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 妖かし   作者: 三日月
23/39

 ともだち 

此方から

続 妖かし と

なります。よろしくお願いしますm(_ _)m

俺は高校三年生の時、ある女に”眼”を貰った。その時から俺は視える様になった。いわゆる幽霊という奴を…。

そして俺にはまだ守護霊がいない。

ツキビトとして勇が護ってくれている。




『今日はまさかの残業だったな…』

『お腹空いたピヨ…』




恭祐は腕時計を見る。

時間は21時を過ぎていた。



『弁当でも買ってくとしよう…』

『グラタンが食べたいピヨ!』

『昨日作ってやっただろう?二日間連続じゃ太るぞ?』

『大丈夫ピヨ!』

『駄目だ。暫く我慢するんだ』

『ピヨーーっ!それじゃハンバーグにするピヨ!』

『勇、高カロリーだぞ?』

『ピッ…高カロリーの食べ物の方が美味しすぎるのが悪いピヨ』

『減らず口…。まぁいいか…』

(明日から低カロリーにしてやる)





恭祐達はコンビニへ着くとハンバーグ弁当とサンドイッチ、ウーロン茶を籠に入れた。レジへ向かう途中久し振りに成実に会った。卒業してからは会うことが出来ずにいたため話が弾む。お互い明日は休みということで、恭祐のアパートへ成実が来ることになった。






『ところで松丘とはどう?』

『仲良くしてるぜ?そういうお前はどうなのよ?』

『…俺?…まぁ…』

『何だよその返事〜?勿論仲良くしただろ?』

『…まぁ…それなりに…』

『お前さ、もう少し攻めてもいいんでない?』

『こういう性格なんだから…仕方ないだろ…』

『何顔赤くしてるんだよ!』





成実はお構いなく恭祐の背中をバンバンと叩く。久し振りにはしゃぐ。




『そんなに叩かなくても…』

『あ!恭祐のアパート、何処よ?俺も車で来てるんだ』

『そっか。それじゃ着いてきてくれ』

『おーう!初心者のペタつけで?』

『それはやめてくれ』

『だよね〜』

(お腹空いたピヨ)




恭祐と成実はお互いの車へ乗り込んだ。

運転席に座るとエンジンをかける。




『久し振りだなぁ』

『今日は大人しくハンバーグ食べてるピヨ』

『別に、いつも通りでいいだろう?』

『それでいいなら喜んで!ピヨ!』

『クス…久し振り過ぎて夜更かししちゃうかもな?』

『僕は先に寝るピヨ』

『そうだな。成実は夜遅いみたいだからその方がいいかもな』

『ピヨ!』

『明日は西田さんの所へ行けるだろう。久し振りに行くか?』

『行くピヨ!』





恭祐と勇は明日の約束をすると、勇のお腹が鳴るので仕方なく車の中で食べさせた。時々揺れるので勇は思いきり顔を突っ込んでしまった。見事。ハンバーグのソースまみれだ。



勇は運転する恭祐を潤んだ目で見る。

溜め息をつきながらティッシュを二枚取り、勇へ渡す。赤信号の為車が止まり、貰ったティッシュで顔を拭く。




『やっぱり帰ってからの方がいいんじゃないか?』

『…ピヨ…』





 恭祐は弁当をビニール袋へしまう。諦めた勇は再び恭祐の左肩へ乗り直した。





『……ソース臭い…』

『ピヨ?あ、青になったピヨ』




アパートへ着くと成実が少し遅れてきた。





『車、大丈夫か?』

『俺が停めてる所は駄目だけど、そこの空き地は自由に使っていいって大家さんに謂われてるから』

『へぇ〜いいな。ま、中へ入ろう!寒い』

『そうだな』

『…ん?なんか…ソース臭くね?』

『…こっちだ。置いてくぞ』

『きょんきょん、何か臭うよ?』




成実の言葉を余所に恭祐は鍵を開けると中へ入り、電気を点けた。リビングへ入るとテーブルの上にコンビニで買った品物を置く。恭祐は成実へ適当に座る様に謂うと上着を脱ぎ、ネクタイを弛める。



勇はというと、テーブルの上でハンバーグ弁当をつついている。それを見た成実が弁当の蓋を取る。





『なる程。ソース臭いのは雛か』

『当たり。ん?成実…それ酒じゃ…』

『うん』





成実は応えながら呑む。

そして彼はもう一缶取り出し、恭祐へ渡す。




『いいじゃん?付き合いだ付き合い』

『…ま…久し振りな訳だし…いっか…』

『恭祐と俺の初呑みに乾杯!』

『乾杯』






二人はジュースを飲むようにグビグビと呑む。成実は高校を卒業してから今までの事を話し出した。恭祐はサンドイッチを食べながら話を訊く。


成実も色々と苦労している。

立派な美容師になるため毎日を頑張っているのだ。マネキンを相手に鋏を持ち、一人前になったら自分の美容室を開く事が夢なんだ。と、成実は謂う。



『んで?恭祐の方は?』

『俺?俺は楽しく仕事してるよ。最初の仕事はお茶だしだとかだったけど…今は外回りの仕事。タケシとはたまに一緒にやるけど。”恵、恵”って』

『あいつら本当仲良いよな?確か文化祭の時だよな?タケシが猛アプローチが始まったの?』

『そうそう…ダブルデートで付き合わされたり…重たい荷物持ったり張り切ってたよなぁ…』

『恭祐は彼女とはどうなの?』

『まぁ…近いって距離じゃないから専ら電話だったりメールだったり。成実は?』

『俺っち?もー大変よ。大学の女子に声掛けられて』

『相変わらずモテてるな』

『まぁね。でも〜俺の身体は松丘だけのもの』

『その台詞、タケシもよく謂ってるな』

『えぇ?!俺タケシレベル?!』

『いいじゃん別に』

『えぇ?!タケシだぞ?…まぁ、大切な友人だけど…』

『なら、いいじゃん?』

『……んだな。さぁ!呑むべ!』





成実は二缶目を開ける。

コンビニ袋からサラミを取り出しテーブルの真ん中へ置く。勇は完食したらしく仰向けになっている。




(食べたピヨ…お腹が少しキツいピヨ)

『雛なのにハンバーグ食べるんだな?…ん?』

『…ん?』

『恭祐!やべーよ!こいつ全然成長してねぇーじゃん!』

『ビヨッ!』

『…あ…』





変な間が出来た。気まずい空気が流れる。勇は何を思ったのか立ち上がると二、三歩歩く。すると…。





『ピ…ピヨピッピーィッ!』

『………おい……』

『………ピヨピッピ……?』





テレビの方を向いたままの勇。

先程より変な空気が流れる…。





(し…しまったピヨ!)

『恭祐…違う雛かったら?そうすれば大きくなるし、喰えるぞ?』

(ピヨーーっ!)

『食べるんだ…』

『だってこいつ雄だろう?』

『ああ…』

『育たないなら…』

『俺にはそんな残酷な事出来ないよ』

『ちぇ、ロブスター…』

『海老だろ』




そんな話で盛り上がりあっという間に23時をまわっていた。成実も酒が入っているので泊まらせる事にした。引っ越しの時に勝が勝手に持ってきた布団があるのでテーブルを退かした。





『恭祐の父さんてさ頭いいよな?』

『逃げ道を作る事は天下一なんだよ』

『はは。んで、やっぱり着てるの?』

『そう。土日は休みだから…』

『どんな話してるの?』

『ん〜?仕事の話だったり、母さんの話だったり、茜の話だったり』

『なんか楽しそうだな?』

『…何処が…?』

『何となく』

『いつ、東京へ戻るの?』

『明日の夕方かなぁ?』

『そうか…ふぁ〜…眠いし、もう寝よう』

『…うん…お休み』

『…お休み』




そして朝になり勇が一番に起きた。

小窓のカーテンからうっすらと光が入る。

恭祐はまだ寝息を立てている。ベッドの隣の成実を見ると、掛け布団を抱き締めながら寝言を謂っている。





『……ん…痛っ…』

『どうしたピヨ?』

『おはよ。勇。手首、捻ったみたいだ…』





目を擦りながらベッドの上て起き上がる。

左手首をさすり、湿布を取る。すぐに使えるよう引き出しに入れいる。


時計を、見ると七時を指していた。休みの日はいつもこの時間に目が覚める。

成実は昨夜のアルコールで未だ起きる様子もない。風呂に入っていないことに気づき、入る支度をする。運転を押した後風呂場へ向かう。そして暫くして戻って来る。自動を押すのは勇の仕事だ。恭祐は風呂が出来上がるまでウーロン茶を飲む。





『朝はパンでいいか?』

『シュガートーストがいいピヨ!』

『……太るぞ?』




キッチンへ向かい、冷蔵庫からマーガリンを取ると食パンに塗る。その後はスティックシュガーをかける。勇はテーブルの上でその様子をじっと見ている。トースターへ入れるとタイマーを回す。風呂は十分程で出来上がる。


三、四分でトーストは出来上がり暫くすると風呂が出来る。

恭祐は貼ったばかりの湿布を取ると

風呂へ入る。







『はぁー…』

(朝風呂って結構気持ちいいよなぁ…)




いつもはどんなに遅くなっても入っていたがたまにこうして入る事がある。朝日が柔らかく浴室を照らす。風呂へ入ってどれくらい経ったのか…表示を見ようとした時…。浴室のドアが開いた。





『俺も風呂入れてぇー…』




 バシャァッ!





『…あ…悪い…つい…』

『きょんきょん酷い…俺茜ちゃんじゃないのに…』

『きっと似てるんだ…茜と…』




成実が入って数分後、恭祐が出て来た。

勇はまだ半分食べ終えるところだ。

成実が出てくるまでに朝食の支度を始めた。彼はトマトが苦手なのでトマトたっぷりのサラダを出す事にしよう。


恭祐は前に福神漬けが苦手なんだと

話していた時の事を思い出す。


そして…西田が居る周囲に何か黒き影が…。






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