聖女の代わりに異世界召喚された地味OL、なぜか王子と魔王と勇者にプロポーズされている件について
「え、えええ!? ここどこ!? 誰!?」
目が覚めたら、私は金色の天井と、絢爛豪華なドレスの集団に囲まれていた。
「おお、聖女様……!」
「……はい?」
その瞬間から、私——地味系OL・早川紗月は、異世界でとんでもない騒動に巻き込まれることになった。
1.地味OL、突然異世界で聖女代行にされる
都内の中小企業で営業アシスタントをしていた私は、職場では空気のような存在。服もユニクロ、趣味は図書館通い、恋愛経験ゼロ。
そんな私がある日、資料室で居眠りしていたら、異世界・レヴァルティアに聖女として召喚されてしまった。
いや、正確には——
「……すみません、本当は“本命の聖女”を呼ぶはずが、なぜか違う人が……」
「私、間違って召喚されたの!?」
しかも聖女召喚の本命は、なんと大学時代の美人同級生・神谷エリカ。まさかの巻き添え召喚。
「では彼女には仮の聖女として働いてもらいましょう。どうせ魔力はないでしょうし」
って、ひどくない!?
でもその数日後、事態は急変する。
2.なぜかモテ期が異世界で到来する
「君こそが、真の聖女だと感じた。僕の妃にならないか?」
突然プロポーズしてきたのは、レヴァルティア王国の第一王子・レオンハルト殿下。黄金の髪に氷のような青い瞳、顔面偏差値が高すぎるイケメン王子。
「いやいや、私ただの地味OLですけど!?」
その翌日には、なぜか魔王城に呼び出される私。
「ほう……貴様が“あの聖なる光”の持ち主か。面白い。我が伴侶にしてやろう」
登場したのは漆黒のマントを纏う魔王ゼルヴァイン。冷酷非道と噂されていたが、私にだけやたらと甘い。
更にその翌日。
「……聖女、俺、お前が好きだ。王子とか魔王とかどうでもいい。俺と結婚してくれ!」
異世界最強の勇者カイルが、赤面しながら指輪を差し出してきた。
「え、待って、なんでこうなるの!?」
3.まさかの“真の聖女”判定
実は、私の中に宿っていたのは「聖女エルリア」の魂。神話の時代に世界を救った本物の聖女の生まれ変わりだった。
そして、“本命”として召喚されたエリカは、ただの人間だったことが発覚する。
「どうして……私が選ばれたはずなのに……!」
エリカは悔しさを滲ませて姿を消した。私は後味の悪さを感じながらも、魔力を制御できるようになり、聖女として国の救済に奔走する。
4.地味OL、選ばれるのは……
「で、紗月は誰を選ぶんだ?」
三者三様のプロポーズ。私は——
「しばらくは一人で聖女の仕事に集中したいです!」
「「「えええ!?」」」
王子は困ったように微笑み、魔王は不機嫌そうに目を細め、勇者はがっくり肩を落とした。
でも私は知っている。この世界では、もう「空気」じゃない。私自身の価値を、ちゃんと認めてくれる人たちがいる。
「……もう少し、ちゃんと自分のこと好きになってから、答えを出します!」
そう告げた私の笑顔に、三人はなぜかまた惚れ直していた。
◆おまけ:異世界恋愛戦争はこれからだ!
「聖女殿、今日こそデートを!」
「いや、先約は我だ」
「……勝負で決めよう」
こうして今日も、地味OL改め“真の聖女”早川紗月の、異世界逆ハーレムライフが始まる——!
(完)