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 妖かし   作者: 三日月
26/39

イワクツキ ノ ホテル

3ヶ月振りの更新となって

しまいました…すみません(T^T)

妖かし…スランプでしたm(_ _)m



九月三十日 火曜日。



恭祐達は休みを利用し、久し振りに

タケシ、恵、奈留と旅行へ行くことになった。申し分ない天気だ。ホテルは恵が格安で泊まれる所があったらしく○○ホテルに予約を入れてくれた。平日と謂うこともあり空いているだろう。川も近いのでタケシは大喜びしている。





『わぁ!此処のコンビニ…全部茶色何だね?』

『恵ちゃん子供みたーい』




『女子って元気いっぱいだよな?』

『まぁな。けど、それは誰もだろう』

『だしょよねー?』

『ん?』





タケシがお腹をさすっている事に気づき

ハンドルを回しながらチラリと見る。





『…実は昨日から腹具合が悪いんだよ…』

『…何かと思えば…薬飲むか?』

『サンキュー。やっぱり腹痛(はらいた)といえばアレか』

『当たり』

『ピヨ〜』

『おっ!ピヨ吉!』

『ピヨ吉じゃないピヨ!』

『じゃぁ…黄助』

『ぶっ!』

『ピヨッ!お兄ちゃん酷い酷いピヨッ!』

『はははっ!恭祐最高っ!』





この時、宿泊するホテル側で四人が使われる部屋を四十代半ばの二人が清掃していた。


矢澤という清掃員が口を開く。




『この部屋、本当に予約が入ったの?』

『ええ。そうらしいわよ?だからこうして掃除ゎしてるんじゃない?ま、確かに夏中二組しか入らなかったけど』





と、矢澤の問いに応える成瀬。





『予約が少ないから気になってて』




矢澤はシーツを取り出しながら謂う。

そこで成瀬が矢澤が知らないのだと初めて気付いた。





『ああ、貴女知らないのね?』

『知らないって?』






成瀬がシーツを受け取る。





『…この部屋が予約が少ない理由よ』

『理由?』

『そう…実はこの部屋…ん〜…この階、出るって話。私が、入った時は結構賑わってたんだけど次第に宿泊客が減っていってね…いつか訊いたのよ。この階に泊まったお客さんに…』






話をしながらもシーツを綺麗にセットした。もう一つ取り出し、ベットマットへシーツをかける。




成瀬が過去に訊いたという話をし始めた。

昨年、八月十四日の事だ。






いつも通り仕事をしていたらこの階の

角部屋に泊まったお客さんが夜に変な声がするって、謂っていたのよ。



私は”隣を使うお客さんだったのかも

知れませんね”って返したら…隣に泊まっていたお客さん大人三人だったとか…それで気になってスタッフに訊いたのよ。


そしたら”またですか?”って

 その日以来この階だけ特別料金になってね…安いからって沢山の予約も入ったんだけど、この階に泊まるお客さん達が口を揃えて謂うのよ。


”変な声がする”とか”足音がする”とか

”壁を引っ掻く様な音がする”とか…。





成瀬が話し終えると、まだ疑っているのか

矢澤は首を傾げた。




『そんな事、本当にあるの?』

『私も訊くまでは疑っていたんだけどね…ただ、泊まるお客さん達に次々謂われたりされちゃうと…』

『へぇ〜。成瀬さんは此処で働いてどれくらいなの?』

『私は九年だったかしら?』







一方恭祐達は車を走らせ続けるとテーマパークへと着いた。チケットを四枚買うと中へ入った。恭祐はタケシの後に続いた。

午前中は此処で時間を使う。


ジンギスカンの匂いがしてくると

タケシは腹痛を忘れ子供の様にはしゃいだ。奈留と恵は濃厚なソフトクリームを堪能していた。




『いつの間に買ったんだ?』

『入ってすぐそこのお店に行ってたピヨ』

『そうなんだ…。俺も食べよう。暑いし』

『ジンギスカンは?』

『昼には早いぞ?』

『いいじゃん!食べようぜっ!ジンギスカン!』

『少し休ませてくれ』

『じゃ、ソフトクリーム食べて休んでからジンギスカンな?』

『川野のお兄ちゃんジンギスカンばかりピヨ』

『お前食べた事ないのか?』

『あるピヨ』

(タケシと勇の会話…なんか慣れないなぁ)





四人はソフトクリームとジンギスカンを腹に入れると、子供向けのショーを楽しんだ。恭祐とタケシは終わるまで待つ。

何故かというと勇が戦隊ショーを観たがっていたからだ。



お昼過ぎまでそのテーマパークで楽しむと

次はヤナへ行くことになった。






『あたし鮎の掴み取り初めてだから楽しみだなぁ〜』

『奈留ちゃんないの?』

『うん。恵ちゃんはあるの?』

『あるわよ。ヌルヌルしてるから難しいのよね…』


『頭と尾を掴めば逃げられないよ?』





タケシが割り込んで簡単に説明する。






『さっき食べたばかりなんだから

程ほどにな?』

『そうね!食べ過ぎちゃうといけないもんね』

(奈留…なんかちょっと違う…)

『ピヨ〜♪ピヨ〜♪お魚さんピヨ〜♪』





タケシは宿泊するホテルの料金が

気になったのか話を変えた。






『けどなんで泊まるホテル、一人五千もしないんだ?なんか怪しくないか?』

『う〜ん…階段ばかりだとか?』

『えっとぉ…確か物音が酷い為って記載されてたかしら?』

『それならもう少し高くても良いんじゃないか?恭祐はどう思う?』

『知らない方がいいかもな?』

『えーなんでー?』

『んー。案外雨漏りが酷いとか』

『わー…』






タケシは恭祐の言葉に部屋を想像した様子だ。



カーテンは濡れ、ベットはカビだらけ、畳部屋に茸。そんなホテルがあったら廃墟だろう。四人は鮎の掴み取りを楽しむと、あっという間にチェックインの時間が

迫ってきていたので、ホテルを目指した。






『田辺様ですね?只今ご案内させていただきます』






フロントでチェックインを追えると体つきのいい嶋田という男性が

部屋を案内してくれることになった。

荷物をカートに乗せるとエレベーターに乗り込む。


この時、恭祐は嶋田の隣に立っていた。





『…あの…お客様…』

『はい?』





恭祐は嶋田へと返事した。






『もし、この階がお嫌でしたら夜中でも構いません…お声をおかけ下さい』

『…出る…て事ですか?』





嶋田と恭祐の後ろで三人が楽しく喋っている。二人は出来るだけ小さい声で話す。






『はい。料金はそのままになりますので…』






その出るという階に着いた。

エレベーターを降りると不気味な感じが漂っている。流石にタケシもその異変に気付いた。






『あの…』

『はい…』

『”夜だけ”何ですか?』

『…はい』






恭祐は眼を使う。

すると廊下には数十体やせ細った霊達が居た。口を開けたまま天井を見ている小さい男の子。ドアの前で立ったままの老婆。






『こんなに沢山…』





恭祐がそういうと嶋田が”え?”と声を漏らし彼を見る。彼の目には驚いた表情の恭祐をとらえていた。


”もしかして視えているのか?”

そう思わずに居られなかった。

嶋田は幼い頃から”変な者が視える”体質だ。


親や友人に居るハズのない人が居る。

誰も居ないのに自分だけが視える事を

気味悪がられていた。


小学六年になると自分には霊感が有ることに気付かされた。担任が視える人だった事で”お前霊感強いんだな”。

この一言で初めて知ったのだった。


それを親や友人に話して訊かせると

今まで気味悪がっていたのが好奇心の塊で

訊いてくる様になる。

そしていつしか、毎日そればかり。

気味悪がっていたくせに…そう思うようになり高校を出るとすぐ家を出て

住み込みで働くようになった。


そして今此処に居る。





『君…あ、お客様…ひょっとして視えるんですか?こいつらが…』

『あ…』





恭祐は、しまったと思ったがそれは直ぐに

消えた。何故なら嶋田は複数の言い方をしたからだ。






『はい…十数体…』

『こいつらが…格安の理由なんです』

『納得ですね』

『では”何か”あればフロントまで』

『判りました』






嶋田は部屋へ通すと荷物を

運び、念を押して”何か有りましたらフロントまで”と謂い部屋を後にした。

恭祐は渡された部屋の鍵を見つめた。




ー306ー












今回は短めとなってしまいました。

いかがでしたでしょうか?


この続きは今週~来週にかけて

投稿します。

落ち着きましたら

活動報告でお知らせ致します。

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