霊たちの集まる場所 前編
やっと!やっと!続きができました!
前編ですがとうぞ。。。
嶋田が出て行くとタケシが恭祐の隣へ立つ。
『なぁ、この階…何だか息苦しくないか?』
『タケシも気付いてたんだ?』
『途中からだけどな』
『…とりあえず窓を開けよう…』
恭祐はレースカーテンを退けると
窓を開け始めた。夏が終わったばかりということもあり、暑い風が入る。
彼女たちは二人に何故開けるのか訊いてきた。
『空気の入れ換えだよ』
『ふーん…』
奈留は恭祐に特別な力があるのではないのかと、気付き始めていた。
そのせいか、奈留は恭祐の”行動”を観察していた。彼の行動におかしな点があると
結び付けている…。
彼女の考えは間違えてはいない。
この時の奈留は…正直不安でいた。
恭祐は部屋を見回している。
『部屋、二つが良かったかな?』
そんな奈留に恵が訊いてきた。
彼女は突然の言葉に恵を見る。
『え?』
『だってずっと恭祐の事みてるから』
恵は申し訳無さそうに謂う。
奈留は両手を否定の意味を込めて小さく振る。
『ただ…彼、たまにおかしな行動をとるから…何だろうって…そう思っただけだから』
『…そう…あ、おかしいって謂えば…タケシ君も…』
『タケシ君も?』
『うん。一昨日何だけどね夕方二人で散歩をしていたの』
恵は人差し指を顎へ当てながら
よく思い出そうとしているかのように
目は少し上向きだ…。
『いつもみたいに話しをしながら送ってくれたの。けど、信号機付近で急に顔色が変わって…』
『どうして?』
『判らない。ただ、”早く行こうか”しか謂ってくれなかったし…急ぐって感じ?その後は悲鳴あげたり…何も無いのに』
『…あたし達に…視えない者が視えるの…かな…』
奈留は真剣な目で恵から恭祐とタケシを見た。恵は何気なくデジカメを取り出し二人を撮った。この時、もう一人写って居ることも知らずデジカメをしまう。
『って、怖いこと謂わないでよ…』
『ごめんごめん』
『だけどね…私もそう思う時がある…』
恭祐はタケシとの話を中断すると
二人へ汗を流しに温泉へ入って来るよう提案した。
『俺達は後で直ぐ行くから』
『そうね?奈留ちゃん、行こう?』
『う…うん』
奈留と恵は支度を済ませると部屋を出た。
残った恭祐とタケシは互いに目を合わせ
無言の了承を終え、部屋を視る。
この階は霊達の数が多い為容易いことでは無いだろう。
恭祐は『眼』を使った。
またタケシも出来るだけ集中させる。
…居た。
『…』
『…あの…』
恭祐が口を開くと窓の外を見ていた男が
二人へ振り向く。男は驚いた顔で恭祐とタケシを見る。そしてー。
「視えるのかい…?」
『ああ。この為に二人には出て貰ったんだ。だろ?恭祐?』
『ああ…』
「そうか…」
『あんた…どうして俺達を敵視してるんだ?』
「敵視なんて…とんでもない…思い出してしまったんだ…ずっと前…遠い昔、このホテルのこの部屋で女に殺された時の事を…」
『え…この…部屋…で…?』
「そうだ」
タケシは横目で恭祐を見る。
恭祐は慣れているため彼の話しの続きを待つ。
男の話しによるとこのホテルが建った時424人目の宿泊客だったことを告げられたら。そして自然とこの部屋に泊まる事になったそうだ…。
彼の名は畠山登二七。一緒に泊まった彼女は宮山かおる二七。
『マジかよ…424人目なんて…数字からして…』
『けど、それは避けて通れないな…』
「タケシ君だったね。俺も訊いたときはそう思ったよ」
溜め息をつくと彼は続きを話し始めた。
ーその日の彼女はこの部屋へ入ってからどこか機嫌が悪くてね…何とか機嫌を取ろうと頑張ってはみたんだ…ー
『何よっ!気安く触らないで!』
『なぁ、どうしたって謂うんだよ?』
『知らないっ!よく判らないのよ…イライラするの…』
『せっかくの旅行じゃないか…楽しくしようよ?』
『…判ってるわよ…』
ーだけど機嫌を直すどころが益々わるくなっていってね…仕方無くその日は早めに寝ることにしたんだ。けど…物凄い痛みがし、起きたんだ…そしたら彼女が俺に馬乗りになった姿勢で腹や胸を何度もナイフで刺していたんだー
『あーーーっ!』
『や…やめ…』
ー彼女の顔はまるで鬼のようだった…それが俺の最後だよー
『『……』』
「この階には沢山の霊が居るだろう?あいつ等はその時から居る奴らさ。いい加減お祓いをした方が良いかと思うんだけどね」
『えっとぉ…畠山さんは何故まだ…?』
「さぁ…ただ成仏出来ないのは確かだが…悪霊にならないだけ凄いよ」
『畠山さんの事は俺が成仏させます』
『そっか。お前とピヨ吉なら出来るもんな?』
『ピヨ吉じゃないピヨ!』
『ほら、俺ちゃんのお陰で出番あったろう?』
『ピヨ!…何か可笑しいピヨ…』
短くてスミマセンです…。




