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 妖かし   作者: 三日月
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霊たちの集まる場所 後編

女の霊は恭祐へ手を伸ばす。

タケシは実体化していない者が触れられる訳がないと当たり前に思ったその時…。




恭祐自ら右手て女の手を振り払った。






ぱしんっ!





『なんで…?触れるのか?』


『触れることが出来るのはお兄ちゃんだけピヨ。一度死にかけたお兄ちゃんは身体のまわりに見えないオーブで…えぇーとぉ…ピヨォ…?』


『ピヨ吉…頼むからこの場面でソレは無いだろう…ピヨ吉…』


『ピヨ!二回謂ったピヨ!今っ!』






勇は恭祐の足元で小さい身体を

上下させる。


女の霊はニヤリする。

触れることが判ったからだろう…

足元を見て油断している恭祐を押し倒した。






『うわっ!しまっ…っっ!』




女は恭祐の上に跨がり顔を近付けた。

息がかかる位近い…。長い髪が彼の頭と顔を隠す…。







「その紅い目…素敵ね…殺すには…勿体無いくらい…うふふ…ねぇ?こっちの世界も…悪くないわよ…」


『痛いっ!離せっ!俺はそっちの世界に逝く気は無いっ!』


「そう…?それじゃとり憑いてあげる…」


『ピヨピヨっ!ヤバいビヨー!変化するピヨ!』

『駄目だ勇っ!』


『恭祐!何謂ってるんだよ!状況考えろよ!』






タケシがそう恭祐へ訴えていると、背筋がゾッとする感じがした。

後ろを視ると小学一年生くらいの男の子が立っていた。


肌は蒼白く目の回りにはクマがあり

そして…まただ。眼球ない…。





『こっちも…ヤバいか…』

『ピヨ!そんなに危なくないけど危ないピヨ!』





男の子もゆっくりとタケシへ手を伸ばす。しかし、触れようとしたものの弾き飛ばされてしまった。男の子はそのまま壁を通り抜けたがまた此方の部屋へ戻ってきた。






『戻って来ると思ったピヨ!ビヨー!お兄ちゃんっ!』




勇が恭祐を見ると憑依されるところだった。彼は懸命に抵抗している。得意のげんこつをしてやりたいが、両手が塞がれているため出来ないでいた。






『くそっ!』

(そうだ…まだ試したことはないけどあの人から教わったアレを唱えてみるか…)




彼がそう思った時勇が何か言葉を発した瞬間、勇の姿が消えた…。代わりにタケシの様子がおかしい…ウトウトしだしたかと

思えば意識がはっきりと戻る。





『タケ…シ…?』





タケシの視界に恭祐が居る。

手を合掌させると経を唱え始めた…

まるで彼であって彼でないようだ…。



途端、男と女の霊が苦しみだした。

恭祐の手首を離し頭を手でおさえ身体を転がしながら苦しむ。

男の方を視ても同じことだ…。


経が終盤に差し掛かると二人の肌が黒っぽくなり皹が入った。

強い光が部屋を包んだ瞬間恭祐は気を失った…。





少しするとタケシと勇の声が

耳に入ってきた。






(ああ…。また気を失ったのか…)

『ん…』




『恭祐!』

『お兄ちゃん!良かったピヨ』


『タケシ…勇…うっ…なんだ?頭がボーッとする…』


『大丈夫か?』

『まぁ…なんとか…どうなったんだ?』


『タケシお兄ちゃんの身体を借りて祓ったピヨ。変化より体力を使わない事を思い出したんだピヨ!』


『意識はあるんだけど自分じゃない感じだったぜ…なんか気色悪い何かが

俺の中に入って…』


『気色悪いとは失礼ピヨ!折角祓ったのにピヨ!』


『勇、力及ばなくてごめん…』


『謝る事なんて無いピヨ!けど、部屋のお祓いは出来たけど…廊下とかが…出来てないピヨ…』


『そうなんだよなぁ…恭祐は気絶してたし俺とピヨ吉で変な会議してたんだぞ!』


『…ごめん…て変な会議?』


『気にしなくていいピヨ。さぁ!お札を持って各部屋と廊下に貼るピヨ!』







勇の言葉にタケシは愕然としていた。

無理もない。ホテルの部屋数はこの階だけでかなり有る。それを一枚ずつ丁寧に

貼らなければいけない。


恭祐はゆっくり起き上がると束になってある札をバックの中から取り出す。






貴重品を確めるとドアの方へ行き

先程閉めたら鍵を開け廊下へ出る。







『う…やっぱりなんかじっとりじゃないけど…嫌な感じだよな…』


『そうだな…けど、廊下の奴等だいぶ減ったな…着たときとは違う…』


『ま、まぁな…』







お札は一部屋感覚で貼ることにした。

一人は廊下、一人は部屋を担当する。

部屋担当は恭祐、廊下担当はタケシ。







一枚貼るのに結構力を使うため

体力勝負になる。慣れていないタケシには少し酷かも知れないが我が儘謂ってる場合でもない。


それに、戻ってこないところを見ると

彼女達は大浴場を満喫しているのだろう。女は気の合う友達と居るとつい恋ばなをしてしまう。


恐らくその類いなのだろう…。








次回は女子達メインの話になります。

タイトル未定です…。

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