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 妖かし   作者: 三日月
11/39

 四つ葉の丘で…

妖かし も今日から復活します!

久し振りなのでまた誤字脱字が…

ありましたら、本当にごめんなさい(T-T)

朝、10時。恭祐は勇とモチスケを連れ

電車に乗った。


モチスケは大き目なバックの中から顔を出す。

通勤時間は過ぎている為乗車している者は少ない。大場里子はじっと外を見ている。

電車に乗ってから一言も喋っていない。ただ、何処か懐かしんでる様にも見えた。


恭祐数ヶ月振りの地元で、ゆっくりしようと思った。

 車内から見る梅の花は忙しそうに花弁となって散っている。



四つ葉の丘には沢山の桜の木がある。

何故”四つ葉の丘”なのか恭祐は父に訊いたことがあった。

勝は云った。あの場所だけ、よく四つ葉が見つかったんだ。と。

誰がつけたのかかは、分からないが物心ついた時から、そう呼ばれていたらしい。



別名、幸せになれる丘とも云われてるそうだ。


その為か、四つ葉の丘てまプロポーズする若者もいるという。

気がつくと、電車は地元の駅に着くところだった。




『あれ?恭祐?』



一人の男が恭祐に気付いた。

富田浩一だった。




『富田、久しぶり』

『久しぶり。今日来るならメールしてくれればいいのに』

『昨日決めたからさ』

『それじゃ、次は前もってだな』

『ああ。富田は大学に行くんだよな?』

『実は働くことにしたんだ』

『そうなのか?』

『うん。金貯めて一人暮らしするんだ』

『一人暮らしか…俺もしようかな?』

『なら、一緒に住むか?』

『一緒って、無理だろ?』

『やっぱり無理か…』

『無理だな』

『何で引っ越したかなぁ?』

『休みの時、会えるだろう?』

『休みが合えば良いんだけどな』

『合うさ、きっと』

『なっ!昼頃、また会えるか?』

『過ぎるかも知れないけど…』

『それじゃ、電話くれ』

『分かった』





二人は話し終えると、一度別れた。

恭祐は四つ葉の丘を目指した。




「手間かけさせてしまい、申し訳有りません」

『いいんですよ。貴女みたいな方(霊)沢山居ますし。それに好きでやってる事ですから』

「ありがとうございます」

『モチスケ、窮屈だったろう?ごめんな。一緒に着たかったから…』

『考えて居られるんですね」

『本当はバックに入れたくなかったんですけど…連れてきたかったので…』





モチスケは暫く何回か伸びをした。




「そうですか…」

『はい。車でもあれば良かったんですけど。予定のない日に何処か連れて行ける…』

「今日は私の為に、ありがとうございます」

『そんな』

「感謝しています。田舎に住んでると交通が不便ですね…」

『それも、仕方ないですね』






恭祐と大場里子は笑いながら話した。

だが、お互い田舎が好きだ。

それなりにコンビニやスーパーもある。

ただ、離れた所にあるだけのこと。

 それには、やはり車が必要なのだ。



畑の前を歩いていると、トラクターに乗った男性が畑を耕していた。

ドドドドド…。音を立てながら機械を操縦する。手慣れたものだ。


まだ雪が残る中畑に出る。モチスケが

脚が冷たそうだったので、恭祐が抱き上げる。

少し進むと小さな川が音を立てながら流れる。春の終わり頃、蛙やお玉杓子、魚も沢山出てくる。恭祐は小学生の時、浩一とよく釣りをしたものだ。


冴が釣った魚をよく、料理してくれたもなだ。

少しだけ視線をずらすと、中学生くらいか?自転車を三台停めて、座っていた。

その後ろを幼稚園年長だろう。男の子が一人女の子一人が走る。


続けて、母親が声を出しながら追いかける。白い息を出しながらの子供達はお構い無しだ。


平和その物だ。


三十分程歩くと、四つ葉の丘にたどり着いた。





『変わらないな…』

「…ありがとう御座いました」

『いえ、力になれて良かったです』

「此からは此処を守っていきます」

『時間があったら、友達を連れて来ます』

「お待ちしています」

『俺、社会人になっても必ず』

「特別な思い出でも?」

『はい。今思えばなんですが、あの時此処で初めて恋をしたんだと…』

「相手はどんな方?かしら?」

『良いじゃないですか?俺の話は終わりです』

「ふふ、こういう話、慣れてないのね?」

『はい。春になって夏がきたら此処は花火を観る絶好の場所なんだ』

『観たいピヨ!』

『プラチナメロンはありますかぁ〜♪』

(花より団子…)

「来られますよ。花火大会」




花火大会、恋の話、四つ葉の丘の話。

暖かい話が沢山ある所。

大場里子は此処で夫に告白された大切な場所だと、まるで独り言の様に話し出した。



モチスケは恭祐から解放されると

広い原っぱを精一杯走り出した。

春はお弁当を作って、ピクニックをしたそうだ。

二人の暖かく幸せな時間。



恭祐は最後まで、大場里子の話に

耳を傾けた。

そして、同時に明日の卒業式の事を考えた。

大切な友人達との別れを。


二人は目を合わせると、それが合図のように大場里子は八重桜の木へ姿を消した。






『俺達も行くか…浩一に電話しなきゃだな

…モチスケ、何してるんだ?』

『綿アメでぇ〜す♪』

『ピヨ!』




本物に見えたのか

丸くなっているモチスケにくちばしで

つついた。




『ブルァァァっ!!』





そして、翌日。



早い時間全員、教室に集まっていた。




『今日で最後ねぇ』

『何か寂しいわよね』

『本当よね〜?よし!頑張れ自分!』

『ねぇ、そろそろ教えてくれてもいいじゃん?』

『仕方ないわね〜。誰にも云っちゃ駄目よ?』

『…何か…怖いんですけど…』





松丘と河辺が話していると

教室のドアが開いた。


矢井田が入ってきた。





『先生、綺麗…』


と、松丘。


『本当綺麗…』


と、河辺。




『そ、そうかな?…はは…なんだか恥ずかしいな…』

『おはようございます。先生』

『恭祐、おはよう。なんだ?川野?元気無いけど…』

『だって今日で最後なんすよ?!』

『…寂しいのは皆一緒だ』

『宮澤君の云うとおりよ?』

『大人になりたくなーーいっ!』

『なれよ』

『そうだ、頼むからなってくれ』

(成実に先生、キツいな…)

『入学してきた!と思ったらあれよあれよ。だっなぁ』

『一年の時はお前達まだ中学生みたいだった…。成実はあまり変わってない気もするけど…本当に楽しかった』

『先生、俺ちゃん変わってないのっ?!』

『喧しい。一年と三年貴方達の担任になって、本当に良かった』

『あたしも。クラスが変わっちゃった子も居るけど、楽しかった』

『一年からずっと同じクラスだったんて、奇跡よね』




貴子が云う。

メンバーは中野春夫、山口成実、川野タケシ、宮澤恭祐、河辺恵と自分の事だ。


女子二人と男子四人。




『特に成実君はクラスのムードメーカー』

『そうそう、恵、よく笑ってたもんね』

『うん!後ゎ恭祐君が先生のチョークの的で』

『はは…』

『中野君は皆を纏めたりしてくれるんだけど…』

『サボって矢井田ちゃんに、正座してろっ!って云われた』

『しみじみだな?』



クラス全員爆笑。

そして。




『去年は…宮澤君が事故』

『本当驚いたわ!』

『生きてて良かったわね』

『うんうん』

『ご心配お掛けしました』

『ご心配させて頂きました』




すると、矢井田が生徒全員に目を改めて向けた。




『残り数時間、大切にしよう』

『はいっ!』

『早く集まった理由は皆そうだろう?少しでも長く居たいからでしょう?』

『当たり前じゃーん!』

『先生とも今日でお別れなんだし』

『ふ…クラス全員が私と同じ考えとは…本当に…』

『…鳴かないでよ先生』

『泣いて…なんか…』




生徒達は矢井田をじっと見た。

中には啜り泣く者もいた。

三年間、この高校に通った事を

少しずつ思い出された。

体育祭、文化祭、一人一人

それぞれが思い出になる。いつか、誰かが云った。




”春は出会いと別れの季節”だと。

 ”初めまして”と”さようなら”。




『さっきから何してるの?成実と春夫?』

『ジャージ持ってきたんですけど、最後にグランドでどうですぅ〜?』

『全員があるわけないでしょう?』

『先生、それが、皆あるんです。ジャージ』

『へ?』

『個人個人、連絡取り合って決めたんです』

『良いでしょう?矢井田ちゃん?』

『成実、調子に乗るな…まぁ、良いか…』

『よっしゃー!男子ー着替えに行くぞー!』

『先生はこれ』

『河辺のか?』

『いいえ』

『クラス全員からのプレゼントです』

『松丘と河辺が先に決めたんです。最後にプレゼントしようって』

『恭祐…、二人とも、そうなの?』

『へへ』

『俺様の小遣いもそのスポーツ着に染み込んでるわぁ〜気持ちと一緒にぃ』

『うわっ!気色悪っ!』

『皆で出し合ったんです。私達から気持ちをこめて…どうぞ』

『素敵な贈り物だ…ありがとう。よしっ!着替えるぞ!』

『何で成実ちゃんの気持ちだけ気色悪いんすかぁ〜』

『よっしゃー!男前に戻った!』

『先生はそうじゃなくちゃ!』

『…んあぁ?』

『はっ!』

『やべっ!』




スコーンっ!

スコーンっ!




『俺恭祐じゃないっ!』

『俺だ!』

『成実…中野君…?』

『こっちもヤバい!』

『あっ!逃げるなっ!狡いぞ!』




勿論、この後二人は恭祐から拳骨を貰う事になる。

小一時間、最後の、ドッチボールをやることにした。勝ちも負けも関係ない。楽しく出来ればそれでいい。


矢井田も生徒達も思い切り、体を動かした。




『成実ーーーっ!覚悟ーっ!』

『俺かよ!なんで女子全員俺を狙うの?!』

『スカート捲り!よくも毎日やってくれたわね!』

『そうよ!』

『良いじゃないかー♪グリーンだよー♪』

『良いわけないわぁぁーっ!』

『…男子で約一名だけ、攻撃攻めであります』

『自業自得であります』

『ふぁ〜。まぁ、仕方ないだろ』

『残りの男子何します?』

『一応立ってる』

『立ってるだけなんだ』

(僕は立ってるだけの方がいいピヨ)





暫くの間、ボールは成実の所をいったり来たりしていた。

成実が当たると女子のパスボールが

運悪く恭祐に当たった。こうして、小一時間のドッチボールは終わった。



『やっぱり男子が残ったか〜』

『体力の差よね…疲れたぁ〜』

『なんだ?もう駄目?』

『先生だけですよ。元気なの』

『あはは!楽しかったな』

『はいっ!』

『同窓会はドッチボールですね!』

『元気なのはそっちの方だな!』

『とりあえずでーす♪』

『そうでーす♪』






朝早くからのドッチボールが終わり

中へ戻ると、制服に着替えた。

残り時間はプロフィールを書いてもらったり、写真を撮ったりとしている。



そんな中、貴子は一枚の手紙をスカートの

ポケットの上から大切そうにしていた。

河辺と話していたものだ。

卒業式が終わったら、渡すらしい。


そんな彼女に恭祐が気付いた。




『どうしたんだ?』

『え?』

『難しい顔してた。いや、してるから』

『うん、…ちょっと、良いかしら?』

『ん?』




二人はそっと廊下へ出た。




『実は今日卒業式が終わったら、好きな人に告白しようと、思ってるの…会えなくなるかもしれないし…』

『同じクラスか?』

『うん』

『タケシか?』

『もう!川野君は恵の彼氏でしょ!』

『ははは。けど、必ず絡んでる奴だろ』

『う…』

『だとすると、二人に絞られるな』

『ん?貴男は入ってないの?』

『うん』

『なんていうか、本当マイペースね?』

『違うか?』

『違わない…けど…』

『だろ?』

『もう!当てないでよね!』

『当ててやる。多分、成実だろう?』

『………』

『分かりやすいな?松丘は』

『ええ?!鈍感な宮澤君に云われるなんて…』

『手伝うから、二人の写真…』

『…告白、してから?』

『今でもいいし。大丈夫だよ。松丘なら』



松丘貴子は頬を紅くした。

恥ずかしいと同時に、嬉しくもあった。恭祐に促されながら中へ戻った。半分の女子が矢井田の周りに集まり、プロフィールを書いて貰っていた。


矢井田は順番だ。と、云いながら一枚一枚

預かる。

そして、あっという間に体育館へ移動する時間になった。

これから、最後が始まる。

式が始まり、校長な挨拶などが

次々に終わる。担任が生徒の名前を読み上げる。



矢井田は名前を挙げてるうち、声が喉に詰まった。声が震え、涙を流しながら最後まで読み上げた。



女子はハンカチで顔を覆って泣く者も居る。



男子は制服の袖で涙を拭いている。

そんな中恭祐は一人我慢していたが、退場するときには、皆と一緒に泣いた。



『先輩!泣かないで!』

『二年間、ありがとう御座いました!』

『成実先輩は永遠っす!』




後輩の言葉が余計に涙を流させた。





卒業生は一度、教室へ戻る。

席に着いてもまだ、泣いている生徒がいた。

勇もまた、恭祐のポケットの中でティッシュを使いながら泣いていた。

矢井田の手から一人一人アルバムが渡された。また、松丘も彼に手紙を渡した。





『…最後に教室を出ればいいの?ん?残ってればいいんだよね?』

『…え、ええ』

『分かった。そんじゃその時ね』

『…うん』

(もう、後には引けない!!)

『アルバム、全員に渡ったな?外へ出るけど、いいか?』




並ばないでいいらしく、二人を除いた卒業生は下へ降りて行った。


教室には、成実と松丘が残った。

成実は外を見ながら松丘貴子の話を訊く。




『…好きなの…』

『…俺?!…俺だったの?!』

『そうよ…』




成実はもう一度、外へ目を向けると

さっき二人を残して降りて行った恭祐とタケシ達が在校生から花束を貰っていた。

恭祐が成実に気づき手を振る。成実も同じ様に、手を振った。




『俺も、貴子のこと好きだったよ。…ん?好きだよ』

『…成実…』

『宜しくな!』




成実は松丘貴子の頭を撫でた。。。





久し振りの妖かし

如何でしたでしょうか?


正直緊張しております(^-^;)

これからも宜しくお願いします(o^^o)

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