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両手にヒロイン、どうもアシスト役です  作者: riyu-
第一章 どうも、導く者です
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第2話 「攻」「略」「本」!

父親の職業を訂正しました(24・1・11、1・20)

 6秒かけて息を深く吸うと、人間、落ち着くらしい。

 すーっはーっ、すーーーーー。


 うん、無理だ。


 とりあえず、この6年間をざっと振り返らせてほしい。

 えー、はい。

 わたくし、アンネヘルゼ・リヴァルウェンと申します。


 わたくしが、このリアス王国に生を受けたのは、今から6年前、リアス歴1978年。

 このリアス歴というのは、初代国王リアス様がお生まれになった年を1年1月1日としているらしい。

 ただ、あまりにも日本の季節と一致しているから、設定てきとーだな、ってちょっと思いました。


 ……それはいったん、置いといて。


 わたくしは、この王国で4つしかない公爵家のひとつ、リヴァルウェン公爵家の次女として誕生いたしました。

 父は4つある魔法の門のうち火の門(朱雀門)を管轄する第一魔法団の団長様で、宰相(=政治部門のトップ)もしています。

 母は、先代の国王の姪っ子、先々代の孫にあたります。

 つまりですね、わたくしは生まれながら貴族のヒエラルキー最上位層に属するサラブレッドなわけです。


 大きなお屋敷、優しい家族、何から何まで使用人がしてくれて、至れり尽くせりの日々。

 3歳からは家庭教師がついて、のんびりする時間は減ってしまったけれど、たまに3歳上のお姉さまと一緒にお茶会ごっこをしたり、近所の幼なじみと遊んだり。

 いやー、今思い返しても、大変幸せな人生を送ってきたと感じる。



 まあ、このまま育てば、その地位と富によって、とっても嫌な子に育っていたかもしれません。

 だが、しかし。

 あの水晶に手をかざしたとき、ぶわーってな感じで前世の記憶がよみがえってきたのであります。

 ふっ、動揺しすぎて、口調が変になっちゃうわ。


 前世の記憶。

 少なくとも表面上は平和で、四季の美しい国、日本でひとりの女性として生きた私。

 家族の顔、結婚したかとか、いつなんで死んじゃったのかとか、その人生の全部を詳しく思い出すことはできないけれど、こことは異なるあの世界、その国で確かに私は生きていた。

 たくさん本を読んでいたこと、紙の本は高いからってネット小説を漁って何度も夜を明かしたこと。

 なんで、そんなしょうもないことは覚えているんだろ。



 ああ、これが転生か。


 ちょっと笑いたくなる。好きだったジャンルではあるんだよな、転生モノ。

 乙女ゲームの悪役令嬢に転生しちゃって、チート発揮して、周りの魅力的な男性はどんどんヤンデレ化してっていうやつね、ええ、ええ、好きでしたよ!

 でも、こんな転生したいとか思ったことないし!ただし、二次元に限る、なのさ!

 そもそも乙女ゲーム、やったことないし!たぶん!


 ……。

 ふー。いや、落ち着け私。

 ふー。うん。現実逃避しても、事態は一向によくなっておりませんわね、ええ。



 目の前には、非常に分厚い本。なお、持ち出し厳禁らしい。

 まあ、そうだよな。

 ちなみに、表紙には、ご親切に、こう書いてある。


「攻」

「略」

「本」

お読みくださりありがとうございました。


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