れたので構わないが流石に煩いと眠れない。






時間を待つしか無いので

恭祐達は買ってきた土産物を

整理することにした。



奈留の事も気になるが今は此方が優先となってしまう。外に居る老婆は此方に目もくれず余所へ視線をやっている。





『お兄ちゃん僕もやるピヨ』

『いや、いい。嘴でつつかれたら傷になるからな』


『ピヨ!』

『恭祐もつつかれてみろよアレ痛いぞ?』


『経験済みだからいいよ』

『ピヨ~』

『お前もかよ!なんで?』


『会社が休みで遅くまで寝てたらヤられた』


「ふふ」


『成る程』

『チョコレートディスコ聴きたいピヨ』


『後にしてくれ』

『ビヨ…』



「なんか楽しいね」


『そうかな?』

『楽しいよな?こいつらの会話』


「タケシお兄ちゃんもだよ」


『あらまー』

『こっちは社長の…あ、タケシそれもだろう?一緒にしておくか?』


『おう』

『ピヨ~ピヨピヨピヨ!』




「どうしたの?」

『ドーナッツ忘れてたピヨ…』


『買ってあるから静かにしろ』


「良かったねあるって」

『ピヨ!』






この作業は数十分で終わってしまい

後は残念だがやることが無くなってしまった。洗濯するものは今まだ回っている






『外…行きたいピヨ…』





勇は恭祐のベットで意気消沈しているように見える。ピヨービヨ…と謂い続けるので彼からデコピンをされてしまう。

余程痛かったのか短い羽で一生懸命さする。






『恭祐、今恵ちゃん居ないぜ?』

『悪魔の誘惑みたいだぞ?…未開封なんだけど、映画でも観ないか?』


『何の?』


『洋画。デッドコー○○ーなんだ。ほら』


『ビヨーーッ!骸骨ビヨーーッ!』

「それね、凄くハラハラするよ」


『へぇ…よし!観るか!て…恭祐、こうゆうの好きなんだ…』


『んー目に留まったから買ったまで』

『外れだったらどうしたの…』

『それはそれ。つけるぞ』






DvDを入れると勇はすぐ恭祐の肩に乗り

テレビへ背中を向けた。

勿論タケシから突っ込みが入った。






『何で?』

『怖いピヨ!』

『幽霊の方が怖いと思うけど?可愛いのも居るけど』

『僕は元から幽霊ピヨ』

『あーそーゆー事ね』




「おもしろーい」






始めから終わりまで勇はずっと恭祐の肩でぶるぶる震えていた。

一本が終わると続編を入れる。





『まだあるピヨ…』

『ファイナルまである』


『お兄ちゃん…いけずピヨ…』

『ピヨ吉、ピヨピヨ謂ってもつけるんだよ?』






三本が終わる頃、勇はげっそりしていた。それを見てか武彦はお腹を抱えて笑う。






『恭祐、あの女の子二人…一番キツかったよな…』

『あれは自業自得と謂えばそれまでだけど…ピタゴラみたいだったな…』


「それ僕も思った。って生きてるときは目を塞がれちゃったし、さっきは勇君と遊んでたから判らない。けど、アレだったんでしょう?」


『ああ』

『グロテスクだった…』





初めて観た二人だが

感想からして確かにハラハラした。

そしてグロテスクだった…。


その場面と最初の予知夢…。





『逃げられないのも嫌だよな…』

『ジェットコースターに乗った順番からだろ?』


『違うのもあるけど夕飯と風呂が終わってからな』


『もうそんな時間?!』

『ピヨ~ビヨ~ビヨ~』


「ねぇ大丈夫?」

『音がで想像したら怖くてピヨ~』




「情けないなぁ」

『仕方ないピヨ~僕は小学一年ピヨ~子供なんだピヨ~』

「…ごめん…失礼だったね…」

『全然いいピヨ。今とても幸せピヨ。お兄ちゃんが居て二人で幸せピヨ』





それを訊いた恭祐は嬉しかった。

勇を武彦に任せ、夕飯の支度に取り掛かる。風呂はタケシがやってくれている。






「あめあめ 降れ降れ 母さんが…

ふふふ…恭祐君…早く外へ出ておいでぇ…ふふふふふ…」




傘立てにあった武彦が持っていた蛇の目傘は

老婆の手に握られていた…。

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