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 妖かし   作者: 三日月
17/39

 かがみ

次回から一週間に一話の更新と

なります(o^^o)




ー五年前ー




「返して…私の鏡…何処?

誰か…教えて…」




一人さ迷う霊。

生前大切にしていた手鏡を

どうしても見つけ出したかった。





ー現在ー





GW後半。野外でしか出来ないバーベキューを楽しむ人々。

幼稚園生から社会人が楽しんでいる。

まだ、生後半年位の赤ん坊もいた。


勿論、赤ん坊はミルクだけだ。



小学一年か?興味津々で顔を近づけては

親から注意される。

中には川へ入り、ザリガニ穫る子供もいる。



知らない者同士だが、目的が同じなだけあってすぐに仲良くなる。

その様子を見ながら、タケシと川野部長は

火をおこしていた。

恭祐は上村と野菜段ボールから取り出し

具材を切る。





『器用ね?』

『家に居る時、たまに手伝ってたので

少しは出来ます』

『あ、訊いた事あるわ。夜、奥さんが

仕事で遅くなる時晩ご飯の支度するんだって』

『はは。テストが近い時と本番の時は

やりませんでしたけど』

『けど、偉いわ私も今は一人暮らしだけど

やらないで外て済ませちゃうもの』

『多分、俺もそうなりますよ』

『ふふ。それにしても貴男のペット良い仔ね?』





上村は恭祐の足元で石を積み上げて遊ぶ

勇とモチスケを見る。

動物が石を持つ。有り得ないだろう。

川の近くなので、時々子供の霊が遊びに来る。

一度、モチスケが恭祐の傍から離れ川の方へ行く。

彼が座るのに丁度いい大きさの石があった。

何を、思ったのか、その石に座ると歌い出した。勇は恭祐の足をよじ登りフードに入る。

上村はクスクスと笑う。





『あっはは!かわ…い…い…あっははっ!』

『…はは』





材料も切り終わり、肉と野菜を串に刺していく作業に取り掛かる。

これが少し難しい…。勇は恭祐の肩から見る。

モチスケは自分の近くに霊が居ることに気づくと手を伸ばした。

すると、黒い影になりかけていた者は

浄化され、光の粒となって消えた。


腰掛けていた彼は恭祐の所へ戻り

また、足元で石を掴む。

鉛筆位の枝を見つけたので小石を退かし

九つのマス描く。

それを見ていた勇はスルリと降りる。

モチスケの向かいへ座ると、嘴で丁度いい大きさの、小石を三つ選ぶ。



白っぽい石と、グレーの様な色の小石。

二匹は三並べを始めた。 





『部長〜!こっちはOKです!』

『分かった!こっちは今点いたばかりなんだ。暫くゆっくりしててくれ』

『分かりました』

『親父、紙皿はまだいいよな?』

『食べる時でいいだろ?』

『お袋、残念だったな?』




タケシはそう謂いながら

紙皿を、戻す。



『そうでもないだろう?オバタリアンの

集団旅行なんだから』

『部長、奥さんのこと、そんな風に謂ってもいいんですか?』

『居ないときくらい良いだろう?』




その時恭祐の父、勝が買い出しから

戻って来た。段ボール一杯ジュースやビール。果物が沢山入っている。




『沢山買ってきたぞっ!と…』




ドサ…っ!





『初メロンがあったから買ってきた』

(何?!メロンちゃんですとぉーっ?!)

『後で皆で食べような?モチスケ?』





勝はそう謂いながらモチスケの頭を撫でる。恭祐はそんなモチスケを見て、微笑んだ。

だが、そんな気持ちと裏腹に

彼は”今食べたい!”の表情だった。


謂うまでもなく盗み食いしようとする

モチスケは恭祐から拳骨を貰う事となる。






『相変わらずの拳骨ですねぇ〜…』

『先に買われちゃったなぁ…』

『それは仕方ないピヨ』

『こちらのメロンわぁ〜どぉ〜んな味ぃ〜♪』

『魔界は魔界。こっちはこっちの味だ。比べたりするなよ?』





勇はこっそりモチスケへ

伝える。





『お兄ちゃんは比べられる事が大嫌いピヨ』

『そうなんですかぁ…』

『ピヨ』

『覚えておきますぅ…』





モチスケは作業する恭祐を見る。





「…私の鏡…何処…?」






二匹が話していると、何処からか霊の声がした。

辺りを視てみるが、声の主は居ない。

ただ、砂利の上を引きずる音だけが聞こえる。







『なんだ?今の声?』

『声?』






恭祐が思わず口に出した。

それを訊いていたタケシが訊き直す。





『あ、いや、…さっき声がしたんだ』

『近くで?』

『うん。若い感じじゃなかったな…

年を取った様な…。簡単に謂うとお婆さんの…』

『マジかよ…。悪い奴か?』

『良くはないかな…。視てみる』





彼は眼を使った。

だが、恭祐にも姿を視る事が出来なかった。こんな事は初めてだ。

声だけをとばしているのか?

心配になったのか、それとも不安になったのか。タケシが恭祐に謂う。





『この近くに泊まるんだけど…大丈夫かな?』

『それはホテルに行かないと、…何とも…』

『憑いてこなけりゃいいな…。この場所決めるとき、恭祐を誘えば良かったなぁ…』

『誰が悪いでもないさ。そう自分を責めるなよ?』

『…ああ。因みになんて謂ってたんだ?』

『”私の鏡何処?”って』

『鏡?手鏡って事かな?』

『多分…』






二人に気付いた上村が話し掛けて来たので

”声”の話を中断する。

折角のバーベキューが薄気味悪い話で怖がらせ、台無しにしたくないからだ。


どうやら、バーベキュー開始の様だ。

テントの外で遊ぶ二匹も動物用の椅子に座る。

その様子を見ていた部長が感心している。





『本当良い仔よね?』

『飼い主の躾がいいんだな。恭祐君』

『あ!そうだ。こいつら、人の言葉がわかるんだ。通じると謂うべきか?珍しいだろう?』

(二匹共元人間なんだ。…なんて謂えないよな…)

『ピヨー!』

『ブラッラッラッ!』





串刺しの肉や野菜を温まった網へ乗せる。

互いの親は早速とばかりにビールを呑む。

川野部長はもう一つ手に取ると、上村へ渡す。


勝もそれを見て思い出したらしく、恭祐とタケシに飲物を渡す。

部長と勝は、やたらニヤツいている。

それに気付いた上村は困った様子だ。

飲物を受け取った二人は互いの顔を見ると、首を傾げながら開ける。




喉が渇いていたので、一気に半分呑んでしまった。

恭祐が気づくが飲んだ後…。





『アルコール!?』

『ぷは〜っ!どうりで変な味だ』

『それ、見た感じジュースみたいだろ?』

『…半分以上一気に呑んだぞ…』

『恭祐!これアルコール度数九%!』

『…ストロング…』






空腹で飲んでしまった為、酔いまわりが

早かった。二人は次第に身体が火照りだした。初めての酒だが、二人は酒に強い体質らしい。





『これ、五百だから時間かけて呑むか…』

『はぁ…。母さんが知ったら父さんどうなるんだろ?』

『男と男の秘密だ!いいな!』

『…わかったよ…』


『タケシ!お前もだ!』

『あーはいはい…』




恭祐達は少々呆れモードだ。

とりあえず呑めなくもないので

一缶だけ、呑む事にした。





「鏡…」

『っ!!』

「見つけた…私の…鏡…」






その声は恭祐のすぐ後ろで訊こえた。

眼を使うもなにも、はっきり分かる。

他の皆は視えない事もあり、楽しそうにしている。

勇、モチスケも異変に気づく。

恭祐は勇とモチスケと目を合わせた後

タケシ達に一言謂い残し、その場を離れた。


黒い固まりが動くのを確認出来た。






『追って来るって事は…お前達二匹の中に

この辺りで鏡を、拾わなかったか?』

『鏡ピヨ?』

『ああ。ずっと前から探していたらしい』

『だとしたら、それは”妖かしの鏡”かも知れないピヨ』

『人が持つと霊を跳ね返す鏡か…あの林の中へ入ろう!』






恭祐達は人が居ない林へと入る。

中は少々薄暗い。木々の間から頼り無い光が差し込む。

時々鳥が飛ぶ様な音がする。





「返して…私の鏡…」





彼は白髪の老婆を視た。

頬は痩せこけ、目の回りは窪んでいる。正気を失っている様だ。





『そんなに必要な物なのか?残念だが俺達は貴女が探してる鏡は知らない』

「返せ…」

『もし、今此処にあったとしても、渡すことは出来ない!妖かし者が持つものではないだろう?一体誰に取り憑く気なんだ!』






彼の問に老婆が反応を、示した。





「それならお前に憑いてやろうか?守護霊の居ないお前に憑く事など容易い事だ…すぐあの世に逝けるぞ…」

『取り憑かれる気もないし、逝くつもりもない!』

「囲まれた事に気づけないお前に何が出来る?」

『恭祐さんに指一本触れさせませんよぉ〜っ!』

『モチスケ…』

『僕だって守るピヨ!』







そう謂うと、勇は白い鳥に化けた。

鬼の時もそうだ。勇が化けるときは恭祐一人で手に負えない時だ。





『くっ…少しふらふらする…』

「よこせ…私の鏡だ!」

『それ以上近づくな!』





勇が叫ぶ。

嘴で恭祐をくわえると背へ乗せる。


黒い影達が集まった。数は百体程だろうか?

恭祐は念の為持ち歩いている札を、五枚取り出し、黒い影へ向けて投げた。

お札は真っ直ぐ飛び、奴らの上で光り出す。一枚で数十体浄化された。







『向こうの世界へ戻れっ!』





残りのお札を一気に投げる。

だが、老婆だけは残ってしまった。

やはり一人だけの力では手に負えないらしい。





『後は僕達に任せて!行くよ!神父様!』

『そうですねぇ〜。此方の(人間)の姿は久し振りですなぁ〜!』

『…モチスケか?』

「白い鳥だろうと神父だろうと…鏡を取り戻すまでは付きまとってやる!」






二匹は飛び跳ねると身体から眩しい程の光が放たれた。

恭祐は勇の、背の上であまりの眩しさで

目を瞑った。彼には周りの音だけが耳に入る。老婆が苦しそうに喚く声と、消え逝く音…。


目を開けると先程入ってたときの

嫌な感じが無くなっている。

どうやら、勇とモチスケの力で広範囲の悪霊達が浄化されたらしい。



恭祐は勇の背から降りる。






『あ…』





彼が降りた場所に、手鏡があった。

老婆が探していた鏡だ。手に取ると黒くくすんでいた手鏡は元の紅い色へと戻った。

勿論、恭祐が持った瞬間浄化されたのだ。

掌サイズの小さな鏡。自分の顔が映る。


林の中を少し歩くと、小さい祠がある。

恐らく、この鏡はこの祠にあったのだろう。一カ所だけ、日に焼けていなかった。



手鏡を戻すと、恭祐と勇、モチスケは

手を合わせた。

また、数年の間はどんな悪霊がこの鏡を

持ち出そうとしても近寄れないだろう。

祠の裏から、小さな守神が出て来た。



浄化された手鏡に恭祐の力が

残っていたらしく、守神が再び目覚めたのだろう。声に出来ないが神は恭祐達へ頭をさげた。





『それじゃ、皆の、所へ戻ろう』

『ああっ!メロンちゃ〜ん♪』

『食べられてたりしてな?』

『ガーーーン!』

『冗談だ。早くしないと全部食べちゃうぞ?』

『駄目ですよぉ〜っ!』

『ピヨ〜…』

『勇は少し休んで、食べるといいよ』

『そうするピヨ…お兄ちゃん…』

『ん?』

『…やっぱりいいピヨ』

『気になるだろう?』

『…んー…。ウンチ我慢出来ないピヨ!』

『ええっ?!』













如何でしたでしょうか?



怖くないはずです!

だってあたしが書くストーリーだから!




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