一話
今年もまた、夏がやってきた。
かき氷のシロップは実は全部同じ味だ。
香料と色で違う味だと錯覚しているだけだ。
夏になると毎年、そんなくだらない雑学がどこからか聞こえてくる。
テレビのつまらない番組やそれを見た無知な同級生。
ネットのニュースラインや暑さで茹だった男の、バカっぽく振る舞う女の子への知識自慢。
使い古されて、誰でも知っているような、でもホントは知りたくなかった話。
確かに、味の種類なんて五つしかない。
最近は、実は六つ七つあるんだ、なんて話を聞くけれども、でもまあせいぜいがそのくらい。
色とか香りの種類に比べたら少ない。
味の話をするのなら、ケーキだってクッキーだって大体は甘いだけだ。
たまにしょっぱいのがあったり、少しだけ酸味を加えていたりもするけど、でも大体そう。
甘い食べ物は全部甘い。
かき氷だけじゃない。
全部同じ味だ。
小麦や牛乳、卵の匂い。
硬かったり、柔らかかったり、弾力があったりなかったりする歯触りと舌触り。
本当に違うのはそれくらい。
味なんて、ホントは全部一緒なんだ。
甘いだけ。
僕には、人間も同じように感じられる。
皆、違う振る舞いをしているけれども、ホントは同じ。
本質は一緒。
こんな自分でもよく分からないような、漠然とした考えを誰かに話したことなんて、勿論ない。
きっと、誰に話したって似たような感想が返ってくるだろう。
思春期特有のアレだ、って。
大人になれば分かるよ、気にならなくなるよ、って。
物心がついたかついてないかくらいの頃からずっと、でもこんなことを考えている。
だから、別に一過性の病気なんかじゃなくって、これは僕の本質なんだと思う。
三つ子の魂百まで。
死ぬまで変わらないホントの僕。
つらつらとそんなことを考えている自分はロマンチストの気があるのかも。
でもやっぱり、ただの思春期かな。
最近はあまりこういうことを考えないようになっていたのに、再発したのはきっとあの子のせい。
フツーに無難な高校生活を送る予定だったんだけどなあ。
出鼻を挫かれて、残りの二年と半分はどうなることやら。




