表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/34

第4話 科学式炎魔法でゴブリン撃退

夕暮れ。

ガルド村に緊張が走った。


「ゴ、ゴブリンだ! 森から出てきた!」

物見櫓からの叫び声が響く。


広場に集まった村人たちが青ざめる。

「オークじゃないだけマシだが……数が多いぞ!」

「戦えるのはせいぜい十人だ……!」


なるほど、ゴブリンの群れか。

だが、今の俺には試したい新しい炎魔法がある。


「テオ、家に引っ込んでろ」

「レンさんはどうするの?」

「――ちょっと実験だ」


通常の火球魔法は、

魔力を熱エネルギーに変換して空気を燃やすだけ――いわば“焚き火”だ。

それじゃ威力も温度も足りない。


なら、酸素を増やし、燃えやすい素材を混ぜればいい。


俺は魔法陣に補助回路を追加し、

火球内部に酸素を濃縮、さらに燃焼速度の高い金属粉を生成する仕組みを組み込む。


「名付けて――高酸化・金属燃焼弾」


ゴブリンの群れが柵を壊し、雪崩れ込んでくる。

十数体。粗末な剣や棍棒を手に、甲高い声で吠えながら突進。


「来るぞ!」

村人が恐怖で声を上げる。


俺は前に出て、掌を突き出した。


高酸化炎弾(マギ・プラズマフレア)!」


ボウッ!!


白色の閃光とともに、超高温の炎球が炸裂。

通常の火球魔法の比じゃない熱量が一気に広がり、ゴブリン3体が瞬時に黒焦げになる。


「な、なんだあの炎……!」

「こんな火球、見たことねぇ!」


村人たちが目を見張る。


「まだ終わらん」


俺は二発目を展開。

今度は火球の内部で空気の流れを圧縮し、爆風を伴う衝撃波を発生させる。


ドンッ!


爆風が起き、突撃してきたゴブリンの前列がまとめて吹き飛ぶ。


「爆発……!? 魔法でこんなことが……!」

村人たちが耳を塞ぐ。


「怯むな! 残りはお前たちで仕留めろ!」

俺は叫んだ。


恐怖で硬直していた村人たちが奮い立ち、棍棒や槍で残りのゴブリンに立ち向かう。

科学魔法による初撃で戦意を削いだおかげで、形勢は一気に傾いた。


数分後――戦闘は終わった。

村にゴブリンの死体と、焦げ臭い匂いだけが残る。


「お、お前……あれが魔法なのか?」

村の男が呆然とつぶやく。


「魔法だよ。ただし――科学式だ」

俺は笑う。

「酸素を濃縮して燃焼速度を高め、金属燃焼で温度を跳ね上げた。

さらに爆風を伴う構造で威力を底上げしただけだ」


村人たちには理解できないだろう。

だが、それでいい。

結果こそがすべてだ。


夜。

戦利品のゴブリンの武器を分解しながら、俺は考える。


魔法は未知の現象じゃない。

エネルギー変換と物質制御の応用技術だ。

ならば、化学・物理・生物――あらゆる科学を融合させれば、無限の可能性がある。


「王都に行く……もっと複雑な魔法体系に触れねば」


この世界で、科学と魔法を極限まで進化させる。

そのために――俺は王都を目指す。


「科学で魔法を凌駕する」――それが俺の使命だ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ