第七十八話 相思相愛の二人 (殿下サイド)
わたしの前世はルンボルト王国の王太子マクシリックスだった。
セリフィーヌさんの前世は、ブルグラン公爵家令嬢のリナグリッドさんという名前で、わたしの好きな人だった、
前世で、二人は出会っていたのだ。
わたしがセリフィーヌさんに、どこかで出会ったことがありという思いがあり、なつかしさを覚えていたのは、前世で出会っていたからだと思う。
わたしは、前世で彼女と出会い、一目惚れした。
そして、彼女のことを好きになっていった。
彼女とわたしは、学校で昼食を一緒にとるようになり、おしゃべりもするようになった。
楽しい時間だった。
少しずつではあるが、仲は良くなっていっていた。
もう少し彼女との仲が進んでいけるといいなあ、と思っていた時。
彼女は倒れ、そのまま入院してしまった。
彼女は幼い頃から重い病気にかかっていて、それが悪化してしまったのだ。
意識不明の状態が続いた。
わたしは、彼女が回復しますようにと願い続けた。
その願いが通じたのだろうか。
彼女の意識は戻り、小康状態が訪れた。
わたしは、彼女に生きていて欲しかった。
彼女と婚約し、結婚するのが夢になっていた。
わたしは決意し、初夏の夕方、彼女に、
「あなたと婚約したい。そしてゆくゆくは結婚したい」
と言って自分の想いを伝えた。
そして、
「あなたのことが好きなんだ。大好きなんだ。愛しているんだ」
と言った。
彼女は、自分の体が持たないことを理由に躊躇していたが、わたしは熱意を伝え続けた。
そして、彼女は、
「殿下、ごめんなさい。わたし、殿下の御迷惑になると思って、婚約のことはお受けできないと思っていました。でも殿下のそのお心に、深く感動いたしました。こんなわたしでよろしければ、よろしくお願いします」
と言ってOKしてくれた。
とてもうれしかった。
その後の彼女とのキスは、とても幸せなものだった。
仲睦まじい婚約者どうしになったわたしたちだったが、それは長くは続かなった。
彼女の病状はその後急速に悪化していく。
わたしは、彼女が回復しますようにと、より一層願ったが、その願いもむなしく、病状は悪化する一方だった。
そして、別れの時がきてしまった。
わたしは、
「リナグリッドさん、リナグリッドさん、来世では絶対にあなたと結婚する! たとえ離れたところで生まれたとしても、絶対にあなたと結婚する! 大好きだ!」
と、あの世に行く寸前の彼女に、一生懸命呼びかけた。
彼女は、もう意識がなくなりつつあったが、
「来世は絶対に結婚しましょう」
とわたしに言ってくれた。
二人の約束。
来世では絶対にリナグリッドさんと結婚する、と強く想った。
この世でのわたしの意識が戻ってきた。
前世でのセリフィーヌさんはリナグリッドさんと言って、わたしと婚約をしていた。
そして、来世では絶対に結婚すると二人で約束していた。
なぜこういう大切なことを今までほとんど思い出すことができなかったのだろう……。
そう思っていると、
「殿下、今わたしは、前世での記憶を思い出していました」
とセリフィーヌさんも言ってきた。
二人で前世のことを思い出していたのだ。
わたしがもっと強くセリフィーヌさんのことを想っていれば、どうしても思う。
想ってはいたが、まだまだ足りなかったということなんだろうと思う。
もっと強く想っていれば、彼女はわたしの近くで生まれることができただろうし、そうすれば婚約破棄や追放のようなつらい経験はせずにすんだだろう。
申し訳ないと思っている。
しかし、これからは、セリフィーヌさんといつも一緒だ。
絶対に幸せにする。
「わたしは、あなたのことが好きだ。大好きだ。恋人として付き合ってほしい。そして、婚約し、結婚してほしい」
わたしは、心が沸騰しそうになりながら、セリフィーヌさんにそう言った。
セリフィーヌさんは、
「殿下、ありがとうございます。もちろんお受けいたします」
と言ってOKしてくれた。
「ありがとう」
そう言って、わたしはセリフィーヌさんを抱きしめる。
もう離さない。
この世、そして来世でもずっと一緒に生きていき、幸せな家庭を築いていく。
セリフィーヌさん、好きだ、大好きだ、愛している。
唇と唇が近づいて来る。
そして唇と唇が重なり合った。
二人のこの世でのファーストキス。
わたしはセリフィーヌさんをもっと幸せにしていきたいと強く思った。
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