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 妖かし   作者: 三日月
10/39

 いちにち、頼み事。

詠みに来て下さり有り難う御座います(T^T)

今回は家族団欒?の話が

中心となります。


少し、ほのぼのとしているかも

しれません。でゎ…どうぞ。


今朝は久し振りに暖かい。

早くに目が覚めたので犬の散歩さんぽに出た。

全てやり終えてしまうと、とても暇だ。


茜を起こしてしまうとさわがしくなるので大人しく小説をむことにした。

小説を手に取ると勇が起き出した。





『ピヨ〜。今日はなんでこんなに早いピヨ?』

『さぁな。本当…早すぎるよな?四時半だなんて』

『お爺ちゃんみたいピヨ』

『そうだな』

『お兄ちゃん…もう卒業するピヨ?』

『そうだよ。何か寂しい気もするけど…もう皆と騒いだりする事も無くなるんだよな…』

『ピヨ』

『タケシも仕事を選んだとか。春夫は大学、成実は美容師』

『なんか騒がしい美容師が誕生しそうピヨ』

『でも、終わるまで退屈しないで楽しく喋れるぞ?』

『僕はパパにバリカンでやってもらってたピヨ。…一度だけ充電が切れて痛かったピヨ…』

『うわ…』

『最悪ピヨ』

『…だろうな…あ…』

『…ピヨ?…』

『あの家の木…もう梅の花が咲いてる』






向の家にある梅の木を見た恭祐は勇に

教える。紅梅ではないが綺麗に咲いている。それを見るため勇は恭祐の肩に登ってきた。






『美味しい梅干しになるピヨ』

『…何で梅干し?』

『酸っぱいけどオニギリで食べたら美味しいピヨ。梅干しを入れたお茶漬けも最高ピヨ!体がポカポカするピヨ』


『食べ物の話はしてないぞ?』

蜂蜜はちみつの梅もおいたピヨ!クッキーには負けるけどピヨ』


『それは良かった。所で何で犬の名前”ゴン”て付けたんだ?』

『恐竜のゴンは強いからピヨ!』

『…勇…名前のセンスーどこか変だぞ?おまけに俺が付けた事になってるし…』

『格好いい名前ピヨ!』 

『岩の家に住んでそうな名前みたいって茜が謂ってるぞ?』

『原始人じゃないピヨ。恐竜きょうりゅうピヨ!』

『はいはい』

『ゴンは僕が大好きな名前ピヨ!』




恭祐はモチスケが起きるとリビングへ

降りていった。ドアを開けるとまず

ヒーターを点ける。暫くすると暖かい風が出てきた。六時になると冴もカーディガンを羽織ってやってきた。


冴は恭祐と話をしながら珈琲を作る。





『有り難う。散歩行ってきてくれて』

『じっとしてるのも何だし…あち…』

『そりゃぁ熱いわよ』

『…今日は父さんの会社に行ってくるから』

『あら…今日だった?そうだ!恭祐、部長さんにあれ以来気に入られてるわね?』

『俺何かしたっけ?』

『さぁ?何もしてなかったわよね?ちょっとだけ手伝いと挨拶だけ…』

『何か変だよなぁ?』





それは一週間ほど前。父、勝が恭祐に話があると謂うことで恭祐は部屋から父の書斎へやってきた。呼び出し方法は

電話だ。


話と謂うのは勝が勤め先の、部長に彼を連れてくるようにと謂われた。と、謂う内容だった。一緒に食事でもしようと…。






『確か部長さんの息子さん、恭祐と同い年で高校も一緒って…昨日父さんから訊いたわ』

『同級生?』

『ええ。なんて謂ったかしら…え〜と…か…川野…』

『えっ?!』

(まさか!)

『えっとぉ…恭祐と同じクラスって謂ってたわ』

『それを先に謂ってくれよ!』

『…あぁ〜…朝だから仕方ないわ』

『川野なら母さんも、会ってるじゃないか…タケシだよ』

『そ、そうね…』

『もう一人ってタケシだったんだ…』

(騒がしい昼食会に、なりそうだ…)


『あ…茜は学校どうするの?家に居るけど』

『受験、終わったじゃない?四月から高校生。早く友達に会いたいって謂ってるわ』


『会おうと思えば会えるのに…』

『茜ね、あの時の外食…恭祐の事謂ってたわよ?』


『どうせ悪口だろ?』

『いいえ。”本当にお兄ちゃんなの?”って』

『へ?』

『自慢なんですって。フフ…』


『そういえば…話してないの?事故の事?何も訊いてこないから』

『してないわよ?あの子の事だもの…謂ったら日本にすぐ帰って来るでしょう?』


『なら別にいいけど…此からも謂わない方がいいな…』

『…そ、そうね…』





話を中断(ちゅうだん

)すると二人は同じタイミングで珈琲を飲む。勇は、ソファの上で横になっている。どうやら眠くなってきたらしい。


六時半になると勝も起きてきた。


恭祐は一度部屋へ戻る。

ドアを開けると茜が起きているらしく

”akane room”と書かれたドアの向こうから声がした。


捕まると面倒なので彼はすぐ部屋の中へ

入った。






『今日は出掛けるから先生と一緒に居てくれよ?』

『ふぁ〜。勿論覚えてますよぉ〜』

『僕も矢井田先生の所に行きたいピヨ』

『悪いな…』






その時、ドアの向こうから茜がノックして

入ってきた。

寝起きの為髪はぐしゃぐしゃだ。






『誰と話してるの?』

『…え…あぁ…タケシと電話してた…』

『そう…』

『髪、ボサボサだぞ?』

『知ってる…寝起きなんだから仕方ないでしょ…』

『着替えるんだから出てけよ?』

『いや』






茜は否定ひていすると恭祐のベッドへ腰をおろす。恭祐は茜に背を向けると上着を取り替える。






『ねぇお兄ちゃん…』

『何だよ?』

『どうして背中に傷跡があるの?それに

少しだけど脚にも…』

『…気のせいだ』

『気のせいな訳ないでしょう!』

『…ふぅ…』

『何隠してるのよ?』

『散歩してたとき転んだだけだよ』

(迂闊だった…)

『危ない事しないで…』

『してないから…本当に』






彼は妹の頭を撫でる。

茜はちょっぴり嬉しそうだ。三年だが兄に甘えることが出来なかった為か思い切り

抱きついた。







『お兄ちゃん好きー!』

『…頼むから抱きつかないでくれ…』

『いやぁー!』

『いくら兄と妹でも無しだろう…?』

『兄と妹だからアリなのよ!』

『此処はアメリカじゃない。日本だ』

『日本人がスキンシップが足りないのよ』


『支度するから出てけ』

『後からでも出来るわ』

『離れろ』

『いや』



「やはり日本が一番ですねぇ?」

『うわぁっ!』





その瞬間しゅんかん茜は恭祐から

離れた。





『何よーもう…』

「も、申し訳有りません!私、大場聡子といいます。茜さんのお陰で色々な所を見られました」

『は、はぁ…』

『何?何?』

『…少し…寝る…』

『…そう』




恭祐がベッドへ横になると茜は部屋から

出て行った。両手を頭の後ろへまわす。


先程会話をした大場聡子に気づいた。

彼女と一緒に出て行ったのかと思っていた。






「突然すみません。久し振りに視える方に会えたもので…我慢出来ず…」

『茜にはいつから?』

「えっと…あの子が四つの時…幼稚園で…」

『そんなに前から?』

「合うんですよ。何かこう、”居ても良いよ”と謂われてる感じで…」

『ふぁ〜』

「貴男、守護霊が居ないみたいですね?」

『はい。代わりにこいつが側に居てくれているんです』

『勇だピヨ!』

「まぁ!可愛い」

『私モチスケと謂いまぁ〜す〜』

「まるでメルヘンね?」

『はは…』

「あの…お時間がある時で構いません。私を四つ葉の丘まで連れて行って頂けないでしょうか?」

『四つ葉の丘…』

「はい。もう帰ろうかと…」

『明日で良いですか?』

「勿論です」

『それじゃ…あし…た…』

「有り難う御座います…」







大場聡子は眠ってしまった恭祐に

頭を下げた。リビングでは冴が朝食の支度をしていた。勝はソファに座り新聞を詠んでいる。茜は冴が、煎れた珈琲を飲んでいる。






折角せっかく起きたのに寝ちゃったの?』

『うん。何か寝るって謂ってた』


『もう。茜、悪いんだけど…これ、ピヨちゃんとメーちゃんに持って行ってあげて?』

『はーい。あ、母さん?お兄ちゃんの体の傷、アレどうしたの?』

『え?き、傷?あれね、男だもの』

『えー?何それ?』

『早く持って行ってあげて?腹ぺこよ?』

『はーい』





茜は独り言を謂いながら

また恭祐の部屋へ動物達の朝食を持って行った。ドアを開けると二匹揃ってベッドに寄りかかりながら座っていた。

それを見た茜は微笑む。






『可愛い。ほら、ご飯だよ〜?』







声をかけると二匹は立ち上がり

恭祐の机の上に乗った。

茜はテーブルの上に朝食を置くと

モチスケと勇を抱き上げてテーブルの上へ座らせた。





『机の上は駄目』






そう謂うと二匹は手を挙げた。






『言葉が通じるなんて…凄い…』

『スゥ…スゥ…』

『九時に起こすからね』

(ずるい女顔)

『狡い(ずるい)』

『ピヨ?』

『ブルァ?』






茜は恭祐の寝顔を見てはボヤいた。







『有り難う。遅かったけど?』

『お兄ちゃんの女顔見てた』

『はぁ…恭祐気にしてるんだから本人の前で謂っちゃ駄目よ?』

『何で気にしてるの?』

『茜が小学生の時”お兄ちゃん女の子みたいな顔”なんて謂うからよ』

『はっはっはっ!そんな事もあったなぁ!』

『私、覚えてない…』

『小さかったからな?覚えてたら凄いぞ?』

『はいはい。早く食べて!』







冴は朝食をダイニングテーブルへ置いた。







『ん…』

『起きませんねぇ〜?』

『早かったから仕方ないピヨ』

『しかしさっきの”狡い(ずるい)”は

何に対してでしょうかぁ?』

『わからないピヨ…』






モチスケが恭祐の髪の毛を引っ張っても

全く起きない。そして二匹は体の異変に気づき騒ぎ始めた。






『ピヨーー!起きるピヨ!』

『もぉ〜れぇ〜るぅ〜!』

『ん…ふぁ〜どうした?』

『お兄ちゃん!トイレピヨ!外へ行くピヨー!』

『もぉ〜れぇ〜るぅ〜!』






がばぁっ!





『待て!まだするな!』





恭祐は二匹を抱きかかえると慌てて下へ降り、外へ出た。家の隣が原っぱなのでそこまで急いだ。





『ピヨー…』

『ブルァァ…すっきりぃ〜』

『どうなるかと思ったピヨ』

『本当ですねぇ〜』

『悪い…』





 十一時…。

そして出掛ける時間が近づけてきた為

恭祐はスーツを身にまとった。





『ホストみたい』

『何かとすら突っ込むな?』

『だって何だか変な感じじゃん?ね!何時に帰るの?』

『昼が十三時までだからな…』

『一人じゃ、つまらない』

『友達でも呼べばいいだろう?』

『う〜ん…うん!』

『それじゃ、行ってくるよ』

『いってらっしゃ〜い』






その時、父からメールが入った。

父、勝が勤める会社の近くにファミリーレストランある。そのレストランで待つと。



昼までに着けば問題ないので少しゆっくり

歩いた。急ぐとポケットの中の勇が

酔ってしまうからだ。

目的地に着く間、モチスケを矢井田へ預ける。






『良いじゃないか。スーツ姿』

『有り難う御座います』

『それじゃ、頑張って来なさい』

『はい。行って来ます』

『行ってらっしゃい』

『行ってらしゃぁ〜い!』






恭祐は再び歩き出した。

もう少しで社会人だ。彼は考えながら

進む。


桜が舞い散る頃、彼は父の居る会社へ勤める。新社員としてタケシ以外の人達とも

仕事を覚える。きっと夢中かも知れない。

会社内でうまく勤める事が出来る者

出来ない者も居る。



レストランに着くと遅れてタケシも

スーツ姿でやってきた。






『あれ?恭祐?』

『”川野部長”に呼ばれたんだ。もう一人がタケシだったなんて、朝から驚いたよ』


『もう一人が恭祐だったなんて…知らなかった』

『今知ったのか?』

『勿論』





二人はお互いの親が居ないか店内を

ガラス越しで見る。どうやらまだ着て居ないらしい。


正午になると黒いウィンダム一台二人の前にとまった…。









如何でしたでしょうか?

次回は四つ葉の丘へ大場聡子を

送る話となります(*^^*)



またのお越しを

お待ちしています。有り難う御座いました。



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