第1話 「導く者、予言者、転生者」
「……そ、そんな」
水晶に浮かんだ金色の文字は、私の得意魔法が精神系のわりと稀有なものであることを示している。
正直、ちょっと嬉しい。
でも、そこじゃない。
「導く者、予言者、転生者」
6歳になると受けさせられる水晶の儀。
魔法技術で発展したリアス王国では、この儀式を通して、子どもの魔法属性とその役割を確認する。
そうすることで、早くから子どもの適性に合った教育を施すことができるし、合理的な制度だとは思う。うん。
「ほほーう」
目の前でいかにも魔法使いな恰好をした美少年は、この国の創設者であり、史上最も優れた魔法使い、リアス様だ。今年がリアス歴1984年だから、ほぼ2000歳近いのに、今日の見た目は10歳くらいだ。
ちなみに、彼の見た目年齢は、その日の気分によるらしい。
「転生者……か」
澄んだ碧色の瞳が面白そうに細められる。
「お前、面白いな」
ああ、神よ。いや、前世から無宗教だったし、困ったときにしか祈ってなかったけどもよ。
だが、言いたい。ああ、神よ。
せめて、せめて、もうちょっとましな世界へ飛ばしてよ。
はじめまして。お読みくださりありがとうございます。
毎週日曜日の投稿を目標に、見切り発車ではありますが、頑張って参ります。
たくさんお読みいただけますと、嬉しい限りです。
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