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両手にヒロイン、どうもアシスト役です  作者: riyu-
第一章 どうも、導く者です
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第3話 予言者の書

 目の前には優雅にコーヒーを飲むリアス様。

 そう、この世界、紅茶だけじゃなくてコーヒーもあるのよね。

 紅茶よりコーヒー派な私としては、ちょっぴり嬉しい。


「ずいぶん、余裕そうだな」


 いやいや、どう見ても、てんぱってるだろーが。

 6歳の脳みその処理能力を、過信するなよ。


「いえ」


 ここで、優雅ににっこり。うん、大丈夫、しっかりせよ、公爵令嬢。

 おけおけ、素晴らしいわ、貴族教育。ははは……。


 ◇◇◇

 ……。

 話は、10分ほど前に遡る。


 お前、面白いな、とかこの見た目10歳の美少年、大魔法使いリアス様がおっしゃった直後、頭上からバサリバサリと何やら飛んでくる音がいたしました。


 今、私とリアス様がいるここは、「水晶の塔」と呼ばれるところで、リアス様が住んでいらっしゃる通称「リアス城」の一角にあるらしい。なぜ、「らしい」なのかというと、ここに入るには、リアス様の許可が必要で、リアス様が指定するドアに指定する時間、その人が開けてはじめて入室できる仕組みだからだ。ちなみに、水晶の儀の場合は、王宮の隅にあるドアを開けることになっている。

 つまり、本当はどこにあるのかはリアス様しか知らない。ファンタジーの世界であることを考えると、時空の狭間とかにありそうで、ちょっと怖い。


 中はいかにも魔法使いの物語に出てきそうな雰囲気のある書斎で、扉以外の周囲の壁はすべて書棚。魔法で拡張しているとかなんとかで、上を見上げると本でいっぱいの書棚がどこまでも続いていて、これまたちょっと怖い。たぶんこの部屋は円柱の形をしているんだと思うけれど、上の方は真っ暗闇。

 まあちょっと上のところにおしゃれな照明がとりつけられているから、下で本を読むのには支障はないけど……。


 いけないいけない、また脱線してしまった。

 で、ですね。そんな真っ暗闇から、バサリバサリ、とか音がしたら、まあ不気味。

 コウモリとか降りてきたらどうしようか、と正直小さく手が震えていました。



「ふふっ、コウモリを飼う趣味など、私にはない」


 うっ、この人、心も読めるのか。チートめ。

 リアス様は、涼しげな顔で上を見上げる。

 うわあ、横顔、美しいなー。……じゃなくって。


 リアス様が差し出した手に止まったのは、真っ白いふかふかのフクロウ。

 ほんと、ハリー○ッターの世界みたい。 


「よかったな、リヴァルウェンの娘よ」


 フクロウがリアス様の肩に移ると、リアス様の手に、分厚い本が現れた。どうやら、上の棚から本を運んできたらしい。



「ほれ、そなたにこれをやろう」


 リアス様の顔は、完全に面白がっている。


「予言の書を授けるのは、久しぶりじゃ」


 そろそろ、鼻歌でも歌い始めそうである。

 あー、フクロウかわいいなー。すりすりしてるよ。



「あー、じゃが、ここにある書は、この部屋からは持ち出せぬからな」


 さも、今気づきました、みたいな顔をして、リアス様は後ろを振り返る。

 立派な書斎机の上にある、これまた立派な金の砂時計は、あと半分くらい。


「ふむ。そなた、読むのは早いか?あと35分くらいしかないのじゃが」


 いや、たぶん1000頁くらいありますよね。速読スキルとか、ないっす。



「困ったのー。この部屋に長時間いるのは、よくないのだが」


 確かに、水晶の儀は、ちょうど1時間で終わるものだと言われたが。


「成人ならば、まあ2倍速でも大丈夫じゃろうが、6歳ならば体がもたぬじゃろ」


 なんか、よく分からないけど、めっちゃ怖いこと言ってる。


「じゃが、設定した時間は絶対だからのー」


 できることならば、今すぐその本も返却して、予言者やらなんやらの称号も返還したいのだが。

 そしたら、この本を速読する必要もなくなるし、全部解決!ワタシ、天才!


「あ、それは無理」


 リアス様、やっぱ心読めるでしょ。


「与えられた使命は絶対だから」


 さっきまでのひょうひょうとした雰囲気がいつの間にか消えている。


「君は予言者なんだから、きちんとその役割を果たさないと……」

「……果たさないと?」




「君は、この世界をループすることになる」

お読みくださり、ありがとうございました。

次回は、15日22時に投稿します(予約済みです!)。

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