第二十一話 登校
翌日。
夜の間、雪が降っていた。
しかし今は、その雪も止み、だんだん晴れてきている。
とはいえ、外は寒い。
今日は、初登校日。
わたしは、与えられた部屋で目を覚ました。
部屋は、以前の公爵家での部屋と同じくらいの大きさ。
窓からは、庭がよく見える。
雪景色がきれい。
春になれば、花がたくさん咲き、新緑も楽しめそうだ。
夏は池があり、緑が多いので、爽快さを味わえると思う。
秋は紅葉が楽しそうだ。
そう思っていると、ドアをノックする音がする。
「お嬢様、おはようございます。もうお目覚めでしょうか。お気分はいかがでしょうか」
執事の声。
この公爵家に長年仕えている執事のアレクススナさんだ。
アレクススナさんももう七十を越えている。
この公爵家でも別の医者に診てもらっていた。
足はまだ少し痛いが、体調は、ほぼ回復している。
「ありがとうございます。身支度を整え次第、朝食に向かいます」
「よろしくお願いします」
アレクススナさんが去っていくと、わたしは身支度を整える。
そして、朝食をとりにいく。
朝食は両親と一緒だ。
昨日から一緒に朝食と夕食は三人で、昼食はお母様と一緒にとっている。
今までは、継母たちと食事をすることが多かった。
いつも気をつかっていて、心が休まる暇もなかった。
憩いの場である食事の場で、なぜ気苦労をしなければならないのだろうといつも思っていた。
この家にきて、ようやく食事を楽しめることができるようになったと思う。
「いってらしゃい」
お父様やお母様に見送られて、わたしは馬車で学校に向かった。
外は晴れているが、どこも雪が積もっていて、道路にも雪が積もっている。
馬車はその中を進む。
前にも後ろにも通学する貴族を乗せた馬車が走っていた。
そして、学校に到着する。
馬車を降り、校門を通ると、殿下が待っていた。
緊張しないようにしていたが、やはり少し緊張していたわたしは、ホッとした。
「今日から一緒の学校だね。うれしいよ」
そう言って微笑む殿下。
「わたしもうれしいです」
「あの、セリフィーヌさんにお願いがあるのだが」
殿下は恥ずかしそうに言う。
「なんでしょう? わたしにできることでしょうか?」
「昼食を一緒にとりたいのだが?」
「昼食ですか?」
わたしの心は、沸き立ち始めた。
二人きりになれる時間など、そう簡単には作れないと思っていたのに……。
「嫌だろうか?」
「嫌などということはありません。ただ、他に一緒に食べたいと思う方がいらっしゃるのではないかと思って……」
「気にすることはない。セリフィーヌさんは、この学校に来たばかりなんだ。知り合いが誰もいないだろうから、心細いと思って。わたしは少しでもあなたの力になりたい。そう思って誘っているんだよ」
「ありがとうございます。殿下さまのご都合さえよろしければ」
「では昼休み、学校内のレストランで食事をすることにしよう。場所はまだわからないだろうから、わたしがエスコートをする。あなたのクラスを教えてほしい」
わたしは自分のクラスを教えた。
「迎えにいくから、それまで待っていてくれ」
「わかりました」
「それではまた」
殿下はそう言うと、自分の教室に向かっていった。
殿下と一緒の昼食。誘われてうれしい。
わたしは、いい気分になりながら教室に向かっていった。
「面白い」
「続きが気になる。続きを読みたい」
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