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第六十七話 前世のことを思い出す二人

わたしは、前世での記憶をこうして思い出した。


ブルグラン公爵家令嬢リナグリッド。それがわたしの名前だった。


それにしても、厳しい人生だったと思う。


体は弱く、重い病気で苦しんでいて、若くしてこの世を去ってしまう。


公爵家令息には、命令口調で迫られ、婚約者候補たちからは無視される。


つらく、苦しいことの連続だった。


そんな中、愛し育ててくれた両親には感謝したい。


そして、マクシリックス殿下。


マクシヴィヴィアン殿下は、マクシリックス殿下として、転生していたのだ。


わたしがマクシヴィヴィアン殿下と初めて会った時、なつかしさを覚えたのは、前世で会っていたからだ。


しかも、前世では婚約をし、わたしがこの世を去る時には手を握っていてくれた。


そして、来世では絶対結婚しようと言ってくれた。


しかし、わたしたちは、お互いの近いところには生まれることができなかった。


出会うまでには、いろいろな苦労があった。


生命が失われる寸前にまで行った。


しかし、こうして出会えていて、今一緒に歩いている。


その想いに応えたい。


まずは、婚約したい。そして結婚したい。


殿下はどこまで思い出しているのだろう。


そう思ったところで、この世でのわたしの意識が戻ってきた。




「殿下。、今わたしは、前世での記憶を思い出していました」


殿下とわたしは手をつないだまま。少し恥ずかしいが、このままずっとつないでいたい。


「前世の記憶?」


「わたし、前世で殿下にお会いしてしたんです」


「セリフィーヌさん……」


信じてくれるだろうか?


でも殿下は、『わたしはあなたと始めて会った時から、どこかで出会っていたのではないかという気がしていた。なつかしさを覚えていたんだ』とおっしゃられていたし、前世は存在するということを信じているようだ。


わたしが殿下と前世で会ったということも信じてくれそうな気がする。


殿下は少しの間、黙っていたが、やがて、


「セリフィーヌさん、わたしも今、前世のことを思い出していたんだ」


「殿下もですか?」


わたしは驚いてしまった。


「わたしはマクシリックスという名前でルンボルト王国の王太子。あなたはリナグリッドという名前でブルグラン公爵家令嬢だった。この間は、リナグリッドという名前を思い出し、あなたになつかしさを覚えたけど、それ以上のことは思い出せなかった。しかし、今はあなたとどういう風に過ごしてきたかということを思い出すことができる。あなたと過ごした楽しい日々も思い出すことができる」


殿下はそう言うと、涙を流し始めた。


「ごめん、セリフィーヌさん。わたしは、あなたがあの世に行った後、あなたの言葉に従わず、激務を続けてしまった。その結果、三十歳という歳までしか生きられなかったんだ」


「そうだったんですか……」


わたしがあの世に帰った後の話なので、そこは把握することはできていなかった。


「あなたに、『くれぐれも無理はなされないでください』と言われたのに無理をして体を壊してしまった。短い人生で終わってしまったのは申し訳なく思っている。ただ、わたしは、あなたがあの世に帰った後、婚約も結婚もしなかった。女性と付き合うということもしていない。あなたのことを忘れることはできなかったからだ。それだけ、あなたのことが好きだったんだ」


殿下は涙声でそう言った。


「面白い」


「続きが気になる。続きを読みたい」


と思っていただきましたら、


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