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第0部;9999(フォーナイン)と0000(フォーゼロ)の扉 ―――神の干渉(調和的なテンソル)によって導かれる、9999の扉




  第0部;9999(フォーナイン)と0000(フォーゼロ)の扉




  21世紀の古典芸術作品である時和大学の主人公、時和奏と空和葵の二人は、999話の双送式を完了させて、天上の扉の向こうに辿り着くと、謎の空間に到達した。


 奏と葵の前には、9999(フォーナイン)という扉。


「「9999……?」」


 主人公の二人は同時に呟いた。

 9999というのは、純白の色をした巨大な扉であり、極めて巨大な建築物である。まるで全人類を包容するようなそんな寛大さに満ち溢れている。だが未だ強固に閉じられている状態である。


 そして二人はそんな謎の扉の前で困惑しながらも、周囲の状況を確認した。

 現在位置は、どうやら天上の通路とでも形容すべきような、そんな場所だった。神々しい雰囲気で彩られており、天の星星が上部辺りから垣間見える。


 広々とした通路の左右には、数え切れない程の扉が等間隔で設えられている。先程の9999の扉は、通路の先、つまりその最も奥の中央に位置している。


 二人は9999の扉から踵を返して、歩み始める。

 すると、天上の通路の左右に設けられる扉には、数字が記載されていることが視認できた。 21世紀、20世紀、19世紀、という感じで、大まかに世紀ごとに扉は分けられているらしい。その規則性を辿っていけば、最終的に人類の誕生まで遡ることが出来るのだろう。


「私達は21世紀の主人公だっていうことだよね……」

 葵が、謎の規則性を確かめるようにそう言ってきたので、奏が答える。


「ああ……」

 時和大学の主人公である二人が先程くぐってきた扉には、21世紀という年代が刻まれていたのだ。つまり二人はその時代に属しているということである。

 もちろんそのパターンにどのような意味があるのか、全く検討すらもつかないので特に有意義な事は言えないのだが。


 謎の空間を歩いていると、


 ぽたり、ぽたり、ぽたり……


「痛い……」

 奏は胸を抑えながら、痛みを口に出した。

 奏の全身からは鮮血が流れ、謎の空間の床を赤く染め上げていく。彼は最後の戦いで危うく死にかけたのだ。

 

「大丈夫……?心臓の所に、刀の破片が食い込んでいるけど……?」

 葵は奏の肩に手を掛けながら、彼の様態を案じた。

「いや、結構、危ないかもしれない……」

「貴方が、あそこで無茶するからよ」

 葵は奏の無茶さを咎めた。


「仕方ないだろう……」

 奏は少し前の出来事を脳内に映し出した。

 時和大学999話「双送式」において、最後の敵である黒夜叉との戦闘中、時和奏は無茶をしてしまった。




―――――――――

―――――― 回想開始

―――




(時和大学 999話 「双送式」)( https://ncode.syosetu.com/n7362in/2 ) を参考に



 https://youtu.be/ljGMhDSSGFU&t=16m35s 

 闇が深まっていく。双送式当日の夜は元々闇が深かったが、さらに今では夜雲が密集していき、月明かりの光すら見ることが出来ない。


 だがしかし何とか黒夜叉との死闘を続けていく、お互いの精神の波長を合わせることが出来てきた。そして三人が息を揃える



 三人は必殺技を繰り出した。そして究極的な攻撃は、黒夜叉に直撃した。 

 そして遂に、夜が明けてくる。


 https://youtu.be/ljGMhDSSGFU&t=17m17s 

 時和家と黒代家、そして時和町の力を合わせ、遂に勝負は決した。


 暗雲から一筋の光が差し込んでいき、黒夜叉を貫いていく。


 巨大な黒夜叉のフォルムが瓦解していく。漆黒の身体が剥がれていくと、光を放射していくのだ。握っていた巨大な日本刀も手から零れ落ちる。




―――――――――

―――――― 回想終了

―――




「それにしても、あの時、まるで誰かが味方してくれたようなだったような……」

 奏は、あの瞬間の出来事を詳細には覚えていないが、それでも、何か超越的な存在が味方になってくれた、そんな気がしていた。


「一筋の光……神の干渉……」

 奏は特に宗教的な人間ではないが、何か、確かに感じたのだ。天の神、空の上の存在、そんな何かを。

 黒夜叉から最後の抵抗として放たれた刃の矛先は、暗雲から射し込んできた一筋の光によって、軌道が変わったらしい。自分の心臓に日本刀の破片は突き刺さったものの、それが臓器を突き抜けることなく、なんとか持ち堪えている。だから、結果として、一命を取り留めたらしい。


「まさかな……」

 あり得ないだろうと、奏は科学的な思考に戻すと、顔を横に向けて、葵に説明した。


「仕方ないだろう。なんたって、私達はどうせ、双式式でこの世から去っていくはずだっただろ……私の息子や孫の命に比べれば、どう考えても、自分の命を張るほうが理にかなっている」

「ま、そりゃ、そうだけどさ……」

 奏の論理的な弁に、葵は反論することは出来なかった。




 そして再び、二人は時代を遡り始める。

 天上の通路は終わりがないように、いつまでもどこまでも続いていきそうだった。が、天上の通路の最も奥、つまり9999の扉から最も離れた場所には、また一つの大きな扉が屹立していた。


「0000……?」

 0000(フォーゼロ)と表記がある黒黒とした扉だった。0000と反対の位置にある9999とは、色も対照的であり、戦慄させる何かがそこには孕んでいた。

 だが扉が開いているのは、この0000しかなかった。つまり二人はこの扉をくぐるしかないのだ。


「入ってみるか……」

「ええ……」


 そして二人は、0000の扉を開いた。二人は漆黒の闇に包まれていき、歪曲した時空間へと吸い込まれていった。

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