陽のあたる場所?
新生活スタートって聞こえは良いけど、
なにもかも初めからってメンドイって思うのは作者だけ?
結局その晩は「迷い家」の中を見たけど
自分の部屋と台所や浴室、トイレは
まんま実家のをそのまま持って来たみたいな感じであった。
兄や両親や祖父母の部屋は、なにも置いてなかったけど
書斎とかは本がそのまま残ってたのは嬉しかった様だ。
「迷い家」の電気・ガス等は
最初に門に触れた時に約一年分が貯蔵されたらしい、
なんでも貯蔵する意思を込めて家の中のどこでも触れると
魔力を最大で100年分くらい貯蔵出来るらしい。
とりあえず夕飯と風呂をすませた後、
寝る直前に最大限貯蓄して寝る事にすれば良い
とバテストから聞いていたので目いっぱい貯蓄させたら
急激な眠気を促されてしまいそのまま寝てしまった様だ。
ちなみに約三割弱程、貯蓄された様だった・・・
『一郎起きるのじゃ、起きて我に朝餉を作るのじゃ』
なにやら布団の上からポンポンと
叩かれる様な感覚で一郎が目覚めてみると・・・
布団の上で飛び跳ねるバテストの姿が目に入った。
「おはようございます。
いくら体重が軽いからとは言え、
人の上で飛び跳ねるのはあまり勧められたものではないと思いますが?」
昨日お姫様だっこで運んだ時は
20Kgとまではいかないが17~18Kgはあった様な
と思いつつ起きるのであった。
しかし今朝は腹に当たる衝撃は布団越しとは言え
指で軽くつつかれる程度にしか感じないのを疑問に思いつつ
朝食は何にしようかと考えるのであった。
『ふっふっふ・・・
今の一郎ならばあの程度はほぼダメージが無いであろう?
昨夜身体中の魔素を魔力変換に使い「迷い家」に与えたであろう、
あの状態(魔力枯渇状態)で熟睡すれば
起きている時より貪欲に身体が魔素を吸収するからのう、
その影響でこの世界適合した身体に魔素が造り変えたハズじゃ。
言ったであろう?
この世界は以前の世界の下位世界であると、
今や一郎の身体はあらゆる意味で最低でも10倍程強化されておるのじゃ、
特に回復は下級神にも勝ほどじゃからのう。
しかし決して不死の身体になった訳では無いので
気は付けておくのじゃぞ、
それと少しばかり見た目が若返った様じゃの?
おそらくその年代の身体が最も良い状態の身体なのじゃろう、
しばらくはその身体と能力に慣れるまで
「迷い家」の敷地から出るでないぞ』
なにげに創造神より人外認定を朝一番に受けるのであった・・・
ちなみに見た目は二十歳前後まで若返った様である。
「たしかに力とかも、かなり上がってる様ですね・・・
これは普通に生活するのにも安全の為に慣れる
訓練が必要でしょうね・・・」
寝巻きを脱ごうとして
思いっきり寝巻きを紙の様に破っってしまい、
固まっている一郎の姿がそこにはあった・・・
『今日はまず自分の中の魔素の流れと魔力を制御する為に、
加護で与えた魔法の練習が良いじゃろう。
特に空間系は身を守るのに適しておるしのぅ。
最初は魔素を手に集める様にイメージしつつ
盾の様なモノを想像して創造するのじゃ、
魔法はイメージが最も大事じゃからある
意味センスが無いと
せっかくの魔法の素質も宝の持ち腐れになる事もあるからの、
一郎のセンスに期待しておるぞ?』
とりあえず一郎は漠然とだが昨日感じた魔力の流れを
手に集める様にイメージする。
すると案外あっさりと出来てしまった事に内心驚きつつ、
盾のイメージが上手くいかず似たようなモノ
(身を守るってか水から濡れない様に守るモノだしな・・・)
と思いつつなぜか傘をイメージして
愛用していた押しボタン式のジャンプアンブレラ
つまりボタンを押すと開く無色透明な傘を造ってしまった・・・
「盾がよくイメージ出来なかったので
愛用の傘をイメージしたのだが・・・」
『予想の斜め上を行く男よの・・・
一発で出来たうえにより複雑な構造の傘を造ってしまいよるとは・・・
確かに一郎の世界では盾なぞ普通に使わんからのう・・・
まぁ良いじゃろう納得はイカンが出来たのならば良しじゃ。
それは魔素を魔力で固めて固定した傘じゃ
一郎が消える様にイメージするまでは
大きな負荷をかけるまでは消えぬからの。
おそらくじゃが強力な耐久性をイメージしておらんでも
元の傘よりかなり丈夫に出来ておるハズじゃ大体10倍くらいかの?』
どうやら魔素はビニール布より良い素材らしい・・・
「それは良い品が出来たのですが・・・
なぜか精霊達が寄って来てすごい事に?
魔法を使うとなぜか一斉に群がって来たのですが?」
すでに一郎は真昼の一人エレクトリカル・パレード状態であった・・・
『それはただ単に一郎の魔力が精霊達に好まれておるのじゃろう、
我も見てるとウズウズとして来る程に綺麗で
心地よい波動じゃからのう・・・
今度から魔力を手に集めて我を撫でる権利をやるのじゃ』
なにやら尻尾もパタパタ動いてる様である・・・
『しかし予想以上に強化された様じゃな・・・
慣れるまではコレを付けておるが良い』
っとバテストがなにやら腕輪をほおり投げて来た。
どうやらリミッター兼便利な素敵アイテムらしい、
さすがファンタジーな世界だ・・・
「腕輪?コレを嵌めると良いのでしょうか?
『それはリミッターと収納の腕輪じゃ
500Kgくらいまでなら触れて収納と念じれば
意識のある生物以外なら収納出来るぞ』
はぁ、ありがとうございます。
これは便利良いですね、鞄要らずになりますね、
出す時も出ろと念じれば良いのですか?」
さすが一郎・・・
創造神の創り出した「神器」すら鞄扱いである・・・
『そうじゃ、しかしそれに収納したものは
時間が止まるので食べ物を入れてても
、熱々のままで腐敗もせぬ特注の特別品の一品じゃ、
一郎が嵌めた時点で魔力波動鍵で
ロックされたから一郎以外は使えぬし、
盗まれても還ってこいと念じれば腕に戻って来て勝手に嵌るじゃろう』
「呪いの腕輪?」と思ったのは一郎の心の中でだけの秘密である。
『今日はこのまま精霊もちょうど各種揃っておるし
戯れながらそれぞれの属性の特性を覚えておれば良いじゃろう、
我は今日は居に戻って来るのでな、
この世界のこの宇宙だけを見てもおられんしの、
くれぐれも敷地から出るでないぞ?
明日にはまたやって来るから
それまでに特性を覚えておるのじゃぞ?と言うか・・・
すでに半分精霊に埋まっておるの・・・
ここまで精霊に好かれる人間も珍しいの・・・
ではまた明日じゃ』
すでに一郎の周りは精霊で溢れかえっていた。
友人が見たら「さすがフェロモン?効果だな・・・」
と呆れていたかも知れない・・
「はいわかりました。敷地から出なければ良いのですね、
ではお気を付けていってらっしゃい
また明日お会いしましょう」
そして、そのまま一郎は「迷い家」の縁側で精霊と戯れながら、
その日を過ごすのであった・・・
よく晴れた異世界に来て初めての、のんびりとした時間であった。
作者も一郎も縁側で猫等の小動物を愛でながら、
のんびりするのが至福の時です・・・