第二十四話 無視されるわたし
ノーナさんが、
「あなたがそう言うなら、それ相応の対応をさせてもらうわ」
と言った翌日。
わたしは教室の多くの生徒から無視されるようになった。
ノーナさんは、このクラスで大きな勢力を持っているようだ。
わたしが、
「おはようございます」
とノーナさんたちのグループにあいさつをしても無視。
他のグループの人達もあいさつを無視する。
わたしのことを無視するという点で、共同戦線を組んでいるように思える。
さすがに、少し腹が立ってくる。
でもここで腹を立てれば、相手の思うつぼ。
微笑みをもって対応することにする。
わたしがやさしい心で対応していけば、少しずつであっても、わたしと仲良くする人は増えてくると思っていた。
その日の放課後。
帰ろうとすると、またノーナさんが声をかけてきた。
取り巻きたちも一緒だ。
「あなたが殿下と仲良くしているのを快く思わない人は、たくさんいるのね。ここまであなたのことを無視するとは、わたしも思ってなかったわ」
「そうですね」
「そうですね、って、あなた無視されても平気なの?」
「別に気になりません。それ以上の厳しい状況を生き抜いてきたので」
無視されたからと言って、特に生命に影響することはない。
唖然とするノーナさんたち。意外な返事だったのだろう。
しばらくの間。黙っていたが、
「あなたが殿下の誘いを断るというなら無視はしない。どうせならわたしのグループに入ってほしいものだけど」
とノーナさんは言った。
「どう? わたしとしては、譲歩したつもりだけど」
譲歩も何も、殿下とのつながりを絶ってほしいといっている時点で、到底受け入れることはできない。
「申し訳ありませんが、殿下からのお誘いがあれば、これからも受けさせていただくつもりです。ノーナさんの指示は受けません」
わたしがそう言うと、
「わたしが譲歩しているのに、なぜそれを拒むのですか? あなたをわがグループに迎えてもいいと言っているのに」
とノーナさんは言った。
腹を立て始めているようだ。
「そうよ。なぜ申し出を無視するの?」
取り巻きの女性も言ってくる。
「ノーナさんのグループに入ることは光栄なことかもしれません」
わたしがそう言うと、
「そう。光栄なことなのよ」
と言ってノーナさんは胸を張る。少し怒りがおさまってきたようだ。
「でも興味はありません」
わたしはとにかく、殿下の為に役立つ人間になることを目指したい。
「なぜ興味がないの? わたしの下にいるということは大変名誉なことなのに」
「いずれにしても、殿下とのつながりを絶ってほしいと言っている以上は、話にならないと思います」
ノーナさんは再び怒り出す。
「それじゃ無視され続けてもいいのね」
「仕方のないことだと思います」
「もう話をしても無駄のようね」
「そうだと思います」
「ではこれからも、あなたが殿下のお誘いを受ける限り無視することにします。皆さん、これで話は終わりです」
「このままにしていいんですか? これからも殿下のお誘いを受けると言ってしますよ」
取り巻きの女性たちが不満そうに言う。
「こういう人は、殿下のお誘いを断るようになるまで無視するしかない。あなたたちもそう思うでしょう?」
「それはそうですけど……」
「もう嫌なことは忘れて、わたしの屋敷でお茶会をしましよう」
「ノーナさまがそう言うのなら」
「では参りましょう」
「ノーナさま、お招きいただきありがとうございます」
「今日も楽しみましょう」
ノーナさんたちは、わたしにはあいさつせず、笑い合いながら教室を去っていった。
「面白い」
「続きが気になる。続きを読みたい」
と思っていただきましたら、
下にあります☆☆☆☆☆から、作品への応援をお願いいたします。
面白かったら星5つ、つまらなかったら星1つ、正直に思っていただいた気持ちで、もちろん大丈夫です。
ブックマークもいただけるとうれしいです。
よろしくお願いいたします。




