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「現世最強の科学者、異世界では科学の力で最強魔法使いに」  作者: Naoya


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第12話 異端研究室 vs ヴァルクス派

研究室の扉を叩く音が響いた。

「レン、来たわよ。」

リシェルが腕を組み、険しい表情で告げる。


入ってきたのは学院の事務員とヴァルクス派の若手教授だ。

「通達だ。」

事務員が無機質な声で言った。


「学院理事会は、レン・カミシロの研究室の存続について正式な審査を行う。

その判断は――決闘によって行われる。」


「決闘?」

ユリウスが青ざめる。


事務員が補足する。

「学院規定により、研究室の存続を巡る異議申し立ては代表者同士の決闘で決する。

申立人はヴァルクス教授。対戦相手は――君だ。」


リシェルが眉をひそめた。

「汚いわね。レンを潰したいだけじゃない。」


「まあ、そうだろうな。」

俺は苦笑する。

――だが、ちょうどいい。

結果を出して叩き潰せば、連中も黙るだろう。


決闘の相手はヴァルクスの教え子、グレイ・ザルドという青年だった。

鋭い目をした長身の魔導師で、既に中級魔導師免許を持つ学院最上位の実力者らしい。


「異端者を討つのは光栄だな。」

挑発的な笑みを浮かべる。


「やる気満々だな。」

「当然だ。教授はお前のような無礼者を学院に置いてはならぬと仰っている。」


……完全に駒だな。

だが、駒でも潰せば効く。


翌日、学院中庭に設置された円形闘技場。

学生や教授が観客席を埋め尽くし、ざわめきが渦を巻く。


「異端研究室がどうなるか見ものだな。」

「ヴァルクス派が勝つに決まってる。」


視線が突き刺さるが、恐怖はない。

むしろ――科学魔法を見せる最高の舞台だ。


対面にはグレイと、炎属性の魔導師のペア。

俺はリシェルと視線を交わす。


「準備は?」

「もちろん。あなたこそ負けないでよ。」


審判が声を張り上げる。

「王立魔導学院、決闘を開始!」


同時に、魔力の奔流が場を支配した。


俺は杖を掲げる。

「《マギ・プラズマフレア》!」

高温の光球を生成し、相手の布陣を牽制する。


だがグレイはすかさず詠唱。

「《フレイム・バリスター》!」

火炎の槍が複数射出され、俺の光球を相殺する。


「っ……!」

爆風に視界を奪われる。


「どうした異端者。小細工は通じんぞ!」

グレイが高笑いしながら次の術式を展開する。


リシェルが雷撃を放つが、相棒の魔導師が複雑な結界で受け止めた。

「……あの結界、属性相殺か!」


俺は舌打ちした。

――こいつら、完全に対策してきている。


ヴァルクスの入れ知恵か。

科学魔法の弱点を突く準備をしてきたな。


爆炎と雷撃が交錯し、一進一退。

だが、押し切られつつあるのは俺たちだった。


「レン、持たない!」

リシェルが声を張る。


「わかってる!」

だが策がない。

通常の科学魔法では突破できない。


グレイの炎の槍が雨のように降り注ぎ、俺たちは防御結界に追い込まれた。


「終わりだ!」

グレイが叫び、巨大な炎の魔方陣を展開する。


――学院最上級の術式、《イフリート・インフェルノ》。

紅蓮の巨人が姿を現し、こちらを見下ろした。


「っ……これはまずいな。」


防御障壁がきしみ、観客席がどよめく。


――突破口が、いる。


俺は深く息を吸った。


――試すか。

まだ実験段階だが、使うしかない。


「リシェル、時間を稼げ!」

「何する気?」

「こいつらに――“科学”を見せてやる。」


紅蓮の巨人が迫る。

俺は杖を構え、未完成の術式を書き換え始めた。

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