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両手にヒロイン、どうもアシスト役です  作者: riyu-
第一章 どうも、導く者です
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第4話 この攻略本、もはや鈍器である

*ゲームのタイトルを訂正しました(24・3・12)。

 両者、沈黙、体感5分。え、それ以上、何も言ってくれないの??


「……世界を……るーぷ??」


 まじかい、単なる転生モノじゃなくて、ループもするんかい!

 つか、攻略本って、絶対そんなの乙女ゲームじゃん!

 いや、待て、D○のマリ○にも攻略本ってあったな。頼む、恋愛シミュレーション系はやめてくれ!

 いや、でも、冒険系は危険そうだからそっちも困る!はい、詰んだー。


「まあ、多少は助けてやろう」


 また、いつの間にか雰囲気がもとの楽し気なものに戻っている。

 今のお言葉、忘れませんからね。

 というか、多少じゃなくて、たくさん助けてください。神様、仏様、リアスさまあああ!


「とりあえず、残りの時間で読めるだけ読め。そなた、文字は読めるのだろ?」

「はいっ!」


 しっかり頷く。今更だけど、これからはリアス様に全力でいい子になります!だから、助けて!

 幸いなことに、この世界の共通言語は日本語と同じ文字を使用する。それに、公爵家だったので、6歳でも前世の高校卒業程度の漢字までは習っていた。


「前世では、成人には達していたようだな」

「おそらく……」

「ならば、良い。後で熱は多少出るかもしれぬが、これを使おう」


 リアス様が指をくいっとしたら、金の懐中時計っぽいものが飛んできた。


「魔力の込め方は習ったか?」

「はい」

「じゃ、このダイヤが光るまでここに魔力を込めろ」

「はい!」


 よく分からんが、従うのみ。

 6歳の手には少し大きい懐中時計にとりあえず、魔力を流す。

 すると、あーら不思議、3秒ほどで小ぶりのダイヤは、虹色の光を発し始めた。


「よい魔力だ。これでよい」


 またリアス様が指をくいくいっとしたら、今度は懐中時計が、書斎机の方へと飛んでいく。

 残り半分弱になった金の砂時計のウエスト部分に、これまた金の懐中電灯がカチリとはまった。


「時間はないから、説明は省略する。そなたは、今から1時間で読めるだけ読め」


 お、おう。


 ◇◇◇

 そうして、読み始めて10分ほど経過。どうやら、懐中時計をくっつけることで砂時計の砂の落ちる速度が少し遅くなるようだ。それ以上はよく分からない。


 というか正直、砂時計の説明よりも、使命を果たさなければ世界をループするってとこの説明がほしい。でも、説明してくれそうな雰囲気ではなかったし。今のところは、リアス様の、多少助けてくれる、という言葉を信じるしかない。


 そんでもって、この『攻略本』。

 表紙は控えめな装飾の施された深紅の重厚な感じだったのに、開いてみたらもう完全にアレでした。なんというか、ほら、世の人がイメージする乙女ゲームのログイン画面、って感じ。

 全頁カラーのことに喜ぶべきなのか。というか、これ完全にネットの攻略をそのまま印刷して()じましたって感じなんですが。

 いやさ、いいんだけどね。でも、こんなハ○ーポッターの世界観全開な空間で、予言書として渡された重厚な本だったらさ、中身も文字だらけで、絵があっても中世ヨーロッパ風のイラストくらいだと思うじゃないですか。いや、この全面カラーは読みやすいんだけどね。


 あ、ちなみにページ数は、全部で1010頁でした。あはははは。フクロウよ、よく運んで来たね。

 とにかく、1時間しかないので、時間管理が大切です。

 リアス様が、タイマー的な銀の小さな時計を貸してくださったので、それを横目に、6歳の手には重すぎる・大きすぎる予言書(笑)を今、必死にめくっております。


 タイトルは「君に(ささ)げる、指輪とともに」。……うん、何を捧げるんだ?心臓?(絶対ちがう)

 主人公は、平民だが、14歳のとき希少な癒しの魔法の使い手であることが分かり、伯爵家に引き取られる。

 ゲームの舞台は、魔法使いの学園としては、国内随一と名高い聖リアス学園。

 正規の攻略対象は、王子様、宰相の息子、隣国の皇子、教師、従者の5人。ちなみに、リアス様は隠しキャラ。

 各攻略対象の心の内に秘めた悩みや暗い過去を、主人公が魔法とその優しい心で癒していく、というストーリーのようだ。なんというか、全体的に王道の乙女ゲームである。


 そしてそして、私の名前は、主人公の親友であり、良き理解者として登場する。攻略対象との接点を作ってくれたり、攻略対象の好感度を教えてくれたり、好感度を上げるためのアドバイスもしてくれるらしい。完全なるアシスト役である。


 ちなみに、私の心優しいお姉さまは、悪役令嬢だ。悲しい。猫目だし、髪の毛ドリル巻きだし、そんな気はしていたけれど。

 というか、今のところ私とお姉さまはめちゃくちゃ仲良しなのですが、私がお姉さまのライバルの親友になるのってなんで?そもそも、私とヒロイン、身分差がかなりあるのに親友なの?私が積極的に話しかけていかねばならぬのか……?

 うーん。よく分からん。



 ひとまず、ストーリーが本格的に始まるのは、主人公が15歳になってからだから、あと9年くらいはある。

 うん、どうにかなるのでは。


 ◇◇◇

 ……と、まあ何の根拠もなく、楽観的に考えていたときもありました。ええ。

 だけど、ここは魔法の国。そして、このゲームの副題は「たとえ世界が壊れても」。

 ついでに、分厚すぎる攻略本。……さあさあ、頑張れ、アシスト役!

お読みくださりありがとうございます。


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