第三十六話 婚約破棄、そして新しい婚約へ (フレナリックサイド)
わたしはイレーナにあこがれるようになってきた。
ゴ-ジャスでわたしのタイプだという彼女。
わたしは、パーティーの日を一日千秋の思いで待つようになっていた。
そして迎えたパーティーの日。
わたしは、彼女と初めて会ったが、フィーリングが合っていそうだという印象を受けた。
それはセリフィーヌにはないものだった。
そして、漂うゴージャスな雰囲気。
わたしのタイプだと思った。
セリフィーヌには感じなかった胸のドキドキも大きくなっていた。
その後、一緒にダンスを踊ったが、なかなかの腕前だ。
これについては、姉のセリフィーヌの方が技術は上だ。
でもそういうことではない。
わたしは、『わたしと婚約すべきはこの人』だとダンスをしている中で思った。
ダンスが終わった時には、すっかりイレーナのことが気に入った。
それからは、ほとんど毎日イレーナと会った。
イレーナの魅力に染まったということだろう。
それにつれて、セリフィーヌのことをますますうとましく思うようになった。
わたしのことを好きになろうと努力しているのは、理解できないわけではない。
しかし、そういう努力ではもうセリフィーヌとの距離は縮まらない。
わたしは、セリフィーヌとの婚約を破棄し、イレーナと婚約することを決めた。
決めたからには、誰が反対しようと突き進む。
わたしは、新年のパーティーの席で、イレーナを婚約者として紹介しようと思っていた。
その紹介の日と、両親を説得し了解をしてもらう日が離れると、両親が心変わりをする可能性がある。
その為、パーティーに前日に両親に話をすることにした。
説得には自信があった。
父王は、もう政務の大きな部分をわたしに移譲していて、昔ほどの元気はない。
わたしの意見に従うしかないだろうと思った。
父王は、それでも、
「セリフィーヌは素敵な女性。きっとお前を助けてくれる存在になる。それなのに、なぜ捨てようとするのか?」
と言って反対した。
しかし、わたしが、
「セリフィーヌは嫌いなのです。わたしはイレーナと結婚したいのです!」
と強い言葉で言うと、その後は沈黙した。
母王妃も、
「あんなに素敵な女性はいません。なぜ他の女性に心を動かしてしまうのです。一度婚約者として決めた人です。浮気してはいけません。結婚すべきです」
と言って反対したが、父王が沈黙する以上、それ以上言うことはできなかった。
両親は渋々了承した。
「もうお前の好きにしろ!」
「もうお前の好きにしなさい!」
と言いたげだったが、二人とそれは言わなかった。
俺としては、言われたところで、既に了承をしてもらっているのだから、もうどうでもいいことだ。
わたしはその日、イレーナとセリフィーヌの継母を王宮に呼んでいた。
イレーナはほぼ毎日来ているのだし、セリフィーヌの継母も時々は「ご機嫌伺い」として来ていたので、その日も普通の「ご機嫌伺い」ということで来てもらっていた。
しかし、来てもらった本当の理由は、二人にイレーナと婚約することが決まったことを伝えるのと、それを受けて、明日の打ち合わせをする為だ。
もし両親の説得に失敗をしたとしても、その時は、いつも通り二人の「ご機嫌伺い」に目的を切り替えればいい。
しかし、予定通り両親の説得に成功した。後は明日の準備に進むだけだ。
わたしはまず、イレーナと二人だけの世界に入った後、イレーナとの婚約について両親が了承したとイレーナに伝えた。
イレーナはわたしに、
「殿下、ありがとうございます」
「殿下の為に尽くします」
と言った。いい笑顔をしていた。
そしてその後、わたしの執務室に移動し、呼んでいたセリフィーヌの継母にも話をした。
セリフィーヌの継母は、
「もちろん異存はありません。ありがとうございます」
と言った。とてもうれしそうだった。
「面白い」
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