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 妖かし   作者: 三日月
12/39

 遊園地

今回ゎ幽霊ゎ出て来ません。

久し振りの更新なのですが

やんわり…ちょっとギャグまじりと

なっております…スミマセン(^-^;)

木江奈留は朝からロケットペンダントを

じっと見ていた。

一応写真を入れるペンダントだが、中は空のままだ。

駅のホームで電車を待ちながら呟いた。




『恭祐君、プレゼントしてくれたのはいいけど…』

(誰の写真、入れるのよ)

『う〜ん…』



その時、電車が着た。

一方、宮澤家では…。



『モチスケ、これ持っててくれるか?』

『いいですよぉ〜♪』

『悪いな』

『本当に何してるんですかぁ〜?』

『要らなくなったものを片付けてるだけだよ』

『バキュームぅ〜♪』

『それは要るピヨ!』

『ありがとう』

『会社の方はいつから何でしょうかなぁ〜?』

『さぁ、通知が届くらしいけど…ん?

もう着てると…』




その瞬間、茜がノックも無しに勢いよく

ドアを開けた。

いい感じに開いたので二匹は驚いた。



『ブルァ?!』

『ビヨっ?!』




茜は手に何かを持ったまま、じっとモチスケを見る。

それに気付いたモチスケも茜をじっと見返す。





『お兄ちゃん…』

『ん?』

『やっぱり、私にはブルァっ!って聞こえる』

『耳が悪い?』

『いっじわる!ねっ!モッチー、もう一度云って?』

『……』

『謂って?』

『………』

『喋ってよ!』

『何か用があって入ってきたんだろ?』

『あ、これ、父さんの会社から』

『ありがとう』




手紙を恭祐に渡すと再度、モチスケをじっと見る。

茜は両手を伸ばしモチスケの頬を目一杯左右に引っ張る。





『伸びるわね〜?』

(誰に何をしとるんか、お前わかっとるのかぁっ!)




少し悪戯して、止める。




『だぁぁぁっ!』

『っ?!』

『ブルァ?!』

『ビヨーーっ?!』



恭祐も急な大声に驚いた。




『ほら!お兄ちゃん!』

『………茜の大声しか、聞こえなかった。…ったく何なんだよ』

『云ってるんだってば!変な鳴き声!』





その時、モチスケが…。




『ブッラッラッラッラッww♪』

『ほらほらっ!ねぇ!お兄ちゃん!』

(お前、モチスケに馬鹿にされてるんだぞ…それ…)

(何でモチスケ君の言葉だけ茜ちゃんに…)

(勇なんていじけてるし…)

『お兄ちゃんてばーっ!』

『ブッラッラッラッラッww♪』

『それじゃ俺、少しでるから』

『えっ?デート?』

『んー?違うかな?』

『何それ?』

『一緒に行って欲しい所があるとか』




使わなくなった教科書類を段ボールに詰め

ガムテープで塞いだ。





『相手が女ならデートでしょ?』

『もしその場所が墓場でもか?』

『…違うと思う…お墓なの?』

『いや…』

『じゃ、デートじゃん!』

『さっきから何ムキになってるんだよ?』

『私のお兄ちゃん!とられる!』

『どういう意味だよ?…ん?』




話しの最中、突然家全体が揺れた。

恐らく、地震だろう。

揺れは数秒でおさまった。




『…行くんだ。デート…』

『何度も謂うけど違う』




恭祐は二匹に声をかけると素直に応じた。

彼はモチスケを抱き上げ、勇を肩に乗せると階段を降りた。


茜も恭祐の部屋のドアを閉め、後に続いた。

玄関を開ける時、携帯が鳴った。

タケシからのメールだ。

”さっき、教えてもらった白蛇弁天に行ってきた。”

と、あった。

 白蛇弁天、それは栃木県にあるらしい。

恭祐も、何度か訊いた事がある。

ある酒屋の女主人が謂っていた。

”子供が家に入ると必ず、一つの部屋を怖がるの。”


恭祐は、行って来ますと謂うと茜は

仏頂面で見送った。



先程のはなしだが、その子供とは

自分の子供、だいたい三歳から六歳だそうだ。

そして、孫も怖がっていたそうだ。




『過去に増築した所なんだけど、元々井戸があったの』



勿論、建てる前に行う儀式もやったという。


何をしても、小さい子供達は怖がってしまうので

酒屋の女主人はその白蛇弁天へ行き、相談したのだという。

後日、酒屋へ着て貰い御祓いをしてもらった。その後、子供達は怖がらなくなった。




『まさか幽霊だったなんて、…本当に居るって実感したわ』





そんな事を思い出して歩いていると

一人の女が恭祐に声をかけてきた。



『ちょっと!』

『あ…!』




恭祐が振り向くと奈留が両頬を膨らませて

拗ねていた。

男心を擽られたのか、恭祐は緊張を覚えた。





『ごめん。ちょっと、思い出してたんだ』

『もう!』

『ピヨ!』

『ブルァ〜♪』

『あ、ピヨちゃんにモチスケ君。久し振り』





奈留は二匹の頭を撫でた。





『そうだ。一緒に着て欲しい所って?』

『そうそう!』




彼女は微笑むと応えた。




『遊園地!』

『遊園地…?』





この時茜の言葉が過ぎった。

”行くんだ。デート”

勇とモチスケは”デートじゃん”という目で彼を見た。

恭祐は片手を頭の後ろにやると、空を見て二匹から視線を、反らした。




『行こうよ?』





奈留も少し恥ずかしそうだ。

恭祐の緊張が伝わったのかもしれない。

彼女は彼の袖を引っ張っていた。




『行こうか。遊園地』

『うん!』

『…あ…』

『どうしたの?』

『いや、友達が…』

『友達?』





此方を見るふたりの友人。

成実と春夫だった。




『恭祐だよな?』

『羊も居るし…恭祐だろ?』

『あの子は?』

『春夫は知らないか。…恭祐の幼なじみの奈留ちゃん』

『あの子が…』





恭祐は奈留の手をとると走り出した。

彼女は急な彼の行動に驚いた。

小さい頃はよく、恭祐と手を繋いだが

今となっては隣を歩く程度になっていた。

 久し振りの彼の手は、大きくて、ゴツゴツしていた。



奈留はその手に応え、力を入れた。





『バス停まで、もう少しだから』

『うん!ねぇ、お友達はいいの?』

『どうせ、電話があるよ』

『ピヨ〜!』

『あ、悪い…つい…』

『ピヨ〜』




ポケットから出してみると

勇は目を回していた。




『歩きましょう?ね?ピヨちゃん』

『そうだな。…あ…モチスケ…』




モチスケは恭祐に抱きかかえられていたため、静電気でボサボサになっていた。





『ぷーっ!きゃははははっ!!』

『どうなってるんですかぁ〜?!』

『あははははっ!』

『凄い事になってるピヨ!』





二人は遊園地へ着き、パスを購入した。

途中走ったせいか、喉が渇いた。

飲み物を四つ、店員から受け取ると

パラソルのあるテーブルを見つけ

腰掛けた。


 勇とモチスケは恭祐の隣りでポテトとジュースを何とかして飲んだりしていた。




『軽食が済んだら、あれ、乗りましょう?』

『あれって…』

『遊覧船ピヨ!乗る!乗るピヨ!』

『ね?』

『うん。乗ろう』

『やったピヨ!』

『ピヨ吉君は子供ですなぁ〜♪』

『そうピヨ!子供ピヨ!』





ポテトを食べようと、モチスケが口へ運ぼうとした時、空から黒い鳥、烏が脚で掴み、持って行ってしまった。

一瞬だった。





『ピヨーー!ポテトが空にーー!』

『このぉーっ!クソ烏ーー!かぁ〜えぇ〜せぇ〜っ!』





彼が叫んだとき。烏から何かが、落とされた。

そして、その”何か”がモチスケの頭に落下した。





『ピヨっ…』

『…う…』

『……』

『どうしたの?』

『…な、何でもない…』





モチスケはショックで暫くの間

固まった。その間、恭祐がウェットティッシュで綺麗にした。


軽食が終わると、遊覧船乗り場へと向かった。

小さい動物もOKだったので、勇とモチスケも乗った。

船へ乗り込むと、一匹のダックスがモチスケを見ていた。初めて羊を見たらしく

尾を振って近づいてきた。




どうやら彼も誰も気づいていないらしい。

ダックスは匂いを嗅ぎ、思いっきり噛みついた。





『いってぇぇぇっ!!』

『お兄ちゃん!犬が噛みついてるピヨ!』

『え?あぁっ!』

『きゃっ!モチスケ君!』




その騒ぎに気付いた飼い主がモチスケを噛みついている犬を、引き離そうと近づいてきた。





『ごめんなさい!こらっ!いつまで噛みついてるのっ!』

『頼むから離してくれ!』

『私を誰だと思ってるんだぁ!』





そして、数分後。やっと離してもらえた。

飼い主は何度も頭を下げた。

恭祐は少しの間、彼を抱きかかえる事にした。

噛まれた所は奈留が持っていた消毒液で

手当てしてくれた。

傷口は恭祐のハンカチで菌が入らないよう、絆創膏や包帯代わりに捲いた。





『大丈夫?』

『痛いですけどママン程じゃないですねぇ〜♪』

(へぇ…)





メーメーにしか聞こえない奈留だが、モチスケは応えてくれた。彼、恭祐はモチスケの生みの親への好奇心を抱いた。

もし、会えたら…どんな話しをしよう…?


遊覧船は乗船した所の反対側で停まった。




『次は何が良いかしら?』

『ジェットコースターはどうだ?』

『うん!』

『モチスケ、ぬいぐるみの振りしてるんだぞ?』

『大丈夫よ!私がちゃんと抱き締めててあげるから!』





ガタガタガタガタ…。





『うわぁ!たっかーい!』




ジェットコースターが一度止まった。

勇は恭祐のコートの中で必死にしがみついている。苦手なのか初めてなのか、兎に角凄い顔付きだ。


モチスケは奈留に抱きしめられている。

そして、ゆっくりと上から下へ。

猛スピードとなり急降下していった。




『ブルァっ!ぐぅ〜るぅ〜じぃ〜っ!』

『勇!中でつつくなっ!』

『ビヨォォォォッ!目が回るピヨーっ!』

『ひゃっほーいっ!』





恭祐も久し振りのジェットコースターを楽しんだ。奈留の髪の毛は風で靡く。二人して、大口をあけてはしゃいだ。モチスケは兎に角苦しそうにもがいた。



途中カメラがあったらしく

写真になっていた。

記念に三枚購入した。一枚は奈留。一枚は自分と勇。もう一枚はモチスケの分だ。



モチスケは奈留に抱きしめられたままだ。

ジェットコースターは乗ったので、次はゴーカートにした。

恭祐とモチスケ、勿論勇も一緒だ。

カートに乗ると、モチスケに運転させた。



カーブというカーブをがっつんがっつん

ぶつけた。

その衝撃で、勇は乗り物酔いをしたらしい。

恭祐は口で指示するが、テンパるモチスケには、真っ直ぐが停車、左が右となってしまう。




その様子を後ろから見ている奈留が笑う。

ゴーカートの次はお化け屋敷に入った。

幽霊を見慣れている恭祐にはあまり怖くないが、やはり奈留やモチスケには迫力があったらしい。時々”ぐぇっ!”とモチスケの声がした。

きっと、奈留が力を入れたのだろう。




『はぁー…怖かったぁ』

『そうかな?』

『え?怖いわよ!』




恭祐は何気なくモチスケを見る。



『うわっ!どうした?!その顔?!』

『なんで?!なんで腫れ上がってるの?!』

『真っ赤で腫れてるピヨ……』




とりあえず、モチスケも喉が渇いたというので休憩をする。


小一時間が経ち、ある程度殆どの乗り物を乗った。




『暗くなってきたな』

『ねぇ、最後に観覧車…乗ろう?』

『いいよ』

『まだ乗るんですかぁ〜?』

『これで、終わりだよ』

『わかりましたぁ〜♪ふぁ〜…』





そして、最後に観覧車に乗った。

少しづつ一番上を目指す。ゆっくりと…。




『今日はありがとう』

『え?いや、俺の方こそ。久し振りに、はしゃいだよ』

『楽しかった?』

『勿論。こいつらも楽しかったと思う』



      


恭祐は自分の掌で寝ている勇と、奈留が抱きしめたまま、眠たそうにしているモチスケをみた。




『ありがとう。嬉しい』

『初デート…だった?俺で良かったの?』

『え?…あ、えと、…うん』

『実はちょっと緊張してたんだ…』

『知ってる。私まで緊張しちゃったもん』

『あはは。あ、そろそろ天辺だ』

『わぁ…!最後に乗ってよかったぁ!綺麗…』

『東京には負けるけどな』

『私、こっちの方が好き。星も見えるもん』

『気に入ってくれて良かった。帰り、…送るよ』

『…ありかとう』




気がつくとモチスケも、いつの間にか寝ていた。遊覧船では犬に噛まれたりもしたが

楽しい一日だったかもしれない。



お約束のお化け屋敷に入って何故か顔が赤くなっていた。それだけでなく、何故だかモチスケの顔が腫れいた。

何故なのか?と、考える。奈留に抱き締められていたせいか?とも思った。


赤くなっていた原因はお化け屋敷をでた後、水をがぶ飲みしていたので、何となくわかった。

腫れの原因は判らないないままだ。


午後は犬に何故か追いかけ回されるモチスケ。

ある意味疲れたと思う。

そんな事を思いながら、恭祐は夜景を見ていた。







如何でしたでしょうか?

一度で良かったのですが

こんなデートしてみたかったです(T-T)




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