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「現世最強の科学者、異世界では科学の力で最強魔法使いに」  作者: Naoya


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第19話 破壊工作

王都公聴会から帰還した俺たちは、すぐさま研究室にこもった。


「一週間後に実演なんて……」

ユリウスが青ざめる。

「無茶だ……!」


「無茶じゃない。必要だ。」

俺は机に広げた術式図面を睨みつけながら答えた。

「収束型《錬滅新星》はまだ理論段階だ。

実用化するには、魔力の偏差制御を完全に安定させる必要がある。」


「そういえばレンさん。」

エリシアが恐る恐る口を開く。

「公聴会でも使ってたあの“魔道書みたいなやつ”、あれ何なんですか?」


「ああ、これか。」

俺は傍らの黒い古書のような端末を掲げた。


「《オーディン》だ。

叡智を求め、世界を見渡す神の名を借りた。

俺の魔法はもともと潜在魔力と知識で“力任せ”に叩きつけるだけだったが、

研究室でこいつを開発して、ようやく技術になった。」


ユリウスが興味深そうに覗き込む。

「技術……?」


「見た目は魔道書だが、中身は携帯型魔術制御端末だ。

術式データベース、魔力の収束補正コア、即時展開機構――

研究室を小型化して持ち歩いてるようなもんだな。

こいつがあれば、暴発のリスクなしで高出力術式を扱える。」


「……じゃあ、もしそれが壊されたら?」

リシェルが眉をひそめる。


「フルパワーは撃てない。

補正が効かず、暴走する危険がある。」

俺は端末を閉じ、低く呟いた。

「だからこそ、研究室も《オーディン》も絶対に奪わせない。」


同じ頃、学院の裏路地。

フードをかぶった数人の男たちが指示を受けていた。


「いいか。研究室に潜入し、術式回路のコアを壊せ。

奴が本番で暴発すれば、それで終わりだ。」


指示を出しているのは――ヴァルクスの側近教授だった。

「万が一失敗すれば……レン・カミシロの信用は地に落ちる。」


深夜。

研究室で回路調整をしていると、壁に設置した感知魔法が反応した。


《サーモ・センサー》が反応――三名、東側扉前。


「……来たな。」

俺は即座に《オーディン》を起動し、術式ページを切り替える。


扉が破られ、フードの男たちが雪崩れ込む。


「研究データを渡せ!」


「賊……!? レン!」

リシェルが杖を構える。


「下がってろ。」

俺は短く言い、術式を起動。


「――収束型マギ・プラズマフレア!」


《オーディン》を介した術式が瞬時に展開、

杖先ではなく宙に浮かぶ魔力回路から白光が炸裂。

高周波と閃光が室内を満たし、賊たちが悲鳴を上げる。


「研究者を舐めるなよ。」


ダリオが大剣で賊を押し返し、ユリウスが防御術式を重ねる。

エリシアは治癒薬を準備し、支援に回った。


賊たちは劣勢を悟ると、退却の煙幕を張って逃げ去った。


「くっ……!」

ダリオが悔しげに舌打ちする。


俺は壊れかけた補助回路を確認した。

「……コアに手を入れられたな。」


リシェルが険しい顔で言う。

「間違いなくヴァルクスの差し金よ。」


「修理できるの?」

ユリウスが不安げに問う。


「できるさ。」

俺は答えた。

「一週間あれば十分だ。

――いや、むしろ奴らに礼を言いたいな。

本番で暴発しないよう、今のうちに欠陥を全部洗い出せる。」


俺は新たなページを開き、術式を書き換えた。

――王立軍の前で、完璧な《錬滅新星》を見せてやる。

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