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第二話 異母妹

「フレナリック殿下、今日はお招きいただきありがとうございます」


「娘と一緒と参上させていただきました。ありがとうございます」


殿下の部屋に入ってきたのはなんと……。


「お継母さま。そして、イレーナ……。どうしてここに……」


わたしは、唖然とした。


わたしの継母と異母妹のイレーナ。


二人ともきれいなドレスに身を包んでいるが、イレーナは特に華やかだ。


今日のパーティーに参加するということは聞いていなかった。


ここに来るということはパーティーに参加するということだろうか。


「よく来られた」


さっきまでの厳しい表情が一転して、微笑む殿下。


「来てもらって、わたしはうれしいよ」


「わたしもうれしいです。殿下」


イレーナも微笑む。


「いい笑顔をしている。こういう笑顔を待っていたんだよ」


「ありがとうございます」


イレーナは少し顔を赤らめた。


わたしの前では、いつも厳しい表情しかしていなかった癖に。


わたしがムッとしていると、


「さてセリフィーヌよ、わたしがなぜイレーナをここに呼んだかわかるかな」


と殿下は言う。


「わ、わかりません」


わたしとの婚約を破棄した日に、継母と異母妹のイレーナを呼ぶ。


みんなでわたしのことを笑いものにしたいのだろうか。


「きみに喜んでもらいだいからだよ」


「わたしに喜んでもらいたい?」


「そうだ」


「悲しみに沈んでいるわたしに、何をして喜ばせようというのです」


「何をふてくされているのかね」


あざ笑うようにいう殿下。


「別にふてくされてはいません」


「ふてくされていないんだったら、笑ったらどうかね」


「笑うことなどできません」


「まあよい。じゃあ、きみを喜ばせてあげよう」


殿下はそう言って笑うと、


「イレーナよ。わたしはきみに婚約を申し込む」


と言った。


「まあ、うれしい。とても名誉のあるお言葉。ありがとうございます」


イレーナは満面の笑みを浮かべる。


「イレーナよ。もちろん婚約者になってくれるね」


微笑みながら言う殿下。


「もちろんです。わたしは殿下と婚約することを、謹んでお受けさせていただきたいと思います」


頭を下げながら言うイレーナ。


「ありがとう。あなたの方も異存はないね」


殿下は、継母の方を向いて言った。


継母は、


「こんなに名誉のあること、娘にはもったいないと思っています」


と頭を下げながら言う。


「そんなことはない。あなたの娘は素敵な方だ。政略結婚の一つではあるかもしれないが、わたしは、イレーナを愛している。わたしの申し出、受けてほしい」


「そこまでおっしゃるんであれば、謹んでお受けいたします」


「うん。それでいい。これで婚約成立だ」


殿下はそう言うと、


「さあ、わたしのところへ来て!」


と言ってイレーナを手招きする。


「殿下!」


イレーナは殿下のところへ行き、殿下は彼女を抱きしめる。


「イレーナよ、愛しい人。好きだ」


「わたしも殿下を愛しく思っています」


「殿下……」


抱きしめ合う二人。


わたしはその光景を見て、再びめまいが襲ってきた。


殿下の婚約者がイレーナになったなんて……。


信じられない。


どうして、どうして、こんなことになってしまったの……。


二人は、わたしがいるのを忘れたように、うっとりとしている。


イレーナ、殿下から離れて! 今すぐに!


そう願うのだが、なかなか二人は離れようとしない。


どんどん気分が悪くなってくる。


我慢しなきゃ。


でも婚約者だった人を目の前で奪われている。


それもただの他人ではない。


母が違うとはいえ、妹に奪われてしまったのだ。


つらくなってくる。


どうしてわたしはこんな思いをしなければならないんだろう。


「面白い」


「続きが気になる。続きを読みたい」


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