表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

56/81

第五十六話 殿下からのお誘い

殿下も、わたしと前世で出会ったかもしれないと言っている。


「ただ、それ以上のことは思い出せていない。もっと思い出したいと思っているのだが……」


残念そうな殿下。


「どうだろう。こういう話を聞いて。ありえない話だと思うだろうか?」


「いや、そんなことはありません。わたしも殿下と始めて会った時に、なつかしさを覚えたんです」


「わたしになつかしさを?」


「そうです。どこかで会ったような気がして。それに、リナグリッドという名前にもなつかしさを覚えます」


「そうだったんだ……」


「ただ、わたしの方もそれ以上は思い出せなくて……。申し訳ありません」


「いや、いいんだ。前世での話かどうかはわからないところはあるが、少なくとも、お互いなつかしさを覚えていることは言えると思う」


「そうだと思います」


「あなたの方はわからないが、わたしは、あなたと前世で出会っているといいなあ、と思っていた」


「わたしもそう思います」


「そして、これからは夢の話だけど、わたしは夢の中では、婚約することができなかった。婚約して結婚できていたらいいなあ、と思ったんだ」


殿下はそう言った後、恥ずかしそうにしている。


殿下は夢の中の話と言っている。


しかし、もしかすると前世で、前世のわたしと婚約、そして結婚しているといい、と思っているのではないだろうか。


そして、この世でもそうしたいと思っているのかもしれない。


そう思うと、わたしも恥ずかしくなった。


いや、それはわたしのただの願望かもしれない。


殿下がわたしに恋をしているというのは、わたしがそう思っているだけなのかもしれない。


そして、『わたしは、あなたと前世で出会っているといいなあ』と言っているが、わたしに恋しているとは言っていない。


期待をした分、それが思っていることと違ったら、心に打撃を受けてしまうだろう。


ここは期待をあまりしないように、と思う。


わたしがそう言う気持ちになっていると、


「セリフィーヌさん、わたしはあなたに言わなければならないことがある」


「なんでしょう?」


改まった殿下の表情。


「わたしは……」


そう言うと、殿下は一回言葉を切る。


かなり緊張しているようだ。


わたしの方もドキドキしてくる。


告白だろうか? いや、それはないだろう。でも殿下は緊張している。


しばし沈黙の時間があった後、殿下は、


「次々週の休日の午後、庭を一緒に散策した後、この庭であなたとお茶会をしたい。午前中は仕事をしてもらい、午後に残ってもらう形になる。一日ここにいることになって申し訳ないが、お願いしたい」


と言った。


お茶会、それはもしかするとデートではないだろうか……。


わたしの心は沸騰していく。


「どうだろう?」


「喜んで参加させていただきます」


わたしがそう言うと、殿下は満面の笑みになった。


「ありがとう。これで気力が湧いてくる」


「そんな、大げさです」


「そんなことはない。わたしはあなたと一緒にいる時間が好きなんだ。セリフィーヌさんの方はどうかな?」


「わたしも殿下とご一緒にしている時間が好きです」


本当は、殿下のことが好きです、と言いたかった。


もしかすると、殿下もわたしにそう言いたかったのかもしれない。


そう思っていると、ドアをノックする音がする。


侍医の診察の時間だ。


夜になってきている。


もう少し話をしていたかった。


殿下との距離をもっと縮めたかったが、それはまた次の時。


わたしもそろそろ帰らないといけないだろう。


「今日は本当にありがとう。これからもよろしくお願いしたい」


「わたしの方こそよろしくお願いします」


わたしたちは、微笑み合った。


「面白い」


「続きが気になる。続きを読みたい」


と思っていただきましたら、


下にあります☆☆☆☆☆から、作品への応援をお願いいたします。


面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に思っていただいた気持ちで、もちろん大丈夫です。


ブックマークもいただけるとうれしいです。


よろしくお願いいたします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ