表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「現世最強の科学者、異世界では科学の力で最強魔法使いに」  作者: Naoya


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2/47

第2「辺境の村と魔法の基礎」

「お、おい! 誰か倒れてるぞ!」


……声だ。


目を開けると、数人の人影が立っていた。

年端もいかない少年と、粗末な布の服を着た中年の男。

どうやら俺を見つけたらしい。


「大丈夫か、兄ちゃん? モンスターにやられたのか?」

「……いや、ただの実験失敗だ」


そう答えると、男が怪訝そうな顔をする。

そりゃそうか。普通、草原で寝転がってる奴がいたら不審者だ。


「とりあえず村に連れていこうぜ。ここは魔物の縄張りだ」

「助かる」


こうして、俺は彼らに担がれ、近くの村に連れていかれた。


辿り着いたのは、小さな村だった。

藁葺き屋根の家が十数軒。石垣の柵が簡易な防御壁になっている。

まるで中世ヨーロッパの農村のようだ。


「ここはどこだ?」と尋ねると、男が答える。

「ここはガルド村。王国の辺境さ。お前さん、旅人か?」

「まあ、そんなところだ」


旅人……便利な設定だな。異世界転生者の鉄板偽装だ。


「体は動くか? まずはうちで休め」


案内された家は、農家らしい素朴な内装。

炉があり、テーブルがあり、干し草の匂いが漂っている。


「怪我はないようだが……医者を呼ぶか?」

「必要ない。自分で治せる」


そう言って、俺は自分の魔力を操作してみる。

腹の奥から流れを意識し、手のひらに集め――傷の部分に触れる。

温かい光が広がり、擦り傷が塞がった。


「お、お前……治癒魔法が使えるのか?」

男が目を丸くする。


「……ああ、ちょっと独学でな」

俺は適当にごまかす。


話を聞くと、この世界では魔法は日常生活に根付いているらしい。

水を出す魔法、火を起こす魔法、治療魔法……。


「魔法は誰でも使えるのか?」

「いや、魔力を持つ者だけだな。魔力は生まれつき決まってる」


ほう、ここで“才能”というやつが絡んでくるわけか。

だが俺にとっては関係ない。科学的アプローチで補えばいい。


「魔力はどこから来る?」

「え? どこからって……体の中だろ?」


予想通りだ。

彼らは仕組みを知らず、感覚で使っているだけだ。

なら俺が理論を作る。


「試しに火を出せるか?」

俺が頼むと、男は掌に炎を灯してみせた。


「こんな感じだ」


観察する。

魔力が体内から手のひらへ移動し、空気中で燃焼現象を引き起こす。

炎の大きさは制御可能だが、効率は悪い。


「無駄が多いな」

思わず口に出してしまった。


「無駄?」

「いや、こっちの話だ」


なるほど。魔法は“魔力→現象”の変換プロセスだ。

ならば――変換効率を高めれば、同じ魔力量でより強力な魔法が打てる。


「ふむ……魔力を媒介する構造体が必要だな」


俺はテーブルに置いてあった石板を拾い、指で簡単な魔法陣を描く。

回路図のような魔法陣。

これで魔力を一点集中させ、出力を安定化させる。


「やってみるか」


魔力を流し込むと――。


ボウッ!


先ほどよりも鮮明で、高温の炎が現れた。


「な、なんだそれは!? 火の玉が二倍は強ぇぞ!」


男が叫ぶ。

よし、再現性あり。


「これは新しい魔法の形だ」

俺は笑った。


その後、村長の家に案内され、自己紹介をした。

もちろん、本名は名乗らない。

「レン」とだけ伝え、旅の学者ということにした。


村では魔物の被害が増えているらしく、魔法を使える人材は歓迎されるらしい。

ちょうどいい。ここで基礎研究を進めるか。


「お前さん、しばらくここで暮らすといい。食事と寝床は提供しよう」

「助かる。俺も力を貸そう」


こうして、俺はガルド村に滞在することになった。


夜。

借りた部屋の机に石板を並べ、ひとり黙々と実験を続ける。


魔法とは何か。

魔力とは何か。

法則を見つけ、構築し、応用する。

この世界の魔法を科学する。

それが俺の目的だ。


「よし、明日は治癒魔法の効率を解析してみるか」


新しい世界。新しい法則。

未知の現象を解明するのは、俺の天職だ。


こうして、科学と魔法の融合への第一歩が踏み出された。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ