はじめに
【あらすじ】
帰宅部で内向的な北端中学2年生の「飯野 梓」は、クラスのマドンナで陸上部の女子スプリンター「藪 亜朱沙」に 憧れながらも声を掛けることすら出来ない。その藪亜朱沙は同じ陸上部の男子「竹内 駿」に想いを抱いているが、駿が梓に魅かれている事を知った亜朱沙の取り巻きは、梓を排斥し始めた。そのせいで見学となった体育大会で、梓は駿に頼まれて、足を怪我しリレーを欠場した亜朱沙の代走を務め、クラスを優勝へと導く。しかしそれが面白くない亜朱沙に一喝され、失意のまま、東北地方へ転校してゆく。そこへ震災が襲い掛かり飯野梓は帰らぬ人となった。
十数年後、社会人として市役所で防災を担当するようになった藪亜朱沙は、出張で飯野梓の終焉の地を訪れ、梓の最期の行動を知る。梓は亜朱沙も覚えがある北端中学の陸上部用襷を遺していた。その謎を追ううちに、亜朱沙は襷だけでなく、梓そのものを繋ごうと考える。己を問われる震災関連のヒューマンドラマ(フィクション)です。
【登場人物】
飯野 梓 (いいの あずさ) 北端中学2年/駒切中学
藪 亜朱沙 (やぶ あずさ) 北端中学2年/川端市役所
竹内 駿 (たけうち しゅん) 北端中学2年/川端市役所
佐藤 美順 (さとう みより) 北端中学2年
佐賀 実玲 (さが みれい) 駒切中学2年/転校
綿木 妙子 (わたき たえこ) 駒切中学元教員
冠 貞世 (かむり さだよ) 梓が救った老婆
冠 貞一 (かむり ていいち) 貞世の息子